「鎌倉殿の13人」:「理解のある彼くん」すぎる北条義時/ロシアのウクライナ侵略:ロシアとトルコの間の「東京卍リベンジャーズ」的なリスペクト

Posted at 22/03/28

3月28日(月)晴れ

さすがにだんだん春っぽくなってきた。3月ももう終わり、学校も春休み、新年度も間近。なかなか最近は土曜日までの疲れが日曜日に取れなくて月曜日に持ち越してしまうことが多いのだが、まあ今日もちゃんと取れてるとはいえないけど昨日の昼間に数時間うたた寝したのが割とプラスになってるのではないかという気がする。ブログを書くのが遅くなったので遠くには出掛けられなかったが、綿半で職場の照明を修理する部品と夕食を買って帰ってきて、早めに食べてから「鎌倉殿の13人」をみた。

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https://www.nhk.or.jp/kamakura13/story/12.html

「鎌倉殿の13人」第12回「亀の前事件」。政子の懐妊から比企能員の乳人としての取り立て、新たな官僚としての大江広元の登場。また頼朝が愛妾の亀に屋敷を与えたことから義時から伝言ゲームで(特に実衣が重要だが)牧の方にそれが伝わり、政子に複雑な感情を持つ牧の方が政子にそれを伝え、「後妻打ち」を唆す。後妻打ち(うわなりうち)というのは当時一般的な風習なのかと思っていたが都人の悪戯的な描写の仕方で描かれていて、それが牧の方の兄の牧宗近が面白そうだと話に乗り、それを止めようと義時が亀の屋敷の警護を頼んだ義経がそれを知って宗近に「協力して」大暴れして完全に屋形を破壊したことで大ごとになってしまう。

結局義経は謹慎で済むが、頼朝の怒りは宗近に向けられて元どりを切るといういわば侮辱刑に処せられる。そのことで逆に北条一族が結束して頼朝の浮気に抗議するが、頼朝が逆ギレしたことで今度は時政がキレて伊豆に引退すると言い出し、慌てた頼朝が義時に「なんとかしろ!」と丸投げする。

細かい場面で面白いところは色々あったのだが、脚色として面白かったのは戦わせてもらえない九郎義経の鬱屈ぶりとそれが爆発した屋敷の破壊だろうか。あとは「無学の」上総広常が頑張って手習をしたり義時に頼まれて亀の前を匿ったりしているところはまあアレなのだが、そう遠くない将来上総が討たれることへのフラグを立ててるのかなという感じではあった。実際の上総は大国の在庁官人なので「武衛」という言葉も知ってるはずだし読み書きも当然できたはず、という歴史学者の指摘があったが、この辺は「無骨な関東武者の一つの典型」としての描かれ方になってるのだろうなと思う。

伏線的にいえば政子が頼家を比企の妻に取り上げられて親子の縁が薄くなることを心配するところが比企の乱の下敷きになるわけだし、相変わらず梶原景時が義経の「悪事」を細かく報告するところなど対立の種が撒かれてるなという感じではある。

あと疑問に思ったのは、梶原景時とか大江広元とかいきなりやってきた「謀臣」的な人物を頼朝がなぜいきなり信頼するのか、というのはちょっとどうなのかなという気はした。景時に関しては石橋山で見逃してもらった恩、ということで説明は可能だと思うが、広元はそれまでの頼朝との関係が描かれていないからなぜ?という感じはある。ラストシーンで広元が何を言い出したのかが「ヒキ」になっているのでこれは天界からしたら上総の追い落としではないかという気はするが、このドラマにおける上総の描かれ方からするとそれがどのように実行されるのかはちょっとなかなか視聴者のどういう感情に訴えようとするのかが見えないなあと思う。

次回はどうも木曾義仲が出てきそうだし、そうなると息子の義高が鎌倉に送られ大姫と許嫁になる、みたいな展開はありそうな気がするが、上総に関してはよくわからないのでちょっと気になるところではある。

