愛好と批評の関係/「鎌倉殿の13人」第20回「帰ってきた義経」を見た。
Posted at 22/05/23 PermaLink» Tweet
5月23日(月)晴れ
久しぶりにスッキリ晴れている感じ。とりあえずやるべきことはやったのだけど、その後始末というか片付けみたいなことが残っていて、でもあまり取り掛かる気にまだなれてない。
睡眠不足が解消したわけではないのだが、とりあえず動けることは動けるのだけど、やることをやったら疲れがどんと出る感じでやること全部が終わったわけではないからまあなかなか睡眠が少なくても済むというようにはならないなあ。
このところつい時間があると「2.5次元の誘惑(リリサ)」を読んでしまうのだが、この作品自体が覇権コンテンツというわけではないので関連グッズがあるとかそういうことはないのだけど、コスプレ関係のことを調べていると結構出てくるのは、コスプレの世界では存在感がある作品だということなんだろうなと思った。ただ、ものを作るとか対象への愛とそれを担う人間への愛とか「愛好と批評の関係」のような部分について、これだけ考えさせられる作品もないなあと思うし、今の日本のコンテンツ供給への無償の愛みたいな部分について考える上で重要な作品になるだろうと思う。
昨日は夜、「鎌倉殿の13人」第20回「帰ってきた義経」を見た。第19回「果たせぬ凱旋」が文治元年(1185)末まで、の話だったのが、今回は義経が平泉に帰ってきた文治3年(1187年)から衣川の戦いで義経が自害する文治5年(1189年)まで。今回は義経滅亡の悲劇をこれでもか、と描いた感じだった。
義経滅亡に北条義時が関わるというのはもちろんフィクションだろうが、この時に善児を連れていくのは少し違和感があった。梶原景時の手の者として扱われているが元々は伊東祐親の家人であり、頼朝と八戸の子である千鶴丸を沈めた本人であり、千鶴丸を連れたところを義時は見ているはずなのだが、ここでは気づかないというのが逆に何かの伏線になっているのだろうか。
義経を受け入れた藤原秀衡は間も無く亡くなるが、泰衡に跡を継がせるだけでなく庶長子である国衡に正妻、すなわち泰衡の母を嫁がせるとか、義経を将軍として立てるとか火種になりまくることを遺言して死ぬのもよくわからないし、頼朝討伐を決意した義経の元に霊になって現れるのもよくわからなかったが、それだけの力を義経は持っていると判断し、果たせなかった鎌倉攻めを義経に託したということなのだろうか。
それはそれとしてダンサーである藤原秀衡=田中泯さんの体の使い方がやはり突出していて、私の場面では足が、霊として現れた場面では手が強い存在感を持っていたのが印象に残った。
国衡と泰衡の間を裂き、泰衡に義経を滅ぼさせて鎌倉側の手を汚さずに後顧の憂をなくせという頼朝の命を受けて義時は善児を連れて平泉へ行くが、この男を同伴させたら途中で義時自身が寝首を書かれるんじゃないかと見ている側はヒヤヒヤする部分があった。
義時が泰衡を割と直接的な言葉で説得するのは「鎌倉側の手を汚さない」というのとずれてしまったのではないかという気もしなくはない。義時が鎌倉でそれなりの役割を担っていることは当然義経も知っているわけで、ただ単に弔問に訪れたわけではないのはすぐわかるだろう。もちろん義時を殺せば鎌倉側が平泉に攻め込む絶好の口実となることは確かだからその分義時の安全は保証されているといえなくはないけれども。
静御前が身籠った男児は善児に沈められ、郷御前が身籠った女児は土佐坊の襲撃は自分が起こしたと告白した郷御前とともに義経自身が殺して、義経は義時を呼び出し鎌倉攻めの計略を語る。これを梶原景時に見せよという義経との、その奇妙な友情のようなものを描いた部分は、泰衡に攻められて弁慶が戦う様子を子供のようにはしゃいで見ている様子とともに、戦いに生きることのみが自分が生きることだと最後まで思い定めていた感じで、この脚本は源義経像を一つ更新することに成功したかもしれないと思った。
頼朝が首桶に入った義経の首に縋って泣き崩れる場面もまた頼朝像の一つの更新かもしれない。大姫が娘バージョンに、泰時も赤子から子供バージョンに成長した配役になり、2年の月日が物語を更新させたイメージになった。
公式ガイドブックでは前編が20話までなのでこれで終わりなのだけど、後編が今週金曜日に出るようなので21話が始まる前にまた入手しておこうと思う。
ところで、5月22日は元弘3年(1333年)の鎌倉幕府滅亡の日、すなわち時政・義時・泰時から数えて9代目得宗(得宗は義時の号)に当たる北条高時ら北条一族が自刃した日(旧暦・新暦では7月4日)だったのだな。子供バージョンの泰時(金剛)を見ていると、色々思うところが出てくるなと思った。
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