「鎌倉殿の13人」第18回「壇ノ浦で舞った男」を見た。義経伝説にはクライマックスだがこのドラマとしては伏線回だった。
Posted at 22/05/09 PermaLink» Tweet
5月9日(月)曇り
飛び石も含めた連休も終わり、今日から通常営業のところが多いと思うが、なんとなくどんよりとしていてあまりいい天気でない。午後は母を歯医者に連れていく予定になっているのだが、天候がもってくれると良いのだがと思う。普段のこの地区の資源ごみは木曜日なのだが、連休の関係で今日になった。そういう作業もあって朝からいろいろ忙しいのだが、セブンへ行ってジャンプとスピリッツとヤンマガを買ってきた。またジャンププラスの更新もあるからとりあえずジャンププラスとヤンマガの「カイジ」だけ読んだ。「ラーメン赤猫」のクリシュナちゃん(虎)がおかしかった。
https://www.nhk.or.jp/kamakura13/story/18.html
昨夜は「鎌倉殿の13人」第18回「壇ノ浦で舞った男」を見た。このドラマはこの時代を扱った作品にしては合戦のシーンが少ないのだけれど、昨日は範頼軍が九州で戦う場面で義時もなかなかの武者振りを見せていた。またメインの壇ノ浦の戦いでは舟いくさがかなり描写されていて、制作的にも頑張ったなと思った。主人公たちが陸上から壇ノ浦の戦いを見下ろしているという構図はある意味かなり斬新だったなと思う。
物語は前回の木曽義高の誅殺を受けて心を閉じてしまった大姫の描写から入る。それを励まそうとする八重が顔に墨を塗ってちょび髭オヤジになるのはなんというかフェデリコ・フェリーニの演出のような感じがしたが、この作品はまあ、そういうハイコンテクストな部分がかなりあり、見つけてきて楽しむのもまた一つの楽しみ方になっているという感じだ。
義経の独走を心配した頼朝が梶原景時に将を任せると言ってくるが、景時と義経は小芝居を打って比企能員に義経が大将であることを認めさせる展開など、従来のこの二人の関係描写にはない演出なのだが、後半で頼朝に義経が戦いの天才であることを報告しながらも無慈悲であるとか鎌倉に入れるべきでないとか進言して義時にとがめられても天に味方された男であることは義経も頼朝も同じである、と両雄並び立たずのようなことをいう。義経は天才であるからこそ今後の頼朝の邪魔になる、という判断で景時は動いているというのはなるほどと思った。
戦いの最中の平家の滅亡、安徳天皇の入水などは平家物語のクライマックスを源氏方から見ているという演出が面白いと思ったし、義経も彼らが皆入水するというのは予想外で慌てたり、それを見ていた船の上の畠山重忠と陸上の和田義盛の二人が合掌するというのも今後もある種のお神酒徳利として演出していくのだなと趣向を感じた。
一番印象に残る場面は戦いの後、浜に打ち上げられた兵や水手たちの遺体の場面だろうか。ウクライナで無惨な姿を見せられた後に本当には生きているであろう人々のこういう姿を見るのはやはりドラマというのはフィクションだからこそある種安心して見ていられるのだなと思うところはあった。
功成った義経が法皇に優遇され、また与えられたであろう静と釣りデートをしているところに郷御前が現れ物陰から見ているというのはまあちょっとやりすぎな感じはしたが、静のああいうはしゃぎ方は普通描かれないので出しておきたかったのだろうなと思った。
頼朝が御家人たちの前では義経が安徳天皇を救えなかったこと、三種の神器を沈めてしまったことなどに小言を言うが、政子の前では「九郎はよくやった」と本音を言うのがまあこれはこれからの兄弟の悲劇の序章ということなのだろうと思った。
鎌倉に下って頼朝と話たい義経を京都に引き留めようとする法皇が丹後局の提案で義経が検非違使として鎌倉に連れていくということで義経は鎌倉に行けることになるが、景時の「讒言」により鎌倉に入れず、手紙を書いたらどうかと宗盛に言われるが書く気にならないでいると宗盛が私が書きましょうかと「腰越状」を書く、という展開はなかなか奇想天外な奇手という感じの脚本だった。まあ流石にあり得ないと思うが、頼朝に会えはしなかったが宗盛に恩義を感じ、親子水入らずで一晩過ごすことを認めることにつなげる。
「八幡神の化身」である義経は壇ノ浦の戦勝で「これから私は誰と戦えばいいのか。戦場にいない自分に価値はない」と述懐した後、憑き物が落ちたように普通になってしまい、宗盛親子人情を見せたり腰越の農民たちに芋を振舞ったりする感じになる。
まあ悲劇の前の静けさではあるのだが、こういう余情のあるラストはこのドラマにおいては久しぶりであり、ひとときの安らぎみたいな場面だった。ただまあ、今回義時は傍観者としての役割が最重要で、能動的に対処を迫られる場面はほとんどなかった。「壇ノ浦の戦い」のような通常ならクライマックスの回を主人公にとってのある種の休息回、ということは実質的なドラマ全体でのつなぎ回にするという演出はなるほどこういう技の出し方もあるかと思ったのだった。
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