アメリカの物流停滞と全米トラック協会/「応天の門」「高丘親王航海記」と承和の変
Posted at 21/11/10 PermaLink» Tweet
昨日は午後から仕事、夜まで仕事をして、帰宅、夕食、入浴、就寝。報道ステーションを見ていたが、アメリカの港で中国からの物流の滞留が起こっている様子が放送されていた。全米トラック協会によると全国で8万人のトラックドライバーが不足しているとのことだが、ドラッグなどに絡み運転免許の更新がかなり厳しくなっているとのことで、根本的な問題は解決していないようだ。
全米トラック協会といえば世界で最も大きな労働組合であり、マフィアとの深い関わりが指摘され、政治にも大きな影響力を持って、ロバート・ケネディに告発されて激しく争ったジミー・ホッファなどのことが思い出されるが、少し調べたらレーガンやブッシュ父を支援したり、オバマを支援したりして、その時々で支持するサイドを変えていると言うことを知った。これについてはWikipediaの日本語訳さえないのが現状なのを知って少し驚いたが、日本におけるアメリカ政治に対する関心というのはまだまだ偏っているのだなと思った。
仕事が夜までのせいもあるが、仕事があった日はどうも眠りが浅く、今朝も4時前に一度目が覚めてしまった。体調を整えながらもう一度寝て、5時前に起き、洗濯機をかけたりしてから車で出かけて近くのセブンでマガジンを買い、少し朝ドラして帰った。
マガジンを読む前に昨日読みかけになっていた「応天の門」15巻を最後まで読んだのだが、同時代(この作品の舞台は清和天皇の貞観七年=865年)より少し前の承和の変(842年)についての話になっていた。この話の主人公は菅原道真(845年生)なのでまだ生まれていないが、もう一人の主人公在原業平(825年生)は17歳の時で、この話は承和の変で隠岐に流された伴健岑が罪を許され京に帰還するという話を巡って、変ののち皇太子を廃され出家して嵯峨に隠遁している恒貞親王(法名・恒寂、大覚寺の祖)に嫌疑がかかるのを、親王に漢籍を見せてもらった道真が恩に感じて業平に頼み込み、それを晴らそうというストーリーになっている。
承和の変といえば嵯峨上皇崩御の直後、嵯峨天皇の皇后であった橘嘉智子を動かして藤原良房が起こした政変であり、橘逸勢・伴健岑らに罪を着せ、自らの甥にあたる後の文徳天皇を立太子させて藤原北家の他氏排斥政変の先鞭をつけた事件という印象しかなかったが、恒貞親王自身が淳和天皇の皇子であり、母・正子内親王は嵯峨天皇と橘嘉智子の娘であって、また事件に大きく関わるのが在原業平の父・安保親王(平城天皇皇子)で、阿保親王も事件後すぐ亡くなっているなど、業平にも人ごとでない事件であったということを確認したが、同時に恒貞親王の屋敷に出仕していた宮中で大きな勢力を持っていた大納言・藤原愛発(良房の叔父)が良房の弟・良相によって率いられた軍勢に包囲されて拘束されて失脚し、良房が後任の大納言になるなど、天皇家全体や藤原北家内での勢力争いもあったかなり大規模な事件であったことをが改めて確認されて、かなり印象が変わった。(愛発の件は作中には出てこない)
平安時代初期は何度もこういう政変は繰り返されたし、最近読んだ澁澤龍彦原作・近藤ようこ作画の「高丘親王航海記」もその少し前のいわゆる「薬子の変」で失脚し廃太子された平城天皇皇子・高岳親王の物語であり、恒貞親王自身も出家の際には高岳親王(真如親王)に灌頂を受けている。
また高岳親王が唐に渡ったのは862年(貞観四年)のことなので、「応天の門」にも出てきてもおかしくなくらいの年代なのだが、また今後それも取り上げられるのかもしれない。その辺も楽しみだ。
平安初期というのは小説やマンガにおいて今まであまり取り上げられてこなかった時代なのだが、少し調べてみるとかなりいろいろある時代なので、今後もどんどんここを舞台にした話が作品化されていくと面白いなと思った。
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