資本主義の構造転換と「脱炭素化=環境への取り組み」の憂うべき現状
Posted at 22/02/18 PermaLink» Tweet
2月18日(金)晴れ
今朝はよく晴れているので、冷え込んでいる。朝起きて洗濯機を回そうとしたら動かない(水が出ない)ので気温を確かめたらマイナス7.6度だった。このくらいの気温は洗濯機の水道が出るか出ないか微妙なラインなのだが、測候所の気温よりもうちの方が気温が低いということはあり得るので、実際にはもっと低いのかもしれない。
***
「資本主義の新しい形」:3-3資本主義の非物質的展開としての「脱炭素化」3-3-1資本主義の死命を決する脱炭素化 を読んでいる。ここから著者はおそらくは専門に近い、脱炭素化の問題について書いている。
脱炭素化はもちろん世界的な気候変動に対して、温室効果ガス特に二酸化炭素の排出量を減らそうという取り組みのことを指している。具体的には石油や石炭などの化石燃料から太陽光発電などのクリーンエネルギーへの転換というのがその方策であると考えられている。
現実問題として火力発電や石油系の燃料を使用した内燃機関による産業や輸送機関の使用は現在の資本主義の前提中の前提のインフラストラクチャーであり、それを他の手段に転換するというのは世界史上稀に見る大規模な構造転換ということになる。
それだけに日本では産業界の抵抗も根強いし、一般にもかなり心理的な抵抗があるのは事実だ。実際問題として私自身もこの動きに関してはいろいろと懐疑的な部分が大きい。
ただ、前回見たようにすでにテスラという成功例もあり、これが新たな資本主義の発展に結びつく可能性があるのならば、やってみる価値は、少なくとも考えてみる価値はあるのではないかという気はしてきた。
地球環境問題・気候変動が専門家や運動家の主張するように世界の状況を危機的なものに追い込むのであるとすれば、人間の営為自体が困難になり、現在の経済世界もやがては大打撃を受けることになるだろう。そのシナリオ自体に私自身としては疑問はあるのだけど、活発な経済活動が成り立つ前提として安全な環境の整備が重要なことは言うまでもない。現在のウクライナ危機で市場が乱高下しているのも、そうした危惧の念から来たことは確かである。
著者は「脱炭素化」を進行させること自体が現在日本経済に求められている構造転換、「情報化・無形資産化・サービス化・デジタル化」を推進することと重なってくる。これらの転換が進めばエネルギー投入量は減り、温室効果ガスも削減されるから、むしろ「脱炭素化と産業は両立する」、むしろ相互補完的なものになる、と主張している。
確かにこれはうまくいけば、の話ではある。
しかし私が考えたもう一つのことは、現在の日本の地球環境対策の上滑りの問題だ。小泉前環境相がレジ袋の有料化を推進したのに今になって「あれは自分の案ではなかった」と言い出したり、地球環境を改善するはずの太陽光発電もメガソーラーが森林を伐採したり谷を埋めたり自然環境を破壊して(その結果大規模地滑りに結びついた可能性もある)進められているという戯画的な状況は、日本においてこうした環境対策が社会に根本的には受け入れられていないということを示していると思う。
ちゃんとしたグランドデザインを描き、それに経済界も参画して整合的・合理的にこうした対策が進められていればこうした齟齬はもっと少なかっただろうと思う。環境省や一部の運動家の先走り、ないしは目端の聡い業者の「後は野となれ山となれ」式の一時のブームからの利益吸い上げ、という風に割と冷ややかに見ている人が多いのが現状ではないかと思う。
だからもしこれらの対策に取り組むべきだというのであれば、現在すでに起こっている問題をいかに少なくしていくかも産業界や他省庁も積極的に参加する形で合議していく必要があるのだと思う。その中で先行して取り組むべきもの、対策可能なものなどについて考えていくべきなのではないかと思う。現状は割と憂うべき状況だと思う。グランドデザインが必要だろう。
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