「鎌倉殿の13人」第31回「あきらめの悪い男」を見た:比企能員の死が丁寧に描かれ、その後の衝撃がより大きくなった。

Posted at 22/08/15

8月15日(月)曇り

このお盆は、曇り加減であまり極端に暑くない日が続くのだが、それでも昨日の午後はだいぶ暑かった。でも気温的には30度は行っていないので、真夏というよりは夏の少し暑い日というくらいだった。昨日今日と普段手を入れていない場所の草刈りをして少し疲れたのだが、まあ時々はやらないといけないところではあるので仕方ないかと思う。

https://www.nhk.or.jp/kamakura13/story/31.html

昨夜は「鎌倉殿の13人」第31回「あきらめの悪い男」を見た。二代鎌倉殿・頼家の危篤から始まる後継者争いの暗闘。北条と比企の駆け引きの中で比企に勧誘される三浦義村。義時は妹・実衣が乳母を務める千幡(実朝)に比企の外孫の頼家の子・一幡と同じ権利を継承させようと比企と交渉するが一幡を鎌倉殿にして絶対的な権力を握りたい比企能員は拒絶する。その中で義時は一幡とともに比企一族を滅ぼして北条が権力を握る計画を練るが、逡巡する。それを時政に「あきらめの悪い男だな」と呆れられるわけだが、りくが時政を千幡の後見役にするように義時に迫り、義時は時政と話をして頼家後の政権の骨格を決める。

時政は話し合いをしようと比企能員を館に招くが、比企は警戒していない素振りで「丸腰」で出かける。しかしそこには武装した北条や他の御家人の軍勢が待ち構えていて比企は討ち取られるが、その際に実際には衣の下に鎧を着込んでいたことが明らかになる。これは上総介の暗殺の回に比企が鎧を着ていてガチャガチャ鳴っていたのをその意味での伏線にしていたということなのだが、後で見直してみよう。

比企は北条を呪詛して討ち取られ、直ちに比企の館が襲われ、一族は滅び去る。そして千幡を新たな鎌倉殿にした新体制がスタートしようとした矢先、頼家が病の死線から回復し目を覚ます。

今回はギャグパートはほとんどなかったが、唯一のギャグは頼家の次男・善哉に跡目を譲るという頼朝の書状を三浦義村が偽造し、それが何枚も出てくるという部分で、義村も権力に対する欲望はなくはないのだなということはわかるのだが、それをしれっと全部表に出してしまうところが可笑しい。比企にいい顔をして見せるが結局最終場面では北条についてしれっと「親子二代にわたって北条とは近しいのだ、三浦をみくびるな」と言って見せて、一体何が本気で何が嘘なのかわからないのが彼の本領という感じだ。

義時は比企を滅ぼすと決意して、迷いながらも計画を進めるが、泰時に「父上はどうかしてる」と言われながらも非情な姿勢は崩さない。それでも時政に対しては逡巡を見せるわけで、このドラマでは初期からずっと裏で舞台を回してきた設定にはなっているけれども、それでも自分の意思で他家を滅ぼすという重大な局面を回し方をするのは初めてであり、泰時に「そこまでして北条の世にしたいのか」と問われて「当たり前だ!」と声を荒げる場面は、政子に「これでよかったのですか」と聞かれて「よかったかどうかはわかりません。でもこうするしかなかった」と答えるところと呼応している。

「これでよかったのか」、と自問自答する場面では兄・宗時の「坂東武者の世をつくり、その頂点に北条が立つ」という言葉が頭を巡り、「こうするしかなかったのか」と自問自答する場面では頼朝の苛烈さを思い出す、そこに「あきらめの悪い男」が逡巡を振り切っていこうとする辛さのようなものが描かれていたと思う。

https://www.nhk.or.jp/kamakura13/special/movie/cm3101.html

これは佐藤二朗さんのインタビューでもあったが、比企能員の見せ場は前回だと思っていたのだけど、今回の死の場面がとても丁寧に描かれていて、それはとても印象に残った。そしてその山場が大きかったからこそ、「頼家が蘇生した」という本来は喜ばしいはずの事実が義時たちに大きな衝撃となって返ってくるところに脚本・演出の「押し」と「引き」の呼吸の巧みさを感じずにはいられなかった。

個人的に印象に残ったのは、比企の館の様子を見に行った比奈が能員と三浦義村の密談を立ち聞きし、そのことを義時に伝えようとして泰時に手紙を渡すが、「急ぎかな、急ぎじゃないかもしれない、でもやっぱり急ぎ」と言ってそこに逡巡を見せる場面の後、「母上!」と呼びかける二人の子供たちがいる場面で、クレジットはされていなかったけれども史実を考えればあれは後の(名越)朝時と(極楽寺)重時だな、と思ったことだった。比奈と子供達、そして義時との別れはどのように描かれるか、その辺りも気になるところだなと思った。「人は変わるもの」と呟くときの一瞬崩れそうになる表情がとてもよかった。

次回はおそらく、頼家の死まで描かれるのだろう。予告編では頼家がはっきりと北条打倒の意思を示したのは、「生かしておくことはできない」ことを整合性のあるものにするための伏線なのだろうと思う。なかなかハードな展開が続く。

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一昨日の誕生日にはTwitter・FaceBook・Instagram・LINE等でたくさんのメッセージをいただきました。ありがとうございました。今後とも頑張っていろいろ書いていきたいと思います。

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