「ゲシュタルト」/「日本の農村」と限界集落
Posted at 21/11/08 PermaLink» Tweet
11月8日(月)晴れ
今日もいい天気だ。少し気温が低いが、寒くて仕方ないというほどでもない。朝夕にはやはり暖房がいるが、本当の冬ほどではない。昨日は8時半には寝てしまい、起きたら5時前だったので久しぶりに8時間、途中で起きずに眠ったことになる。よく休まったと思う一方、こういう時に体の不具合がいろいろ明らかになる。今朝あれ?と思ったのは目と腰だが、まあこのくらいの年齢になってくると何かしらいつもあるのでそうどうということはない、という程度の不調で収まりそうな感じではある。
やはり睡眠を取ると余裕が出てくるなあと思うのは、部屋が散らかっていることなどに気づくということでもある。なんとなく疲れている時は、散らかっていてもあまり気が付かない。これは不思議なくらいそうだ。ちゃんと寝て起きると散らかっていることに気がつく。それから片付けに入ったりするのだが、そういう疲れが取れて元気な時にそういう後始末ができてないところを片付けるというのはどうも時間と体力と気力が勿体無いなと思ってしまう。
昨日は夕方に岡谷に出かけ、「ゲシュタルト」の最終3巻と細谷昂「日本の農村」(ちくま新書、2021)を買ってきた。
「ゲシュタルト」という漫画はなんだか説明しにくいのだが、まあ簡単に言えば「自分勝手な少年が世界を救う」話(簡単にしすぎ)なのだけど、最後はループに落ち込んでいって、その辺が現代社会の闇というか、あるいは何を持って救済とするかへの問いみたいな部分もあるような気がしたが、ある意味オープンエンドになっていた。割と生硬さのある作風だとは思うけど、面白いものができそうな感じもするので、次回作に期待したいなあと思った。
「日本の農村」の方は、最近荘園について読んだり、諏訪地域の江戸時代の歴史とかを読んだりしているうちに、農村というものについての関心が割と高まっているという感じがあって買った。農村社会研究というのは「日本」というものがどういうものかを知るためにも重要な要素ではないかと思う。都市生活者もルーツは農村から来ているものが多いわけだし、都市社会の形成の論理も農村社会からきていることは多いように思う。中世においては先進的だった農村集団の団結が、現代においては古いしがらみ・人を束縛するものとなったのは歴史の皮肉のようなものと言えなくもないが、そうしたことも踏まえつつ日本というものを理解していくためにも、農村社会研究というのは必要なことだと思う。
「保守」というものは、進歩主義の「設計主義」に対して反対し、従来の社会に内在していたものを重視して漸進主義的に未来を考えようという考え方なのだと思う(それに対して設計主義で未来をどんどん実現する、場合によっては暴力革命も用いて、というのが急進主義)けれども、そういう進歩主義によって日本が破壊されてきたという実感がある人は実は結構多く、というか平成以降特に増えてきていて、そういう人たちが若い人たちも含む広範な保守層を形成しているのだと思うが、都市生活者は同じようなことを農村社会に対して考えている、つまり時代遅れの古い生活様式に過ぎないと考えている人が多いだろうと思う。
農村の生活改善みたいなことは近代以来ずっと行われてきているが、自然環境に依拠した農村社会の内在する論理に近づけずに破壊するだけになっている面があり、その一例として「限界集落」という言葉もある、という指摘はなるほどと思った。
「限界集落」という概念を提示したのは農村社会学者の大野晃氏で、氏が意図したのは流域共同管理と山村支援による環境保全だったのに、「限界集落」という言葉自体が一人歩きしてしまったということがあるようだ。
この本は農村社会を日本の基層であり、その農村社会が変化・消滅して仕舞えば日本そのものが変わってしまうという認識があって、それはおそらくそうだろうなと思う。SNSなどでは時代遅れとのみ語られることが多い農村社会であるけれども、その辺について少しは理解できたらなと思ったのだった。
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