参議院選挙2022:岸田総理は「安倍さんの遺産」をどう活かすのか/「反ポリコレ」勢力の伸長:マスクをつけない支持者たち

Posted at 22/07/11

7月11日(月)晴れか曇りか

安倍さんが突然の暗殺により亡くなって2日後の昨日、参議院議員選挙が行われた。夜八時からの投開票の速報を見ていたがほぼ予想通りだったのであまり見ないで寝てしまった。

起きてから家の中を少し片付け、庭と裏の畑の草刈りを少しして入浴し、車で出かけてジャンプ・スピリッツ・ヤンジャンと一緒に朝日新聞を買い、目を通した。

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自民党が63議席を獲得して改選過半数を上回り、公明党と合わせて78議席、与党で6割を超える圧勝となったが、これは大体そのくらいになるだろうとは思っていた。岸田政権の弱いところは物価高対策だなと思っていたが、これは二日前の安倍元総理暗殺事件の衝撃が吹き飛ばした感じ。こんなに不安定な世界の中で、一体誰に政治を任せられるかといえば自民党しかない、と多くの人が思ったのだろう。

逆に野党側では立憲民主党の退潮が目だったが、これも大衆にアピールする要素がほとんどなかったこともあり、まあ当たり前だろうなと思った。逆に国民民主党が数を減らしたのは少し意外だったが、やはり訴えが真面目すぎるし候補者にも面白みが欠ける印象があったのが響いたかなと思う。

既成政党で躍進したと言えるのは維新の会だと思うが、比例区ではついに自民党に次ぐ第二党になった。比例区は全体に知名度の高い人が出馬するわけだが、自民党では「表現の自由」を争点に掲げた漫画家の赤松健氏がトップ当選で約50万票を獲得したのは大きいと思う。ずっとトップだった郵政系の候補者を超えたわけで、今後はオタク層が自民党を支える強い支持層になる可能性は大きい。赤松氏が掲げた「行き過ぎたジェンダー平等」という言葉への共感が大きかったと思われるが、この辺りをどう政策として結びつけていくかということもこれから問われていくだろう。

そのほか比例の候補者では自民党では青山繁晴氏、片山さつき氏、今井絵理子氏など知名度の高い候補が並び、立憲民主党でも辻元清美氏、青木愛氏ら名前の知られた候補が当選している。維新の会では松野明美氏、中条きよし氏、猪瀬直樹氏、青島健太氏と今回の維新の比例区の成功はこの辺りのいわゆるタレント候補を多数立てられたことにあるかもしれない。ただ、維新の会も今後誰が党を引っ張っていくのか不透明なところがあり、今後が問われるところがある。社民党も福島瑞穂党首がなんとか滑り込んだようだ。

今回野党側で目立ったのは、れいわ新選組・NHK党・参政党という規制政党とは違うイシューを掲げて戦った政党が議席を獲得したことにあると思う。色々な見方はあると思うが、私は年々強まりつつある「ポリティカル・コレクトネス」へのアンチという意味が大きいのではないかと思った。

既成政党が徐々にポリコレやフェミニズムが浸透し、また日本の進むべき方向をはっきりと示せない中で、れいわのようなアナーキーな集団、NHK党のようなワンイシューで戦う政党(これは小泉郵政改革路線の手法の継承者と言えると思う)、また参政党という「日本の最大多数の生活保守派の琴線を揺らすのに成功した」党が出てきたことは大きいのではないか。彼らの集会を見ていると、「マスクをしていない人たちが多い」という一つの共通項が見られるように思うが、これは目に見える形での反ポリコレだと言っていいような気がする。

もちろん反ポリコレでもマスクなどは世間の規範に従っている人が多数だと思うが、反ポリコレが最も先鋭な形で(暴走とも言えるが)出ているのがマスク無しではないかと思う。

参政党もどのような方向にいくのかまだはっきりしないが、フランスの国民戦線のような「影の国民政党」に成長する可能性は十分あると思う。参政党は事務局長(実質的な党首と思われる)神谷宗幣氏が議席を獲得した。

これらの政党はそれぞれ民心を巧みに掴んでいると思う。れいわの水道橋博士氏はともかくNHK党の「暴露系YouTuber」ガーシー氏の当選はかなり衝撃的だった。彼は日本に住んですらおらず、ドバイから動画を更新することで「選挙運動」を行ったわけで、今後はそのような新しい形がどんどん出てくる可能性もある。ガーシー氏についてはこれを仕掛けたと思われる堀江貴文氏の力も大きいと思うし、郵政選挙で敗北した借りを10数年越しで返したという形だろうか。

自民党は昨年の総選挙・今年の参院選で勝利したということはあと3年間は選挙を行わないで安定した政権運営を行えるということで、これはまさに安倍さんの遺産とも言うべきことなわけだが、ある種弔い選挙出会ったこともあって自民党幹部は皆沈痛な面持ちではあるのだが、ここは岸田さんに元気を出してもらって、力強く日本を引っ張っていってもらいたい。安倍さんの遺産を生かすためには。

ただその中で大きな問題は、突然指導者を失った自民党安倍派=清和会がどのように結束していくかという問題だろう。今一通りメンバーを再確認してみたが、中堅議員としての実力者はいても党内最大多数派をリードしていくような人がいるとは思えない。派閥外でも安倍さんが強く推していた高市早苗政調会長がいるが、いきなりリーダーというのは無理だろう。党内にも三役として福田達夫総務会長がいるが、流石に当選回数が少なすぎる。派閥としてうまくまとまっていかないと自民党内部の派閥力学のバランスが崩れ、思わぬところで足を掬われかねない。政権基盤の不安材料としてはそれが大きいだろう。

あとは、より財政出動政策寄りであった安倍さんが亡くなったことで財務省との力関係がどうなるか。今現在でもかなり財務省側に牛耳られている感が強いので、また「失われた○○年」が三十年から四十年に延長になるのではないかという不安がある。この辺りは「新自由主義の打破」を唱えて総理になった岸田さんが初心に戻って積極財政を展開していってもらいたいと思う。

今後の政権の舵取りはどうなるか。安倍元総理暗殺犯の背後関係の解明と並び、大きな関心を持たざるを得ない。

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