日本の製造業の収益性の低下とガラパゴス化

Posted at 22/02/13

2月13日(日)曇り

今のところ降ってはいないのだけど、午後から雪になるという予報。まだ結構雪が残っているのにこの上に降るかと思うと少しうんざりだが、まあ状況に合わせて色々動くしかないという感じだろうか。食糧も買い出しておかないといけないだろう。

「資本主義の新しい形」3-1-2労働生産性と収益率の低下 ここでは日本経済の低迷を裏付ける数字について考えているわけだけど、国内総生産を就業者数で割ったものが労働者一人当たりの国内総生産ということになり、それがすなわち労働生産性になるわけだけど、ここでは製造業の労働生産性について検討されている。

製造業の労働生産性は製造業が生み出した付加価値(出荷額ー原材料費ということか)額を製造業就業者数で割ればいいわけなので、分子の「付加価値額」を増やすか分母の「製造業就業者数」を減らせば労働生産性は向上する、ということになる。

製造業の労働生産性は実は1995年・2000年では日本は1位だったのだが、2005年には8位に転落し、2016年には15位にまで落ちている。とても「ものづくりの国」とは言えない状況だ。ただドルに換算した水準で1995年に88だった日本は2016年には99で、減っているわけではない。しかし1995年に55だったアイルランドが2016年には447で世界一になっていて、つまりは「労働生産性の飛躍的向上に成功した国」と「それが達成できていない国」の間で明暗が分かれている、ということになっているわけだ。つまり日本は「この20年で製造業の労働生産性向上に最も失敗した国の一つ」ということになるわけだろう。

また収益を総資産をで割った総資産比率=ROAを国際比較すると、アメリカやドイツに比べて日本企業はかなり低い。アメリカは10%前後、ドイツは5%前後の収益を上げているのに日本は3%程度になっている。(2010年)

つまり労働者の数や規模の大きさを生かした経営が日本の製造業の企業はできていないということになる。労働生産性というと「労働者の働きの良さ・悪さ」ということにされがちだけれどもそんなことはなくて、より付加価値のあるものの製作に取り組んでいるかという問題だろう。だからここは日本企業が「より高く売れるものを作っていない」という問題になる。

日本では数十年間デフレ状態が続き、賃金も上がっていないから、日本市場では安いものでないと売れないし、消費者の目も厳しいので、日本市場向けのものはコストを削減して尚且つ品質の良いものを作らなければならない。つまり品質を向上させてもそれが利益に結びつかないわけだから、この競争はもともと無理ゲーということになる。

また日本の消費者に売れるものという視点のみで物を作ると日本の消費者の嗜好に特化した製品になりガラパゴス化するという問題点もある。携帯電話市場で日本が存在感を失ったのは文字通りガラパゴス化した携帯の問題はあっただろう。ただ、そういうニーズは必ずあるので、それが完全になくなるのも消費者にとっては痛し痒しである。

そのほか「日本の製造業の抱えている問題」はたくさんあることがこの本を読んでいるうちにわかってきたのだけど、おそらく今までも色々論じられていることは多いと思うので、ある程度まで読んだらその辺を広くまとめてみたいと思う。

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