「かぐや様は告らせたい」と「かぐや姫の物語」
Posted at 20/12/23 PermaLink» Tweet
今日もあまりまとまりのある話ではなく、思いついたことを書く感じなのだが。
月曜日に書店に行って本を見て、「かぐや様は告らせたい」の白銀御行の妹、圭のことが少し気になり、圭が表紙の4巻を買って読んだ。私はヤングジャンプは2015年の途中からずっと読んでいる(「キングダム」を読むために買い始めた)ので、2016年にミラクルジャンプから移籍して連載が始まった「かぐや様」の掲載された連載誌はずっと買っていたはずなのだが、最初はあまり興味がなくて読んでいなかった。最近はかなり面白くなってきているし、また同じ赤坂アカさんが原作の「推しの子」がめちゃくちゃ面白いので、改めて「かぐや様」にも関心を持つようになったという経緯もある。
それで1巻から読んでみようと買ってみたのだがどうもこの時期のこの作品はテイストが合わず、またアニメも録画はしてあるのだが、初期のものはあまりみたい感じがしなくて、録画したまま見ていない感じになっている。ただ原作の方はどんどん面白くなっているので、時々見どりで途中の巻を買って読むという感じになっていて、今回の4巻もそういう感じだったのだが、面白かったし、内容は結構知っていた。ということは、この頃から実はチラチラ本誌でも読んでいたということだなと思う。
内容が気になり出したのは、一回一回の内容も面白いのだが、四宮かぐやの家族関係の話とか、あるいは白銀御行の現在の境遇とどういう経緯で今の状態になっているのかなど、物語全体の設定みたいなものがチラチラ見えてくるとそれが気になってきたということが大きい。ネットで読んだ情報で実はこの物語のキャラクター設定は「竹取物語」の登場人物を下敷きにしていて、かぐや姫はもちろん四宮かぐやだが、白銀御行はかぐや姫への求婚者たちの一人、大伴御行であり、これは天武朝〜文武朝期の実在の人物でもあるというのを読んで、より世界像への興味を持ったこともある。
どちらにしても私は熱心な読者ではなかったので内容は把握していないところが多く、「公式ファンブック」は買ってみたのだが知らない情報を単行本を読まないまま知るのも嫌だなと思って、折を見て少しずつ読もうと思っている。この作品はストーリーのみが重要ではないので、1話1話読んでも十分面白いし、すなわちどの巻からでも読める感じがするのでまあそんな感じで行こうと思っている。
この作品に出てくるキャラに四条帝(しじょう・みかど)というキャラクターがいるのだが、御行が一番意識している人間だということは分かったがそれ以上の情報はまだ掴んでいない。ただ、これは「竹取物語」の登場人物で考えるとどう考えても「帝」を指しているわけで、天皇がどういう形でこの物語に関わってくるのか、興味深い。
単純に考えると、家父長制がいまだに強く生き残っているこの物語世界で「いい家に嫁にやる」とかぐやの兄が言っている以上、四宮家と同格と思われる四条家の御曹司はおそらくは婿候補として現れたのではないかと思うのだが、その先はわからない。
で、そんなことを考えているうちに、帝といえば、ということで思い出したのが2013年公開の高畑勲監督の遺作「かぐや姫の物語」である。このアニメは日本アニメの中でも芸術性という点においては出色の出来だったと思うが、作中に語られている価値観という点において現代の日本人へのアピール度が必ずしも大きくないなとは思った。ただ、かぐや姫を迎えにくる月の使いたちの場面で背景に流れる音楽は特に出色だったと思う。
で、帝ということで何を思い出したかというと、あの造形である。顎が長い。あれは高畑監督の批評性だと思うのだが、あれはなんだろうと考えていて、思い当たったのがベラスケスが描いたハプスブルク家の皇帝や皇女たちの肖像画である。彼らは一様に顔が長く、三日月系の顔で、顎も長い。王家の顔の造形としては最も印象に残るファミリーであり、あの帝の顎の長さはベラスケスからの引用ではないかと思ったのだった。
まあ今日の話はそういう思いつきのレベルの話なのだが、同じかぐや姫を題材にした話としても全然違う物語で面白いし、何からの引用でこういう話が作られたのかということを考えるのは面白いので、時々こういう気がついたことを書いてみたいと思う。
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