新聞を読むということの意味
Posted at 21/05/25 PermaLink» Tweet
「朝から新聞を読んで不愉快な気持ちになるのは愚かな行為なので、私は新聞を読まない」みたいなことを言っていた人がいたのだが、それが誰だったのか忘れてしまった。そう言うことを言うのはバーナード・ショーとかじゃないかと言う気がするが、そう言う気の利いたことばみたいなものはもうだいぶ忘れてしまった。
私もだいぶ以前に新聞を取るのをやめていて、それは東京と郷里を往復する生活だからすぐに溜まってしまうと言うこともあったのだが、やはりネットができて大体のニュースはネットで読めると言うことも大きい。朝日新聞や日経新聞は電子版で課金したり無料版を読んだりしてそれなりには読んでいる。
ただ、上記の誰かの言葉が耳にあることもあって、朝日や毎日などの全国紙は基本的にあまり、少なくとも朝のうちには読まないようになっていた。
このコロナ状況の中で施設にいる母を病院に連れていくために東京にほとんど出られなくなって、ただ実家ではずっと地元紙を取っているのであまり読まないながらもちらちらとはみていた。地元のニュースが多いので、近所や母や父の知り合いの人などの訃報、あるいは火事のニュースなども掲載されるし、地元の名士が亡くなった時などはかなり大きい記事で出ていたりして、必要に応じて読むようにしていた。
母は割合しっかり読んでいて、(施設に入ってから施設にも届けてもらっている)時々新聞記事の内容について電話してくる。言われて記事を読んでみたりすると、普段自分が考えているようなこととは違うレベル、違うスタンスの記事があって、初めはあまり関心も持てないし「どうでもいい」感じの記事が多くてちょっとなあと思っていた。
しばらくの間めちゃくちゃ忙しかったしメンタルにも全く余裕がなく、割合強迫観念的なものがあったりしてさらに自分の余裕を無くしていたのだが、最近になって徐々に自分を色々見直せるようになってきて、それと共に地元紙の記事に対しても見方が変わってきた感じがする。
もともと私は新聞を読んでいても、主に朝日新聞を取っていたのだが、東京都版で連載されていた「地名を歩く」とか、家事のやり方を指南する「基本のき」などのコラムが割と好きで、また日曜版などに載っていた河合隼雄さんの「おはなし おはなし」などは文章の練習を兼ねて自分で書写したりしていた。もちろんトップニュースや社会面の記事なども読むけれども、考えてみたら印象に残っているのはそう言う記事よりも、そうしたちょっとしたものが面白くて読んでいたのだなと言うことを思い出した。
そうやってみていると、「○○寺で八重桜が見頃に」とか「東京の○○さんが整体院を開いた」とか「市道△△線が開通」みたいなどうでもいいと言えばどうでもいいけれども、地元に密着した「明るいニュース」がたくさん掲載されている地元紙は、「朝から新聞を読んで不愉快になる」と言うレベルの読み物では全くないわけで、実は読む価値があるものだと思うようになってきた。
全国紙だと最近は文化面もすぐジェンダーだLGBTだとそう言う記事が多くなっていて閉口するのだが、地元紙はまだそう言うのはあまりなくて、そう言う意味でも不快指数が極めて低い。
そんなことを考えながら、昨日から新聞のスクラップを始めることにしてみた。読んで問題意識を募らせるような文章はネットには溢れているし、趣味に特化した記事は溢れているけれども、読んでいて一服の清涼剤とよく言うが、なんとなく気がつかない程度に前向きな気持ちになる、心なしか元気が出るような文章というのはネットにあまりないなと思う。
そういう文章を書いてみたいと今は思っていて、そういうことを発想するにはこういうスクラップは結構役に立つように思っている。
新聞を読むということの意味を改めてとらえ直している。
もちろん、問題提起的なことも全く書かなくなるわけではないので、まあそれはその機会に。
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