「南朝研究の最前線」など

Posted at 21/01/31

呉座勇一編「南朝研究の最前線」(洋泉社歴史新書、2016)を読んでいる。まだ読みかけだからということもあるが、色々新しい研究が掲載されていて刺激的だ。この初版が発行されたのが2016年なので5年前だからまた新しい研究が出ている部分もあるのだと思うが、私が読んできたこの時代の一般的な認識とはかなり違うことも書かれていて、面白いなと思う。
少し前に読んでいたのが虎尾達哉「藤原冬嗣」(吉川弘文館人物叢書、2020)だったのだが、この本を読む中で平安時代初期(つまり律令制時代)の朝廷の議政官会議についていろいろ知ったところだったので、鎌倉時代の朝廷の「院評定」、つまり「治天の君」の御前での評定についても比較がわかりやすく、やはり歴史というものはある程度の通史的理解があったほうがより深く理解できるのだなと思った。

藤原冬嗣 (人物叢書)
達哉, 虎尾
吉川弘文館
2020-07-30



先日書いたように今この本を読み始めた直接のきっかけは少年ジャンプで北条時行を主人公にした松井優征「逃げ上手の若君」の連載が始まったことなのだが、この本は「南朝研究」と銘打ってあるがその前提としての鎌倉時代の体制、建武新政体制、足利方への目配りもあり、南朝のみの研究ではないところは銘記しておいたほうが良いように思われるし、読んでみるとどの章もそれぞれとても面白い。

自分の関心は一つのところに集中しているわけではないのでずっと書いているわけではないが、恐らくは毎週ジャンプが出るたびにいろいろ読み込んでいくことになりそうなので、この時代について書いていく機会は結構出てくるだろうと思う。

ツイッターでもいろいろ知らなかったことが取り上げられていてとても面白く、それもまたこの時代を調べたり本を読んだりすることの力になる。

大変な時代ではあるが、勉強するためには良い時代になった面もあるなあと思う。

なお、この本は朝日文庫からも出ています。


 

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