明けましておめでとうございます。昨年読んだ面白かったマンガを5つあげてみた。

Posted at 22/01/01

1月1日(土)晴れ

明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いします。

昨日は久しぶりに兄弟が揃い、また甥のお嫁さんも来て賑やかな年越しとなった。下の妹は二人受験生を抱えているのでこられなかったが、今年こそはコロナも明けて良い年になってもらいたいと思う。

情勢的にはウクライナと台湾という二つの権威主義国家の周縁での軍事的な事態が心配される状況にはなっているが、短慮に走らないことを願うしかない。

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今日は新年なので読んでいる「ハロー、ユーラシア」の感想・考察等はお休みしてマンガと読書の話でも。2021年が終わったということで昨年の印象に残ったマンガ10選について。ランキングをつける意味があるかどうかはわからないけど、それもやってみようかな。なお、昨年初見のマンガに限定しているので、最推しの「【推しの子】」などその前から読んでいる作品は入れていません。


 

まず、松井優征「逃げ上手の若君」(週刊少年ジャンプ連載)。南北朝時代の落し子、鎌倉幕府復興の旗をあげた少年・北条時行を主人公に、「暗殺教室」の松井優征さんが立ち上げたジャンプには貴重な歴史マンガ。舞台が諏訪になっていることもあり、地元の書店などでもフェアをやっていてなかなかいい感じ。最近の歴史マンガは新しい学説などもちゃんと勉強して描かれている作品が多く、この作品はそういうものも踏まえつつジャンプのマンガらしいデフォルメやエピソード、展開の妙を見せていて先が楽しみだ。私のTwitterのアイコンもこの作品の北条時行像にしている。


 

二つ目は藤本タツキ「ルックバック」。ウェブのジャンプ+に掲載された中編の読み切り作品。「チェンソーマン」の著者が「マンガを描くということ」というテーマに取り組んだ作品で、「このマンガがすごい!2022」で見事オトコ編第1位に輝いた。ネット上でも話題になり、また精神障害者の表現についての議論もあったが、単行本収録の際にはうまく落とし所が見つけられた感じではあった。もともとセリフを減らし、絵に物を言わせる表現をする人ではあったが、この作品は極端にそれが推し進められていて、マンガ表現の可能性の一つの方向性を更新する作品だったと思う。


 

3番目は青木U平「ミワさんなりすます」(ビッグコミックオリジナル連載)。神とも崇める映画俳優の家政婦の応募者に誤認されたことで最推しの俳優の家政婦として働くこととなった29歳の映画オタク。各時点でのきっかけで持ち前のオタクぶりを発揮し、俳優の注目を獲得していく。絵柄とセンスと物語の面白さで、現代の、罪悪感というスパイス付きのシンデレラストーリーで、面白いと思った。最初は江口寿史さんの絵柄に似た表紙でジャケ買いしたのだが、今推せる作品になっている。今後の展開が楽しみだ。

地獄楽 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)
賀来ゆうじ
集英社
2018-04-04

 

次にあげるのは賀来ゆうじ「地獄楽」(ジャンプ+連載)。この作品はジャンプ+を見ていると連載が終了しているのに常に無料作品ランキングの5位に入っていたので試しに読んでみたのだが、面白くて一気に読了してしまった。不老不死の薬を謎の島から持って帰ってきたら死刑を免ずるという触れ込みで一癖も二癖もある死刑囚たちを島に送り込み、そのお目付役として山田浅右衛門(江戸幕府下で代々首斬り役を務めた身分上は浪人だがかなりの余禄があったと言われている家)家の面々が送り込まれ、なんとかミッションを達成するとともにともかくは生き残りを目指して対立したり共闘したりする、という割と奇想天外な発想で描かれた現代の伝奇ものとでもいうべき作品。主人公の二人が忍者の里から追放された下忍・画眉丸と浅右衛門家の女性である佐切で、この二人の心の交流と共闘がストーリーの心温まる部分を作っていて、特に佐切は最近読んだマンガに出てくる女性で最も自分が好きだなと思ったキャラクターだった。ルックバックが昨年読んだ最も芸術性(アート性?)の高いマンガであったとすると、「地獄楽」は最も日本の伝統的大衆小説性の強い、中里介山や山田風太郎の衣鉢を継ぐ作品であったと思う。


 

5番目は最近最もインパクトが強かった住吉九「ハイパーインフレーション」。これもジャンプ+の連載で、昨年のジャンプラの躍進ぶりは本当にすごかった。エルフっぽい原住民的な民族であるガブール人のルークが産業革命期のイギリス的なヴィクトニア帝国に潜入し、囚われの姉を救出するために「精巧な偽札を体から生み出す能力」を神から与えられ、その力と己の才覚で仲間を増やして目標達成を目指すというストーリーなのだが、題名にあるような金融史的な面白さとルークが偽札を生み出すときの恍惚とした表情、次々に出てくる馬鹿げたキャラクターたちの存在感など、まさに「名作というより鬼作」というにふさわしい作品。読んでいるうちに不自然な部分とかがどんどん味に思えてきて、何を読んでも面白い状態になる。こういう作品を連載できるウェブ漫画の凄さという物を実感させられた作品の一つだった。

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時間がなくなったので今朝は5作品にしておくけれども、どれも面白かった。ちなみに後書こうと思っていた5作品は「怪獣8号」「ダンダダン」「チ。地球の運動について」「ワールドイズダンシング」「夏目アラタの結婚」。これらもとても面白かったので、また紹介したいと思う。こうして書いてみると昨年は本当に豊作だったなあ。今年も面白い作品をなるべくたくさん読みたいなあと思う。

本年もよろしくお願いします。


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