「本当に好きなものが見つからない」:「非生産的」と感じる焦り/「どんなに金や権力があっても作者が書かなければ物語の続きは読めない」:「HUNTERxHUNTER」と「源氏物語」
Posted at 22/05/28 PermaLink» Tweet
5月28日(土)晴れ
今朝は目が覚めたら4時20分で、最近ではかなり遅い方。カーテンの隙間から入ってくる光がやや明るく、部屋を出て廊下の窓が明るく感じたのでもう5時くらいかと思ったのだが、流石に1ヶ月後にはもう夏至なわけで、これからが一年で一番日が長い時期なんだなと思う。今はちょうど6時なのだけど、外の光が明るくて、燦々と降り注ぐ朝日が見慣れた景色を綺麗なものに変えている。
車にガソリンがなくなっているのが気になっていたので携帯用のスピーカーを積んで聴き逃し配信を聴きながら車を走らせて茅野まで給油に行き、その帰りに長峰のヤマザキでパンを買って帰った。
https://shonenjumpplus.com/episode/3270296674370429370
帰ってきて気になっていた「2.5次元の誘惑(リリサ)」の最新話を読んだのだが、新キャラが想像していたのとは全然違う属性を持っていてへえっと思った。(この先ややネタバレありなので気になる人はリンク先で最新話を読んでください)ただ人物像が明らかになってくるにつれてなるほどと思ったのだが、「何でも出来る、何でも許される環境」の中で自分が好きなものを見つけようとするのだけど、「本当に心から好きだ」と思えるものに出会えない、何をやっていても「これじゃないんじゃないか」と思って落ち着かない、例えば何かを鑑賞していてもそのような行為は「夢や仕事につながらない非生産的な行為だ」と感じてしまう、というのは本当によくわかる。そういう人間がオタクの熱さに憧れるということはあるだろうなあと思う。この辺りは自分も多分にそういうところがあるからわかるよなあと思ってしまった。
だからとりあえず「オタクになる!」と決めて漫研の扉を叩いたということになるわけだが、そこからの展開がどうなるかは先が楽しみだとしか言いようがない。私もとりあえず「書く!」ことだけ決めて何を書くかはこれから考える、みたいな経路を取りがちなので無駄に教養が溢れているこの子がその辺をどのように感じ、どのようにこれから起こる事態に向き合っていくのかはとても楽しみだ。隔週連載なのでこの先は2週間待ちなのがなかなか辛いところ。ただ作者さんの体調の問題もあるようだし、そういう自由な連載ができるのもウェブ連載のいいところだなとは思う。
体調で連載を休載といえば「HUNTERxHUNTER」を長期休載中の冨樫義博さんがTwitterを始めて現在注目の的になっているわけだが、冨樫さんは10話分=単行本1巻分を書き溜めてから連載を再開するという感じなので、あと4話分とあるから半分以上は進んでいるということなんだろうなと思う。多分アメリカの漫画家とかはこういう感じのペースで作品を作っているのではないかと思うし、まあ日本の週刊連載形態が異常といえば異常なのだが、だからこそ日本でマンガが隆盛を誇っているという面もあり、またそこも難しくはある。
https://twitter.com/Un4v5s8bgsVk9Xp
そのことで思い出したのだが、冨樫さんのTwitterに世界的に有名な人たちが熱烈に待ち焦がれているリプをつけている、どんなにお金や権力があっても作者が描かなければ物語の続きは読めない、というツイートを読んで、いや全くそれは本当にそうだなと思った。それが作者の特権性というものだなと。
連載中(?)から評判になり、高貴な人々が続きを待ち侘びていたといえば平安時代の「源氏物語」な訳だが、帝や中宮、摂政関白であっても「紫式部が続きを書かなければ新章は読めない」というのは考えてみると面白いなと思った。「神作家・紫式部のあり得ない日々」はその辺りを作者目線で書いているのだけど、小宰相の君とかがもし日記を残していたら源氏物語の章の「新作」がいつ書かれたのかとかがもっとわかったのになと思ったり、受領の娘として田舎にいた菅原孝標女が早く東京、もとい京都のアキバor大規模書店じゃなかった物語をたくさん持っているお姉様方のところへ行きたいとはやる気持ちなどは今と変わらないなと思ったりした。
「源氏物語」のような長期連載(?)は主筋だけでなくふんだんに脇筋が取り入れられているから、読んだ人たちも「ああ!今回はサイドストーリーか!」とか「頭中将様はよ」などと思いながら読んでたんだろうなと考えると面白い。また「御法」の巻で「第一部完!」になってからも「新作いつ出るんですか?」みたいな問い合わせが殺到しただろうし、それでちょっと休んでからよし!と思って後日譚の第二部を新キャラ中心の「匂宮」から始めるとか、今の連載と変わらないなあと改めて思う。「夢浮橋」が「最終話」なのかは多分当時も議論になっただろうし、作者が亡くなって中断したのか、それとも第二部自体が大弐三位(?)による二次創作だったのかなど今となってはわからないけど、当時は色々話題になったのだろうなあと思う。
創作、つまりこの世に存在しないものをこの世に生み出す、というのは本来「神」の領域であるわけだけど、それを行える力が人間にはあるわけで、それを実践したり鑑賞したりするのは人間でなければできないことなわけだから、読むこと、書くことはやめられないんだよなあと改めて思ったりした。
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