「2.5次元の誘惑(リリサ)」を読んだ。
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5月17日(火)曇り
夕方から二、三日前から読み始めた「2.5次元の誘惑(リリサ)」をずっと読んでいて、最終的にはジャンプ+の最新話まで読み切ったのだが、思っていた以上に面白かった。ジャンプ+アプリで読んでいると最初の方は修正版が多くて読みにくく(ウェブ版は大丈夫だった)、最初の2巻がamazonで期間限定無料になっていた機会に読み始めたのだが、最初の数間に多かったエロ(ラッキースケベと言ってもいいけど)要素がだんだん少なくなり、途中で「部室を使うために成人指定のものは作らない」みたいな話を挟んでその辺からそう言うところがかなり減らされて行ったのは、時代状況の変化などを反映したものでもあったのだと思うけれども、エロ要素的な作品は他にも多くあることもあり、「おたくのアツさ」「キャラ愛」「友情」「コスプレとは」みたいな方向に振って行ったことでこの作品の唯一無二性がさらに出てきたのではないかと思う。
私にとっておたくと言う存在は近いようで遠い、遠いようで近い、まあそんなものであるのだが、安野モヨコ「監督不行届」を読んだ時(もうだいぶ前だな)はオタクとはこう言うものかみたいな感じがあったがもうあの年代(私とほぼ同世代)から多岐にわたって発達したオタク文化というものが、特にマンガアニメゲームから本題であるコスプレにかけての領域について、幅広くあるいは狭く、よく読んでみると私でもわかるネタがかなりたくさんあるということに気づいて相当笑った。
実在の作品そのものはネタにはできても題材には取り上げられないから架空のコンテンツについて詳細に描いているわけだけど、よく読むとそうかこの「マジョ娘」というのは「ウマ娘」という覇権コンテンツを魔女的要素に変換して作ったのだなとか私でもなるほどと思うところがあり(主役がタマちゃんと呼ばれているところでそうかと思ったのだが)現実と付かず離れずで作るこの手の作品は面白さも大変さもあるなと思った。
主人公の奥村は自らオタクと名乗るだけでなく「すべての「好き」を肯定する」という強い理念を持って「リリエル」というキャラクターへの愛を共有するリリサとコスプレを展開することになるのだが、この理念の強さがこの作品を引っ張っていく力になっているのが時に強く感動させられる。おたくは視野が狭いと批判されがちであるわけだが、逆に言えば「視野が狭いが故に愛が深い」みたいなことはあるわけで、ただそれだけでは「成長」がない、オタクには難しいと言われる他者との交流の中で登場人物たちが「成長」していくありさまが描かれているのが正統的なジャンプ漫画でもあるということになる。
ジャンプ+では新しい話を時々読んでいたので一度最初から読んでみようと思ってKindleで読んでみたのだが、とても面白かった。また、コスプレを描いているという性格上、通常版でも良いがセミカラー版の方がよりその華やかさを味わえると思う。最初はエロ的要素のためにこうしてるのかなと思ったが、途中からそれよりも場面の華やかさのために趣旨が変わって行っているように思う。
こういう作品は取り扱っているテーマの性格もあり、なかなか正当には評価されにくいようには思うが、ポリコレの嵐の吹き荒ぶ中で「すべての「好き」を肯定する」というオタクの原点、というかある意味人間として大切なこと、「これを知るものはこれを好む者にしかず。これを好むものはこれを楽しむものにしかず」という論語まで遡るある意味大きなテーマに取り組んでいるのだなあと、私は思った。「好き」ということは割と軽んじられがちなことなので、孔子も殊更にそこを強調したのだと思うが、「好き」はおそらく生きるということの根本に関わることなので、大事にしていきたいものだと思った。
***
昨日は午後母を歯医者に連れて行ったのだが、休み期間がいろいろなイベントや用事があって完全にフリーな日がなかったせいか、どうもまたうまく眠れずに昨夜は10時に寝たのに起きたら2時過ぎで、お茶を飲んでもう一度寝床に入ったが4時には起き出してしまった。とりあえず身体と精神をほぐしながらブログを書いたりした。心が忙しいと自分のペースを失い、精神や身体のバランスが崩れやすくなる。まずは自分のペースを立て直してから、いろいろやっていきたいと思う。
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