昨年読んだマンガ10選パート2

Posted at 22/01/02

1月2日(日)晴れ

現在の気温はマイナス10.8度。昨日は諏訪大社に初詣に行ったが、人出はそれほどではなかった。元日に初詣に行くのは久しぶりだったが、兄弟やその家族が行くというので運転役としてついて行ったのだが、屋台などがたくさん出ていて、やはり元旦の初詣の雰囲気というものは華やいでいるなと思った。

今朝も暖房フル装備で臨んでいるのでそんなに寒いわけではないのだが、マイナス10度というのはやはり芯から冷えるので、警戒しておかないとやばいとは思う。

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昨日描けなかったマンガの感想続き。残り5作品。


 

松本直也「怪獣8号」(ジャンプ+連載) 日本は「災害」大国ならぬ「怪獣」大国である、という設定で災害のように怪獣が現れる中、花形の「防衛隊」ではなく「怪獣専門清掃業者」として働く日比野カフカが32歳にして幼馴染の亜白ミナを追って防衛隊を志すが、なぜか怪獣に変身してしまう身体になってしまい、しかしその体を隠して防衛隊に加わって戦うという展開なのだが、信念と経験、若さと熟練、驕りとプライド、信頼と絆、そういう少年マンガや青年マンガを成り立たせている栄養分のようなものがふんだんに盛り込まれている作品。ボケの部分とシリアスの部分の配合がうまく、怪獣の造形も個性的で、物語自体はオーソドックスな根幹がしっかりしているから読みやすい、ということかなと思っている。しかし物語が展開するにつれてその根幹が違う方向に伸びている感じもし、この先どうなっていくのか、見守っている感じがある。ぐいぐい感がある。


 

龍幸伸「ダンダダン」(ジャンプ+連載) オカルトを信じないギャルと幽霊を信じないオタクがお互いの主張を否定しようとして宇宙人や幽霊たちに巻き込まれ、超常的な能力を獲得して困った問題に突っ込んでいくという感じの話なのだが、この作品はとにかくテンポがいい。オタクとギャルというネット時代のゴールデンカップルを中心にした超常譚という基本構造から生まれるドライブ感というか、走り抜けてポッと終わる緩急とか、マンガをよく知っている作者さんだなあという感じがする。ジャンプ+はアシスタント上がりとかなかなか目が出なかった中堅作家が花開く場所になっている感があって、いろいろ制約が少ないところを利用して持てる力を発揮する場になっている感じがする。今がちょうどそれが爆発的に開花している時期で、しばらくしたらそこも落ち着くかもしれないが、ジャンプという少年マンガの頂点が潜在的に持っていた才能のストックが次々に炸裂している感じだ。


 

魚豊「チ。地球の運動について」(スピリッツ連載) パラレルワールドの歴史もの、という感じだが、地動説が認められていない中世世界において、真実を追究する科学者たちが出会ってしまった「地球が動く」という真実を、それを否定する教会勢力との戦いの中で、自らの身を犠牲にしながらも伝言ゲームのように伝えていく、その有り様が手に汗を握るようなサスペンスがある。まさに「人生は短く、芸術(真実)は長し」を地でいく作品で、中世の人々の描写、科学者が真実に気づいたときの目の輝かせ方、身分や性別による様々な桎梏、それら全てを凌駕する科学的真実への情熱と言ったものが、目の前に突きつけられてくる感じが凄い。今までありそうでなかった作品だと思う。


 

三原和人「ワールドイズダンシング」(モーニング連載) 「はじめアルゴリズム」で天才数学少年を描いた作者が、少年時代の世阿弥を描いた作品。それだけでワクワクしてしまうが、世阿弥が出会った様々な人々が彼に及ぼしたさまざまな影響が語られていく。世阿弥=鬼夜叉はよく考える少年で、そこがハジメと重なるわけだが、全てのものを師としつつさまざまな芸を獲得していく様が描かれているのが面白い。実在の人物、と言っても半ば伝説的な人物がいろいろ出てきて、その辺りの描き方も興味深い。まだまだこれから本領が発揮されていくのだろうなと思わせる作品。


 

乃木坂太郎「夏目アラタの結婚」(スペリオール連載) 児童相談所に勤める夏目アラタがひょんなことから大量殺人者で死刑が決まっている品川真珠と出会い、獄中結婚をして一筋縄ではいかない真珠の真実に迫っていく、という作り。各巻の表紙が出所後の二人のヤンキーカップルぶりを描写しているのが好きなのだが、アラタはヤンキー上がりの直情的な保護司で真珠の真実が何十にも隠されているのに半ば職業的な憤りを感じるとともに、この一筋縄ではいかない「犯罪者」に惹かれていく中で、彼らをめぐる人間模様も描かれていくという、まあいわば社会派の作品。社会派のマンガ作品というのはその社会派ぶりをどのように演出するのか、説教臭くならないか、反社会的にならないか、一面的な正義を描いてしまう罠に陥らないか、不真面目すぎないか、その辺のバランスを取りながらまさに「描きたいことを描いていく」ものだと思うのだが、うまくいくととても人間性のある種の真実を抉り取る作品になるわけで、その辺りがどこまで描けていくのか、そこに期待しているという感じがある。とは言っても現状でも既にかなり面白いわけで、こうした作品を描ける作者の経験と才能に脱帽する思いがする。

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さてそれぞれ、各作品の魅力がどれくらい伝えられたかわからないのだが、関心を持ってもらえれば幸いです。今年もいい作品がたくさん生み出され、自分も読んでくださる皆さんもそれに出会えるといいなと思っています。

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