ペロシ訪台の高い意義/国家を支える意思の重要性/リベラリズムの壊死:硬直性と不寛容性
Posted at 22/08/06 PermaLink» Tweet
8月6日(土)曇り
昨日は一時的に集中豪雨で8時ごろに68ミリ、10時過ぎに12ミリの雨が降って、合わせて数時間で80ミリの雨が降ったので一時的に冠水したりしたのだが、その時はいろいろ大変だったが8時過ぎには水が引いて、まあ私の周辺ではそんなに大事に至らなかった。市内では結構大変なところもあったようだ。朝片付けに行って少し雑巾掛けなどしたが、まあ通常に営業できそうだ。ありがたい。先ほど母から電話がかかってきてそれを心配していたようだが、大したことがなかったので安心していた。地元の新聞に出ていたからなあ。
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私は今回のペロシの台湾訪問に関しては割と全面的に賛成している。それは、ロシアや中国の「権威主義の示威行動」に対して、「民主主義・自由主義の示威行動」も必要だと思うからだ。残念ながら日本がやっても不快感を表明されて経済的な嫌がらせや人的な拘束などが行われてこちらの被害が大きいだけに終わりがちだけど、アメリカの立法機関が表立っての全面的な台湾支持を表明すれば中国は本気で嫌がるから、意味があると思う。いつまでもお前らの思う通りになると思うなよ、という示威は民主主義陣営も示す必要があるしそういうことがないと彼らも分からない。
多くの国際関係の識者は今回の訪台については懸念を示しているのだけど、こういうのを読むと彼らは自由主義が重要だからアメリカやウクライナを支持しているというよりは、国際法秩序に反するからロシアを批判しているのだなと思う。中国はやってることは国際法上許されないことは結構あるけれども、まだロシアのように国際法のメインステージ、つまり「戦争」には及んでいないので、そこに行くことが最も懸念の対象だということなのだろう。それはまあわかるのだけど、中国が東アジアで軍事的意思を自由に表明できると思わせておくのは良くないと思う。
彼らはプーチンのメンツに関してはもう取り合う必要はないと見ているが、習近平に関してはまだ取り合うべきだと思っている。それは「侵略戦争」をしているかどうか、という一点にかかっているのだな、ということは割と今回確認された感じだ。
しかし我々としてはそういう危機管理的な問題だけではなく、自由主義と民主主義の理念と体制というか、そういうものを守っていかなければならないわけで、「自由で開かれたインド太平洋」という安倍さんの遺産はこれからも守っていかなければならないと思う。
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現代の思想における大きな問題の一つは、いわゆる「リベラリズム」にあるのだと思う。その元凶はデカルトの合理論なのだが、そこから設計主義が生まれ、「社会はこうすればこうなるしこうなるべき」という硬直したラディカリズムが生まれる。
人間社会の経営というのは合理主義的発想とその設計によってはうまくいかず、たびたび設計変更や仕様変更をしなければならなくなるのだけど、根幹が合理主義だとどうしてもフットワークが重くなる。
大事なのは経験主義的なフットワークの軽さなのだが、残念ながら日本のインテリ=概ね「リベラリスト」は独仏のようなドグマチストかでなければアメリカ左翼的なウォーキズムに走るかどちらかになっていて、経験主義を小馬鹿にする傾向があるのは残念だ。
経験主義は体系化が難しい。その一つの証左はイギリスにはアメリカや日本のような成文憲法がないということだと思うが、本来はそれでいいのだと思う。しかしこのやり方は保守的な思考になりがちだから、リベラルを標榜するインテリは嫌うのだと思う。
しかし今の日本に必要なのは正しい経験主義的保守主義であると私は思う。保守主義というとアメリカ右翼的なメガチャーチ的保守主義のイメージが強いが、あれもまたもちろんある種のドグマであって、ドグマ対ドグマの対立に持ち込むのは未来がないと思う。
私は社会制度的には基本的には大きな政府をある程度は維持すべきだと思う。それは世の中は同質の集団だけでできてるわけじゃないので、医療や福祉に関してはより体力的な意味での弱者を優遇するしかないと思うということだ。また経済に関しては所得や財産の少ない人を支援するのが社会を維持するためには必要だということでもある。
そういう意味で完全な自由競争というのは机上の空論なのだというべきだろう。それを実行したら弱者から潰れていき社会は不安定かし、結局は社会が壊れる。強者のみが生き残る社会というのは、結局はあり得ない。すでに新自由主義ののさばりの御蔭でだいぶ日本社会は壊されてきたけれども、まだ方向を修正できる余地はあると思う。
その意味では「情けは人のためならず」っていうのは福祉制度や経済政策において重要だと思う。個人あっての社会でもあるけど、社会あっての個人でもある。「鎌倉殿の13人」で北条時政が「北条あっての鎌倉」みたいなことを言っていたが、それだけでは「鎌倉」が潰れる。義時のように「鎌倉あっての北条」と考えて鎌倉を、つまり「国家」や「社会」を支える必要があるという視点が大事だと思う。ケネディの言うところの「国家が自分に何をしてくれるのかを問うのではなく、自分が国家に何をできるのかを問いたまえ」と言う視点もまた重要だと言うことだ。
ただ、この辺りでも「リベラリズム」の問題が出てくる。世の中は同質の集団だけでできてるわけじゃないということがリベラルやフェミニストには気に入らないところがある。民族的にもセクシャリティでも多様性はあるべきだと彼らは主張するが、思想的には保守主義や反動主義には反対するし、外国人の考え方なども小馬鹿にする人が多い。彼らは結局、思想的には同質であれ(自分たちの正義を受け入れるべき)と言ってるわけで、そう言うのを全体主義というのだと思う。
存在の多様性を要求した上で思想の多様性を禁止しようとするのが今のリベラリズムなのだと思う。違う意見に対してはパージしたりキャンセルしたりするのではなく、寛容になってゼロベースで意見を戦わせる、少なくともそういうポーズが取れるようにならないと、現状の日本の惨状はなかなか解決していかないと思うし、リベラリズム自体も遠からず壊死してしまう可能性はあると思う。
今のところ曇っているのでそう暑くはないが、これからまた暑くなる予報も出ている。皆さまご安全に。
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