左派と保守派の共通言語の必要性/中絶の権利を認める1973年の判決を覆したアメリカ最高裁
Posted at 22/06/25 PermaLink» Tweet
6月25日(土)晴れてきた
今日も、午前2時ごろにかなり雨が降ったようなのだが、朝には上がっていてなぜ車がこんなに濡れているのかなという感じだったのだが、気象アプリで確認してそうだったのかと思った。今朝の最低気温は20度を超えていて、もう本当に夏っぽい感じになってきたなと思う。昨日は午後今年初めて30度を超えていたようだ。でも職場の冷房はまだドライでなんとかなる感じだった。
今朝は居間の蛍光灯の点きが悪いのでグロー球をいじってみたら簡単についたので、5時前に24時間やっている西友に買いに行ったりして、ついでに車を走らせてガソリンを入れたり塩パンを買ったりしてきた。今日の当地ではトライアスロン大会が開かれるということでパイロンなどが既に建てられているところがあり、デイリーで聞いたら応援用の紙メガホン(コース地図が書かれている)をくれた。雰囲気を盛り上げているんだなと思った。
帰ってきてジャンプラを読んだりTwitterを見たりしていたのだが、読みながら考えたこと。
私は進歩系・左翼系の文化人の言説や本はそれなりに読んできたと思うのだけど、最近はほとんど読む気がしなくなっている。それはどうもそういう人とされている人の中に、この人は意見は違うけど理解はできる、という人がいなくなってきている感じがしているからだなと思う。
まともな左翼系文化人は日本にはいたほうがいいと思うのだが、誰ならそう判断できるかというと、難しい。しかし、保守右翼にはそういう人がいるのかといえば、そこもまあ黙らざるを得ない部分もある。
ウクライナでの戦争に関してテレビに出ている人たちを見ても、実務系の人たちは頑張ってる人は多いと思うのだが、思想系の人は双方とも共感できる人が少ないなと思う。
どちらの方面も最近は、言葉の強い極端な意見の人の存在感が強くなってきていて、今までは比較的穏健な意見を言っていた人も煽られてしまっているのかなという気がする。大衆というか一般の人々にしてみれば感覚的にそういう人に共感する部分はあっても、根本的には中道寄りの人の方が多いと思うのだけど、そういう意見は左右ともなかなか取り上げられなくなってきている感じがする。
そうなっている一つの原因としては、「保守」と「左翼」の「共通言語」がだいぶ失われてきている感じがあり、その辺が今日の分断の大きな理由なのではないかという気がする。右の人も読む左派思想とか、左の人も読む保守思想みたいなものが失われてきているのではないかと。
私はどちらかといえば政治的には保守寄りなのだけど、だからと言って「左派はオワコン」と言ってれば済むという問題じゃないと思う。世界的にインテリはまだ左派が多いし影響力も大きい。
その中でwoke系はもう対話不可能なレベルに言ってしまっていると思うけど、心ある社会民主主義系みたいな人たちとはまだ対話可能ではないかと思う。
最近「現代思想入門」を読んでいるのもそういう部分はあって、思想としてはともかく言葉としてどういう文脈で使われているのか、またどういうことが左派では問題になっているのかなども理解できる部分はあったほうがいいと思って読んでいるところはある。またやはり哲学的な議論は自分自身の思考や知識の総体をを参照するところは出てくるので、自分を振り返るにも役に立っている部分はあるなと思う。
先程の話に戻れば、左派でもwoke系の人たち、また右派でロシアで軍事訓練するような白人至上主義系右翼も対話はちょっと難しいと思う。これはイスラム過激派に対してもそう思うのだが、どういう思想・宗教でも原理主義・ラディカリズムに走っている人たちとは意見を交わすのは難しいなという気はする。
世界の思想の中の穏健的な部分だけでも、それなりに理解していければという気はする。以前は一番過激な人たちの意見もちゃんと理解したいと思っていたのだけど、どうも人生の短さに比べてそこまで振れ幅の大きい人間の思想というものを理解するには時間が乏しすぎる感じはしている。
***
個人的には家族重視系の宗教右派は対話すべき対象だとむしろ思っているのだが、その辺のところで象徴的な判決がアメリカ最高裁であったという話を読んだ。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220625/k10013687721000.html
アメリカでは1973年に最高裁判決で「女性が中絶する権利」を認めて、それ以来ずっと保守派とリベラル派の間で論争や闘争が行われてきたのだが、今回の判決ではトランプ政権機に任命された保守派の判事が「中絶の自由」を認めない立場を支持し、5対4ながらほぼ50年ぶりに判決が覆ったことになる。
この記事には1973年の判決の経緯が書かれていて、あまりよく知らなかったこの件に関して自分なりに理解できたと思う。トランプ政権期に3人最高裁判事が交代したのは判事の執心性を考えれば偶然なのだろうけど、それが今大きな影響力を持つようになったわけだな。トランプが意見構成を無視して保守派のみを判事にしたという「伝統破り」も大きかったわけだが。
1973年にどういう判断で妊娠中絶が合憲にされたかというと、合衆国憲法修正第14条でプラヴァシーの権利が認められているという解釈に基づいているとのこと。しかしWikipediaを見ると元々は南北戦争後に黒人の権利を認めるための修正だったようで、解釈に解釈を重ねているのだなと思う。それが英米法の特徴といえばそうなのだろうけど。
ここで自分の思い違いに気づいたのだが、「プライヴァシーの権利」というのは、「他の人にプライヴェートを知られない権利」だけでなく、「プライヴェートでは何をやろうと自由だ」ということに重点が置かれているということ。殺人など明らかに違法であることを除けば何をやっても構わないということなんだろう。「個人で何をやっても自由」というのはそれはそうだと思っていたけどそれを「プライヴァシーの権利」と表現するということはへえっと思った。日本でもそのように表現されているのだろうか。
「プライヴェート」というのはかなりの部分「家庭内」を意味するわけだけど、子供の「虐待」に関しては広範に法で裁かれるようになってきているのはある意味プライヴァシーの権利への介入ということになるのではないかと思う。「親権」という概念は「プライヴァシーの権利」とかなり結びついているのだなと思う。これは親の教育権とかそういうことにも関わってくるのだろう。
1973年のロー対ウェイド事件の判決は、当時のアメリカのリベラルな雰囲気を象徴するものだろうと思う。公民権運動・ヴェトナム反戦・フラワーチルドレン・ヒッピー文化みたいな時代。その時代の判決がレーガン以降の保守派の時代も潜り抜けて今まで維持されたというのもへえっという感じはする。
しかしあれだけwokeが強いアメリカで、「女性の権利」の本丸とされていた「中絶する権利」が否定されるというところに、アメリカという国のある種の面白さは感じるなと思った。トライアル・アンド・エラーの永久機関みたいな国だなと思う。
***
しかしまたこの問題で大きな議論が巻き起こっているのを見ると、「家族を大事にする」というある種当たり前の考え方が「過激な保守主義」と見られている現状にも違和感を持つし、またその当たり前の感覚こそが右派の大きなエネルギー源になっている感じはする。個人か家族かというある種最も基本的な問題こそが、「穏健右派」と「穏健左派」が一番相入れない問題になってるのが世界の断絶の根源なのかもしれない。
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