しかしまあ、このドラマには「ろくな男が出てこない」という感想を持っていたのだけど(三浦義村が亀をナンパしようとして女なら誰でもいいのかと義時に言われると「頼朝の女を盗ることで俺は頼朝を超える!」という厨二的な謎理論とかはかなり凄かったが、こういう男っているんだよなほんとに)、今回は「ロクな女が出てこない」という回でもあったなとは思った。牧の方(りく)の政子に対する嫉妬、政子の頼朝と亀の前に対する怒り、実衣(そういえば阿野全成との婚姻は今回だった)の噂話の欲望となんというか「女性の三悪」みたいな感じの描かれ方だなと思ったが、頼朝の側女であることで態度が大きく八重をいじめ上総や三浦にも色目をつかう亀の驕慢と淫乱、千鶴丸の恨みで父の死を飲み込み、小四郎の親切を拒絶し、頼朝の酷薄さも良い方に解釈して頼朝へこだわり続ける八重の執着なども描かれていて、まあ私がみた感じではなぜ小四郎はこんな女性にいつまでも恋慕の情を持ち続けているのかそこは相当疑問ではあった。

しかしまあこういう女性というのはおそらく存在して、その「理解のある彼くん」であろうとする義時みたいな男性もやはり存在するし、「こういうヤツっているよな」的な男と女を時代劇で描くことで一気に現代性というか生臭さを持たせるのが三谷脚本の流儀の一つなんだろうなと思った。

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夜はなんとなくTwitterを見ていたら国際政治チャンネルで小泉悠さんと東野篤子さんが出演している土曜日に放送された動画を見つけ、それをつい最後まで見てしまった。こういう動画で1時間以上見たのは多分初めてだと思うが、かなり見応えがあった。

https://www.youtube.com/watch?v=zbo_YfU_xfw&feature=youtu.be

面白かったことをいくつかあげると、「ロシア人は殴っても平気な顔をしてる奴は信用しないが殴り返してくる相手をリスペクトする」という話で、トルコとロシアの関係はアゼルバイジャンでロシアの意図を挫いたりシリアで政府軍機撃墜したりしても壊れていないわけで、すごい納得できるものがあった。「拳を交えてこそ真の友達」みたいな「ワンピース」とか「東京卍リベンジャーズ」の世界なんだなと。

このトルコのロシアとの関係が割と発見だったというか、マクロンだけでなくエルドアンもしょっちゅうプーチンと電話してて、お互いに腹を立てて喧嘩したりしてるというのが面白かった。ロシア人はトルコが好きで結構行ってる人が多くて、またトルコはNATOに入ってはいるけどEUではないので制裁には参加していないから、ロシアから逃げ出した元高官がイスタンブルのATMで現金を引き出したりしてるという話が面白かった。

深刻な話では、2014年以来、ドンバス紛争ではすでに14000人も死者が出ているとのこと。ここはロシアもウクライナも譲れないから死者が増えてるんだろうなと思う。マウリポリも典型的にそうだがウクライナ東南部ではかなりひどい人道危機が起きているわけで、「この危機に手を出さず化学兵器の使用にこだわる」倫理的な根拠はあるのか、というテーマがかなりどうなのという感じはあった。

あと、イスラエルがロシアをひどく怖がっているという話も新鮮だった。シリアであんなめちゃくちゃやった国家がすぐそばに来てるということが強い恐怖の対象なのだと。イスラエルって頑強不屈なイメージがあったけど、そんなものだったのかと。ベネットが新任なことも思うように動けない理由の一つだろうと。ドイツのシュルツもそうだが。色々言われているがシュルツはよくやっているというのが昨日の放送の評価だった。

あとはゼレンスキーの日本における演説で、彼が「いかなる国の侵略も許さない」と言ったのは今のロシアだけでなく将来の中国による侵略行動も許さないという含みがあったのに日本ではそれが見落とされていたのは残念だという指摘があって、ああなるほどと思った。これは「中国との対立」はネットではかまびすしいけどリアルでは中国とことを構えたくない人がたくさんいるわけで、あえて見逃されてたこともあるのかもしれないと思った。

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あとウクライナ関連では、ロシアの軍需産業が生産ができない状態に陥っているという話をネットで読んだのだが、戦車砲は構造上常に交換しなければいけないのだがこの合金が結構ノウハウと技術の粋のようなもので、ロシアでは生産できる工場がほとんどなくなっているとのこと。ソ連時代は軍需産業に携わる人たちは尊敬され収入も高かったが、現在では完全な斜陽産業で、電子部品なども含め多くの部分を輸入に頼っているのだという。ロケットなど宇宙産業や製薬産業は高度な知識の集積を必要とする「知識産業」であるわけだが、軍需産業も高度な知識産業であることを改めて認識した。

こういう動画をついずっと見てしまったためにまた寝るのが遅くなって寝不足になっている。今朝は5時ごろ目が覚めてしまってジャンプやスピリッツ、ヤンマガを買ってきたのだが、もう8時を過ぎてるのにまだ全然読んでない。読むものが多い。

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