清明/ウクライナと「ウクライナ以外のロシア」
Posted at 22/04/05 PermaLink» Tweet
4月5日(火)晴れ
今日は二十四節気の清明。春の暖かな日差しの中、天地万物が清らかな明るさに輝いている様というが、実際にはまだまだ寒い。ただ、清明というと中国宋代の絵画、「清明上河図」を思い出す。都の開封の繁栄ぶりを描いた12世紀の作品だが、ある種中国のあるべき姿を描いたような平和で繁栄した絵柄で、宮崎市定先生の本などを読んでいても、戻ろうとしても戻り得ない中国の市民社会の姿みたいなものが描かれている感じがする。女真・蒙古に征服された後、明・清・民国を経て現在に至るまで、中国は癒せぬ傷のようなものを負っているように思うし、それが故の領土拡大志向みたいなものがあるように思うが、それはまたロシアも同じなのかもしれない。
ロシアが平和だった時代というのはちょっと思い付かないが、例えばキエフ・ルーシはそうだったのだろうか。東スラブの文明史の中でキエフを中心とするウクライナとモスクワを中心とする新しいロシアは時に同じ、時に違う歴史を辿ってきて、ソ連邦の崩壊とともに別の国家になったが、「ウクライナ以外のロシア」の中心であるモスクワは、ウクライナを手放すことができなかったのだろう。ソルジェニーツィンはウクライナが別国家になったことを「生木を割くようだ」と表現したが、ウクライナでもそう感じた人はいただろうけれども、全てを変えたのがロシアによる一方的なクリミア併合だった。そこから歯車が狂い始め、現在はこんなことになっているが、「別れた家は立つことができない」のリンカーンのたとえ通り、すでに別の家として立て直さなければいけなくなったウクライナとロシアを、プーチンが無理やり一つの家に戻そうとしている感じがする。
ただ戦争の中でキエフの占領はすでに断念した感があり、そうなるとドンバスとクリミアだけをロシアに復帰させてとりあえずはロシアを立て直そうという方向に今は考え直しているようにも思われる。プーチンのウクライナへの執着はおそらくは彼個人だけのものではないと思うのだが、ロシア人全体がそう考えているわけではなく、平和共存の方がベターだと考えている人も多いだろう。望まれるのは政権交代だが、北朝鮮のようにいつまでも極端な政権が継続する例もある。ただロシアの方がまだ柔軟であるようには思うから、こうした覇権路線を見直す方向で政権を立て直してもらいたいものだと思う。
二十四節気は清明で、七十二候は「玄鳥至」、つまりツバメが飛来する時期、ということなのだが、流石にまだツバメには早い気がする。水仙やクロッカスなど春に咲く花はもう咲き始めているのだけど、当地はまだ桜には早い。4月の二十四節気は清明と穀雨だが、旧暦で言えば今は弥生(3月)で、春の終わりつまり季春ということになる。春が終わるにはまだ寒いのだけど、月が変わればもう立夏。これから急速に草木も成長し、また草刈りが大変な時期になるな、などと思う。雪かきはもうしなくて済むとは思うけれども。
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