人権のための費用/脱炭素化という投資機会/「温暖化」「女性の権利」という胡散臭さとロシア・中国など権威主義諸国の台頭
Posted at 22/02/19 PermaLink» Tweet
2月19日(土)晴れ
まだまだ寒いが、夜が明けるのがだいぶ早くなってきて、同じ時間に外に出ると思ったより明るいなと思うことが多い。今朝も気温はマイナス7度まで下がったが、空が明るいので思ったより寒さを感じなかった。空の色も冬の深い色から春の淡い色に変わりつつあるし、夜明けに見た月も淡く滲んでいて、春が近づいていることを感じる。今日は二十四節気の雨水。七十二候では土脉潤起(つちのしょううるおいおこる)で雪から雨への季節。まだ当地は雪が残っているのだけど。
***
いろいろ考えることがあって、コロナ禍がいろいろな社会変化をもたらしている面があるのだけど、その辺のことについて少し考えた。
日本の予算のかなりの部分は社会保障関係費が占めているということは良く知られているが、これは「人権のための予算」だということは忘れてはいけないよなと思う。
人権を守るためには金がかかる。最近はネットを見ていても「高齢者に金をかけて若者の雇用が守られないのは老人による若者の搾取だ!福祉を減らせ!」という主張がある。それらは一見尤もらしく思えるがその主張の裏には、「人権より経済成長を!」という新自由主義的な圧力があることは忘れてはいけないように思う。
経済成長が不可欠であることはたしかなので今は設備投資・人的投資・研究開発投資その他多くのことが必要なのは確かなのだが、日本政府は財政規律にこだわりすぎてそれができていないように思われる。
「世代間対立の煽り・投資の停滞・財政規律の盲信」の三つが結びついてしまっていて、この三位一体を崩さないと日本の復活は難しいように思うが、どれもなかなかマインドコントロールがきつくて新しい道に進めていないように思う。
ただ、このコロナ禍で新たな可能性が見えたところもあるのではないかという気がする。今までは育児休暇でキャリアが断絶するという話が問題になっていたが、例えばそれはリモートワークで解決する部分があるのではないかと思った。そのための環境整備はかなり必要な部分はあると思うが、キャリア的な生き方を望む女性やその家庭にとっては、働き方の新たな形としてそういうものはあり得るのではないかと思った。
いずれにしてもピンチをチャンスに変えるような発想がないと、なかなかこの停滞を脱していくことは難しいだろうなとは思う。
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「資本主義の新しい形」3-2-2新しい投資機会としての脱炭素化 を読んでいる。この項では地球温暖化が現実の問題になってきていること、パリ協定で全ての国が温室効果ガス削減を約束したこと、またこの転換こそが新しい投資機会であること、また実際にオランダのDSM社が事業構造の転換を柔軟にやり続け、現在では脱炭素化こそがこの会社の収益源になっており、この機会を収益源にすることの成功例となっているということを述べている。
DSMとはDutch State Minesという国営の炭鉱会社が元になっている企業で、現在では化学事業を中心にライフサイエンスの分野に進出しているのだという。「炭素化」の会社が「脱炭素化」の音頭をとっていると言うのも話としては面白いが、それだけ事業構造の転換を繰り返してきた企業だと言うことなのだろう。
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産業界ではどこでもそうだがこうした動きには反発は必ずあるわけだが、日本では特にそれが多い気がする。不思議に思うのは、1980年代に排ガス規制が問題になった時、それらを最初にクリアしていったのは日本企業だったと言うことだ。世界の思潮に対応して新たな変化を生み出すのはむしろ日本のお家芸のように思っていたのだけど、なぜこう言うことができなくなったのかと言う素朴な疑問はある。
まあこれは私もそうなのだけど、「地球温暖化問題」と言う問題設定にはどこかしらの胡散臭さがつきまとう感じがある。元々気候変動というものは大規模なものがあって、20世紀は災害については他の時代に比べて少ない方だったと思う。21世紀はそうではないようだが、そのどれくらいが人間活動の影響によるものなのか。これはおそらく多くの人が感じていて、それゆえにあまり積極的になれないと言うことはあるのだろうと思う。これらはフェミニズムに対しても感じることで、「女性の権利伸長」というが、人権という概念に元々男女の違いはないのだから、単に人権伸長と言えばいいのを殊更女性と言い立てるところが胡散臭さを感じるのだろうと思う。
しかしこれも日本の特徴でもあるのだけど、世界の思潮が大きく変わっているのにそれについていけなくて、たとえば戦間期の不戦条約後に満洲事変を引き起こして非難を浴びるような、空気の読めなさ、「ルールの変更への鈍感さ」みたいなものがあるのはまた確かだろうと思う。
環境やフェミニズムの旗を振る人たちはこうした「ルール変更への鈍感さ」を主張して「世界に乗り遅れる!」と騒ぐわけだけど、ルールが変わっても胡散臭いものは胡散臭い。また現代ではその間隙を縫ってロシアや中国などの現在では「権威主義諸国」と呼ばれる半独裁的な国々が自由主義諸国に対してアドバンテージを取るようになってきているわけで、そうしたところへの目配りやバランスなどは逆に彼らには欠けているので、どちらも見据えながらより効果的な手を打って日本国がなるべく豊かで平和であるようにしつつ生き残っていかなければならないので、その舵取りはなかなか難しいだろうと思う。
現在の日本がこうした変化に対応しにくくなっているのは、そうした思想的な問題もあるけれども、80年台のようなフットワークがかけてきている、つまりは国力の低下がその背景にあることも確かだろう。色々な問題に対応しながらも、国力は再び向上させていかなければならないわけで、その辺のところをしっかり見ていかないとなと思う。
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