諏訪市原田泰治美術館へ行った

Posted at 21/10/22

昨日はいい天気だった。いろいろやることはあったのだが、時間を作って原田泰治美術館へ行った。この美術館は運営費の捻出のためにクラウドファンディングをやっているという記事が地元紙に出ていたので母と相談して多少の協力をしたのだが、その返礼として年間フリーパスと数枚のコーヒー券を送ってきてくれたので、一度鑑賞に行こうと思っていたのだった。


諏訪湖畔や八ヶ岳の麓など、この地域には小規模な美術館がたくさんあるのだが、原田泰治美術館は諏訪市街から湖畔を南に行き、上川大橋を渡ったところにある。駐車場からはヨットハーバーが見えて景色がよく、美術館に行かない時も時々駐車場まで行って湖を眺めたりしていたのだが、昨日は駐車場の木陰に車を止めて観覧に行った。

フリーパスを持っているということはクラウドファンディングに協力したということだということがわかっているのだろう、美術館の人も丁重に対応してくれて感じが良かった。一階の展示室と二階の展示室を見て回った。

原田泰治さんは諏訪市の出身(幼年時代は下伊那で育つ)のデザイナー・画家で、一般に知られたのは朝日新聞の日曜版に1982年から84年まで「原田泰治の世界」を連載したことだと思う。私が知ったのもそれを見ていたからで、日本の田舎の素朴な日常、失われつつある世界を描く画家というイメージだった。

生業はグラフィックデザイナーで原田さんが作ったロゴなどもたくさんあるのだが、現在では画家としての方が広く知られているだろう。美術館でも展示されているのはよく知られた絵画作品だけなのだが、回顧展などをやる際にはグラフィックデザインの仕事も見られればいいなと思う。

若い頃は田舎の懐かしい日常を描く作家という以上の印象を持っていなかったのだが、今回久しぶりに美術館に見に行って、実は構図や色使いにすごい工夫がなされている作品なのだということを感じた。
構図については以前はそんなに考えたことはなかったのだけど、「ブルーピリオド」を読んで実は美術作品は構図がとても重要なのだということを改めて知って、そういう目で作品を見てみると、S字というか曲線の構図がポイントになっている作品がとても多いということに気づいた。

山あいの斜面を流れる小さな川の流れとか、谷を形成していなくてもそういう流れがあるということは諏訪大社上社前宮の水眼の流れなどを見てへえっと思っていたのだけど、そういう流れが自然な、リアリティのあるカーブで流れている描写などを見ると、観察眼とそれを定着させる表現がいかに優れているかということがわかる。派手に人に訴える絵というわけでは無いけれども、造形の確かさというのは恐らくはデザイナーとしての仕事によっても培われたものなのだろうと思う。

観賞後、2階のティールームに入ったが貸切状態で、コーヒーチケットでコーヒーを頼み、眼前に広がる諏訪湖を見ていた。駐車場から見るのと違い、高いところから見ることで目の前の諏訪湖が面積的に何倍にも見える。天気も良くてずっと見ていられる感じだった。

帰りにショップを見て、琵琶湖の風景を描いた「夕日の湖」を買った。諏訪湖とはまた違う山の景色など、暖かい印象の絵だった。

***
「平成史」は第二次安倍政権に入った。当時のより細やかな論壇の動きの描写などを読み、ただ與那覇さんの政権や政策の評価がどのくらい妥当なのだろうかということは読んでいて考えた。第二次安倍政権はつい昨年まで続いていたのだが、何しろ長期政権なので始まった頃はもうかなり昔になる。まあ全体にそうだけど捉え方はへえっと思うところが多いので、読み終えてからまた考えてみたいと思う。


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by Luke Peterson

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