「鎌倉殿の13人」:大河ドラマというビルドゥングスロマン/大雪/日本古代の王統
Posted at 22/02/14 PermaLink» Tweet
2月14日(月)晴れてきた
昨夜から大雪。前回より降った感じがしたのだが、アメダスの記録を見ると積雪15センチで、前回より少ない。(前回は28センチ)でも朝から各所の雪かきをして回ったのと、昨夜はインドの友達と長話をして寝るのが遅くなり、起きるのもいつもよりだいぶ遅かったせいもあって、ひと段落してご飯を食べ、さてブログを書こうと思って座ったらもう10時近くになっていた。
昨日は夕方岡谷まで出かけて本を2冊と中古CDを3枚買った。牧本次生「日本半導体復権への道」(ちくま新書)と古市晃「倭国 古代国家への道」の2冊。前者はこのところ考えている日本経済の復活の話を考える一環として買ってみた。後者は古代の統一までは王統が幾つかあり、それらのいくつかの王統の中から「大王」が出てきた、というようなことが書いてあって、割と興味深かった。
後者に関連していうと、古代の話を読んでいると系統がわからないけど「王」を自称する人物が色々と出てきていて、他の人たちもその称するところを認めているようなのでそういうのも実は現皇統とは違う王族であったと考えると辻褄が合うのかもしれないと思ったわけだ。
系統のわからない「王」は具体的にいうと万葉集の歌人として有名で大海人皇子・中大兄皇子の双方に寵愛されたとされる額田王や、平清盛の時代に関東で勢力を張っていた興世王などがいる。ただ興世王は武蔵権守に任ぜられているので光孝天皇の三世王の可能性が指摘されているようだ。額田王も宣化天皇の子孫説があるようだがこれもはっきりはしていない。まあ興世王はともかく額田王の時代にはそういう王統の子孫もいたのかなという気はする。
CDはケニー・ドリューの「アンダーカレント」、ウェス・モンゴメリの「インクレディブル・ジャズ・ギター」、ビヨンセの「B'Day」の3枚。どれも安かったので聞いてみようと思って買ったのだった。
***
夜は「鎌倉殿の13人」第6話「悪い知らせ」を見た。石橋山の敗戦後逃げ回っていた頼朝たちが梶原景時に見逃してもらい、救援に来た三浦氏らとも行き違った後、甲斐の武田の説得に失敗した義時とともに真鶴岬から土肥氏の小舟で相模灘を渡り、安房に上陸して安西氏に匿われ、集まった東国武士たちとともに再起を図るため、上総広常に交渉に行く、という話になるところで終わった。
実際に海を渡った船があんなに小舟だったのか、あれで物理的に大丈夫なのかとかかなり不思議には思ったが、実際にはどのように考証されているのかなとかはちょっと気になった。安房の安西景益という武士は知らなかったが吾妻鏡によれば頼朝の幼少の頃から親しかったとのことなのである程度の地位はある武士だったのだろう。
北条時政と義時は甲斐まで行って事実上交渉が決裂して帰ってきてそれから頼朝らとともに、あるいは前後して安房に船で渡ることになるが、これは流石に忙しいのではないかと思った。和田義盛がかなり単細胞に描かれていて、後の侍所別当になる約束が安房での軍議でなされているというのはどうかなと思ったがまあ話としては面白いかなとは思う。和田が三浦の一族であるということはこの放送を見るまではちゃんと認識していなかった。
流れとしては敗戦から態勢を整えての再起の準備、というところなのだけど、その間に主要ないく人かの人物、特に義時の兄の宗時の死が、仁田忠常が持ってきた仏像によって示唆され(それが「悪い知らせ」なわけだが)、その後の義時の発言が重みを持っていく感じの変化が演技的にも興味深かった。冷静な観察で頼朝には思ったことを直截にいう描写は面白く、何度目かの「もう戦わない」と弱音を吐く頼朝に義時は「あなた抜きでも平氏と戦う」と突き放し、「俺なしでできるものか!俺が棟梁だ!」と頼朝の負けん気を引き出す描写が「冷徹・有能なナンバーツー」描写らしくて面白かった。
後白河法皇は渡海時の頼朝の持つ桶の水に映ったり再起を期して盛り上がる武士団の中にしれっと混じっていたり便利に使われすぎなんじゃないかとは思ったが、西田敏行ならまあいいかという感じもあって面白かった。
また八重は生きていると信じていた千鶴丸がすでに亡くなっていることを知ったのは可哀想だったが、伊豆山権現を訪ねて政子たちに「佐殿が夢枕に立たれて無事だと言いました」としれっと言い、政子が憤慨して桶を蹴飛ばすあたりが「後が大変だろうな」と思ったが、八重はこの調子で今後も使われていくのか、まあ結構大変な役だなあとは思った。
平家方の大庭や伊東はともかく、甲斐の武田信義、上総の上総広常と頼朝や頼朝が集めた武士団よりもはるかに大きな勢力を持った集団がある中で、頼朝がどうやって彼らの上に立っていくのか、そのあたりの展開が見どころだろうなと思う。
大河ドラマの主人公というのは歴史的人物ではあるのだが、ある意味での「成長」が描かれていくビルドゥングスロマンの主人公でもあるわけで、北条義時という人物が度重なる試練の中で成長していくさまがこれからの見どころだろう。また一方ですでに弱点も欠点も好き嫌いの激しさとか女好きとかが晒されている源頼朝という人物が要所要所で見せる武家の棟梁らしさみたいなものがどのように成長ぶりを見せていくのかも興味の惹かれるところではある。
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