天皇誕生日/ウクライナ危機:「ソ連はまだ終わっていない」/クリーンエネルギーとしての水力と原子力
Posted at 22/02/23 PermaLink» Tweet
2月23日(水・祝)晴れ
今日は天皇誕生日、天皇陛下は62歳になられた。私が大学生の頃蓼科でバイトしてた時に学習院史学科のゼミ旅行のようなもので近くに宿泊されて、私が働いていた店でお買い物あそばされたので龍顔を拝見したことがあった。あれからちょうど40年だな。月日の経つのは早い。
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ウクライナでは緊張が高まっている、というかプーチン大統領が独自の歴史観を披瀝しておられて、「ロシア国紀」などと揶揄する声があったが、あれは冷戦崩壊後一方的にやられてきたロシアの「歴史の復讐」という概念が「ユーラシア主義」と結びついたものなんだという話を読んで、であるならばこれは戦時中の日本の「近代の超克」や戦後ロシア冷戦下の「社会主義の希望」、冷戦崩壊後のイスラム過激派のジハード主義、中国の新中華思想などと並んで新たな国際社会=アングロサクソンorEU主流派に対するアンチテーゼではあるなと思った。
それがウクライナ侵略だ、というのはなんというか少しせせこましいというか自分の足を食うタコのような感じがする。ウクライナはロシアの一部というよりロシアの母胎みたいな国OR地域だと思うのだが、モスクワ中心に発展したロシアのモンゴル後継帝国的な野蛮な強さみたいなものに対する拒絶感のようなものが周縁国で育ってきていることに対するある種の焦りや怒りのようなものもある感じはする。
ソ連崩壊はロシア共和国がソ連邦から独立したから起こったわけだけど、だからその論理で他の共和国の独立も認めざるを得ず、多くの民族国家が独立したわけだけど、それでなぜ帝国たるロシアは平気なのか割と不思議だったのだが、バルト三国やグルジアなどがロシアを離れていくとそれを取り戻そうという動きが強く働くわけでロシアの心情的にはソ連は崩壊していないのだろうと思う。というか、今まさに崩壊しつつある感じがするのかもしれない。
しかし形式的だとロシアが思っていても独立して主権国家になっている以上、それはその他の国々と同じように扱うべきだというロジックがロシアにはあまり通用しない、というかロシアにはまた別のロジックが働いているのだろうと思う。欧米諸国がウクライナを普通の主権国家として扱うのは、ロシアとしてはそれは違うだろうと言いたいのだろうと思う。
つまりは「ソ連はまだ完全には終わっていない」ということなのではないかと思うが、このドラマがどういうエンドを迎えるのかはまだちょっとわからない。
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「資本主義の新しい形」3-2-4脱炭素化と経済成長は両立する を読んでいる。
「脱炭素化と経済成長は両立する」という著者の主張は2000年以降の「デカップリング」という現象によって裏づけられるという。つまり、経済成長とCO2排出量は伴って伸びていたが、2000年以降は経済成長が進んでもCO2排出量が増えない国々が増えてきた、というわけである。示されているグラフではフランスとスウェーデンが特にその差が開いてきていて、これらの国々は日本より成長率が高く、日本は両方とも成功していない後進国になりつつある、というわけである。
またGDPをCO2排出量で割った「炭素生産性」というものを考えてみるともっと明確になる。これはスイスが圧倒的に高いのだが、1995年には日本は2位だった。しかし現在ではアメリカと並んで先進国中最下位になっているという。
日本がこうした状況なのは発電所が火力中心であることと産業部門で立つ炭素化が進まないことが大きいという。欧米諸国は「資本主義の非物質化」を進めることで脱炭素化も進めてきたが、日本はものづくりのこだわりすぎてそれができていない、というのが著者の主張である。
これらの論点には色々と疑問もあるのだが、一つはフランスがCO2排出量が増えないのは原子力発電所を使っているからだということがある。日本が近年火力発電の割合が増えているのは一つには東日本大震災後の原発停止状態が響いているわけで、原発を稼働することは一つの対策になり得るが、それが他国のエコロジストと違って日本では受け入れられないという問題がある。
スウェーデンもまた水力発電が47%、原子力が35%であり、「脱ダム」がエコロジストのテーマとして掲げられてきた日本で同じことをするのはまた難しいだろう。
太陽光などの代替エネルギーが自然破壊と隣り合わせであることを考えれば、どこで環境負荷を負担するかという問題は避けて通れない。日本の石炭火力のクリーン化という選択はいわば苦肉の策なのだが、なかなか評価はされていない。水力と原子力を改めてクリーンエネルギーとして評価し直すことが必要なのではないか。
また炭素生産性でいうと、スイスは時計のロレックス、医薬品のノバルティス、食品のネスレなどのグローバル企業を持ち、大きな知的資産を持って高い付加価値のある製品を作り出してきたことがその高さを実現しているわけで、国の規模も永世中立国という立場も銀行の秘匿性の高さからの情報の世界からの取り入れやすさなども、この国ならではの特殊性がかなり高いというところはある。
日本もクォーツ時計の服部セイコーや数々の医薬品メーカー、グローバル企業で言えばトヨタなどもあるけれども、日本の人口を養うためにはそれらだけでは足りないわけで、一億人の人口を抱えてこう付加価値の産業を起こしていくことの困難さを改めて感じる。ただ、石油ショックの頃にはそれができていたから日本は世界一とも言われる経済大国になったわけで、ボタンのかけ違いを元に戻せばなんとかなる部分もまだあるだろうとは思うのだけど。
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