プーチンがこじ開けたパンドラの匣/「鎌倉殿の13人」:ほとんどの場面で裏で動いていて主人公とはいえ忙しすぎる北条義時
Posted at 22/02/28 PermaLink» Tweet
2月28日(月)晴れ
今日もいい天気のようだ。ウクライナ情勢はベラルーシのルカシェンコの仲介でベラルーシ国境でウクライナとロシアが停戦交渉に入るとのこと。この先まだ予断は許さないが、おそらくロシアはかなり大きなものを吹っかけてくるだろうから、それにウクライナがどう返答するか。この先どう戦っていくかはウクライナ自身が決めることなので見守るしかないが、支援できることがあったら支援できたらと思う。
この先の世界のことについて考え始めるとかなり暗澹たる自問自答が始まるのだが、とりあえず自分自身としてはできること、やるべきことをするしかなく、自分の生活者としての立場から世界にどう関わっていくかを考えるしかない。この先の不幸について予測することも必要ではあるのだが、それはその立場の人たちがやることをしっかり見ていくしかなく、また自分自身のスタンスをしっかりしていないと、頭に重心が上がってしまって足を掬われることになるだろう。
今回の戦争は世界のゲームのルールを大きく変える可能性があり、それがどのようにどういうふうに落ち着くのかはよくわからない。世界をこのように動かすというプーチンの一手に、それぞれのプレイヤーがどのように反応するか。個人としても日本としてもより望ましい未来はどういうものなのか、その方向性を見つけていかなければいけないだろう。
主権国家間の争いがアメリカが主導するソフィスティケートされた21世紀の戦争から力と力がぶつかり合う「19世紀型の戦争」に逆戻りした、それは全面的にそうだというわけではないにしても封印されていた扉を国連安保理常任理事国のロシアが開いたということはとても大きなことで、戦後の体制の再構築が「新冷戦
」という形でなされる、つまりロシア中国をはじめとする「権威主義ブロック」と自由主義ブロックに分かれて覇を競い合う形になるという予測はあるにしても、まず直近では再統一を呼号する中国が台湾に侵攻することが現状1番の危険だろう。プーチンのこじ開けたパンドラの箱がどこまで悪霊を撒き散らすのか、そこに希望は残っているのか、見ていかないといけないだろう。
自由主義社会もポリコレやフェミニズムの末期症状化などかなりの問題を抱えているわけだが、自由主義社会内部での再建も行われなければならないだろう。早々と軍事不介入を宣言したバイデン政権は、それがロシアの侵攻を呼び込んだ部分もあるように思うし、大幅な戦略の見直しを迫られることは間違い無いだろう。ヨーロッパではNATO、EUの存在感がより高まるように思われるが、その中心になるのがアメリカ・ドイツではなくなっていく可能性が大きいような感じがする。
なかなか明るい未来は描けないが、今はまずウクライナの人々に自由で平和な日々が戻るように祈りたい。
***
「鎌倉殿の13人」第8回「いざ鎌倉」。上総広常を配下にして大軍勢となった頼朝軍は武蔵に入り、畠山重忠が加わる。三浦勢と戦ったばかりの畠山の帰順は大きなしこりを残すが、頼朝は畠山に先陣を務めさせることで先陣だったはずの上総広常を怒らせるが、若い畠山を先頭にしたことで頼朝軍の人気がアップするなど、巧みなところを見せる。また岡崎が頼朝の父・義朝を祀っていた亀ケ谷の居館跡を頼朝の居所に、と進言するが、頼朝はそれを拒否して鎌倉の中心に豪壮な御所を作ることを決めるなど、頼朝と関東武士たちの間に隙間風が吹き始める。
それを義時は三浦義村の助けも得て関東武士たちの酒宴に頼朝を参加させるが、兵衛督(頼朝の旧官職でもある兵衛佐の上)の漢名である「武衛」を親しい間柄の呼称だと上総広常に教えて頼朝をいい気持ちにさせるがコント的な結末になる。
政子らを鎌倉に連れていく際、見すぼらしい衣装を拒否した政子らのために梶原景時に頼みにいくとすでに大庭と袂を分かった梶原も頼朝に帰順することで衣装を提供され、政子らは華々しく鎌倉入りする。しかしすでに鎌倉には頼朝の愛妾となった亀の前が匿われていた。この辺りで壮大な音楽がかかるのだが、どうもギャグにしか見えなかった。
また義経は順調に鎌倉に近づくが、気分屋で家来たちを振りまわし、またうさぎを巡って争った狩人を騙し討ちで殺してしまう。鎌倉に近づいた際に北条勢と接近遭遇するが勝手に海に行ってしまうなど、これは後の梶原景時の苦労が偲ばれるという感じの人物造形だった。
武田に交渉に行った時政はどうしたものかと考えあぐねているうちに義時がやってきて武田に会い、拍子抜けするほど簡単に援軍を承諾するが、これは武田が追討軍と最初に戦うのは自分たちだと気づいたためで、「使者は誰でもよかった」という話になって時政はかえって落胆する。
華々しい鎌倉入りも実情はさまざまな軋轢を抱えていたことが示されるけれども、それとは裏腹に表面上は順調に話が進んでいくのが面白いが、まあ主人公だからとはいえほとんどの場面で裏で義時が動いていた、というのは結構いくら何でも大変すぎるだろ主人公、という感じではある。
ラストは伊藤祐清(だと思う)が捕らえられ、畠山と和田が伊東祐親を討ちに行くということが示され、それを義時と三浦義村が止めに行くという話になる。そこに(おそらく話全体の)前半のヒロインである八重の運命も絡み、次回へということになった。
なんというか全体に少しごたごたしすぎなんじゃないかと思ったが、恐らくは実際にそうだったのだろう。家人たちの思惑や希望に頓着せずに自分の理想を追求する頼朝と、自分たちの望みが受け入れられないことで不満を蓄積させていく家人たちをなんとかとり持とうとする義時と、対立する和田(三浦一族)と畠山を伊東討伐を競わせることでコントロールしようとする頼朝の二人の路線の違いも示されて、面白い。
また、どんな場面でもクールな三浦義村が結局は義時をサポートしていくという展開もバディものみたいで面白い感じがした。梶原景時が盆栽をいじっていたけどやたら前衛的なのはちょっとアレな気がしたが、今後義経に苦労させられるんだろうなあと思うと実は結構不器用な人(という造形)なんだろうなという感じはした。
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