情報資本主義化しつつある世界と日本の将来の展望

Posted at 22/01/11

1月11日(火)雪

朝起きていろいろやって、さてと思って外に出たら雪。そんなに積もってはいないが軽く家の前の雪かきをして車で出かけた。ゴミを捨ててセブンでコーヒーと缶カフェオレ(釘崎野薔薇缶)を買い、一気飲みしつつ家に帰ってジャンプラなど少し読み、「おおきく振りかぶって」の34巻を少し読んだり。


 

昨日は夕方本を買いに松本に出かけたのだが、買おうと思っていた廣松渉「<近代の超克>論」(講談社学術文庫)はなかったので日本帝国主義関係のものはひとまず後回しにし、現代の情報資本主義論みたいなものが何かないかと思って少し探した。


 

自分の感覚なのだが、日本は製造業からドメスティックなサービス業主体の国に変わってしまい、輸出産業がないのが日本人の所得が上がらない大きな原因なのではないかと思っていて、それはつまり情報産業関係のものもプラットフォームなどのデジタルインフラも情報を収集したり活用したり販売したりするシステムも遅れをとっているのがその原因なのではないかと思う。

世界のトレンドも農業社会→産業社会→情報化社会と言われているけれども、日本では情報・知識産業で食えている人などあまりいない。新しく生まれた情報産業の職種というのは例えばコンサルだと思うし、だからこそ東大卒の就職先としてコンサル会社が最先端の有望企業と考えられているのだと思う。情報・知識産業の代表はハード面やソフトウェアなどを除けば今のところシンクタンクとコンサル(コーチングなども含め)だと思うけど、日本ではまだあまり質も高くない感じがするし、またそうした知識産業に対する信頼度も高くないように思う。

一つにはもともと日本に反知性的な風土があることが大きいと思う。反知性主義と言って語弊があるならつまりは現場主義だ。これは侮れないのだけど、現場もどんどんポテンシャルを失いつつあるような気がする。

コロナ状況などを考えるとたとえば医療や製薬などは現場の働きも重要だが情報や知見、知識の扱いもものすごく重要なので、ある意味高度な知識産業でもある。論文化して権威づけしていくことが重要だけど、その辺りが完璧に機能しているのかということも気にはなっている。

資本主義の形態も、成立当初の商業資本主義から産業資本主義に進み、20世紀には金融資本主義になったが、現代はさらに進んで情報資本主義ともいうべき状況になっていると思う。情報が資本である。(金融も情報の一部として取り込まれつつあるようにイメージしている)これはビッグデータとかそれを解析し使えるものにするAIなども重要だけど、本来のヒュミントな情報も大事だし、人類が蓄積してきた「知」そのものが資本になる時代だと思う。

だから例えば中国が孔子以来の儒教の学知の蓄積を思想的な武器に使おうとしたりしているのもナショナリズム的な、つまり精神的・思想的意味、「気持ちの問題」だけではなく、資本の原始蓄積的な意味で活用していくという意味があるのだと思う。これはイスラムもそうだと思う。

こういうのはある意味音楽などの技術に先に起こっている現象で、90年代に始まるそれまでの音楽的蓄積からサンプリングして「新しい」音楽を作るような知的資産の使い方が、全面的に展開しつつある現象なのではないかと私は思っていて、松岡正剛氏のやっているような「編集の技術」的なところにその先駆的なものがあるのだと思うが、いまのところあまり世界的な成功というところまでは行っていない感がある。ただ、80年代の日本のシティポップが世界でバカ受け、みたいな現象は既に起こっているわけで、日本が蓄積してきたものの大きさに一番気づいていないのは日本人自身だ、みたいなことは多分あるんだと思う。

というわけで情報資本主義的な方向性に進みつつある世界の中で日本がどういう形で新展開を可能にし、この一億人の人口を養い、さらに再生産を可能にしていくにはどうするべきかということは、すでに考えている人もいると思うしただ大きなトレンドにはなってない気がする。個々の分野では始まっていても日本の生き残り策として十分に認識されているかといえばそうでもないだろう。

というわけで今の自分の考えとしてはそういう方向でもっとものを考え、提案していければいいと思うのだけど、そういう観点で本を探してまず勉強してみようと思ったわけである。というわけで昨日自分が買った本は

諸富徹「シリーズ現代経済の展望 資本主義の新しい形」(岩波書店、2020)


 

宇沢弘文「経済学は人びとを幸福にできるか」(東洋経済、2013)

経済学は人びとを幸福にできるか
宇沢 弘文
東洋経済新報社
2013-10-25

 

中野明「IT全史」(祥伝社黄金文庫、2020 原著は2017)


 

川西諭「マンガでやさしくわかるゲーム理論」(日本能率協会マネジメントセンター、2015)

マンガでやさしくわかるゲーム理論
円茂竹縄
日本能率協会マネジメントセンター
2015-08-07

 

の4冊。7000円を超える投資をしてしまったが、考えてみれば当たり前なのだけどこういう本は全部経済学の分野なのだよなと改めて思った。経済学はろくに勉強してきていないので、最初から学ぶべきことがたくさんあるのだけど、経済学そのものを知るのが目的ではないから、必要に応じて読んでいきたいと思う。

とりあえず今日は現在のビジョンとして書いておいた。勉強しつついろいろ書いていきたい。





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