言葉を断つ
Posted at 20/09/18 PermaLink» Tweet
40前後の危機、という話があって、ああなるほどなあと思ったのは、私は37歳の時に体調の悪さもあって退職しているのだけど、その後かなり調子の悪い時期が続き、ネット上での活動はそれなりに頑張ってはいたが電車の中でパニック状態になったり自信が持てなくて自動車が運転できない時期がけっこう長く続いた。
一つの転換点は2008年で、このころに「ずっとやりたかったことを、やりなさい。」という本を読んだことが一つのきっかけになり、また父の体調が悪くなってきたので送り迎えのために車が運転できないと困ると思い、思い立って教習所で3時間ペーパー教習を受け、運転を復活させた。車が運転できるようになると行動範囲が広がるので、いろいろと楽になった。翌年父が亡くなり、また2011年には東日本大震災があってメンタル面でも思想面でもいろいろな影響があったが、そのあとはメンタル的には上がったり下がったりもあるしフィジカル的にもいろいろありはしたが、2001年以降野口整体に通っていたことでだいぶ安定してきた感はある。
ここ数年は母の調子が悪くなってそのあたりのことがいろいろ影響があるのだが、まだその辺は総括しきれないこともあるのでまあときどき思ったことを書く程度にしたい。
今日このことを少し書こうと思ったのは、関大徹『食えなんだら食うな』を読んでいたらいろいろと思いだしたことがあったからだ。
『食えなんだら食うな』というのはどういうことかというと、若い坊さんの「どうやって食っていったらいいのか、どうやって寺院経営を成り立たせて行けばいいのか」という悩みについて、もともと禅坊主というのは食えるものではない、食えなんだら食わなんだらいいのだ、みたいなことを言っていて、現実の妻子を養っているお寺の坊さんにはそれは無理なわけだけど、食えなんだら食わなんで飢え死にする自由がもともとは禅坊主にはあったはずで、若い人にはその自由もあるんだぞと提案していて、この2020年現在の世界で「妻子を養う」ことの困難さにひるんでいる若い男性がたくさんいる時代に、一つの時代的な意味があるなと思ってちょっと興味深く感じたということがあった。
「人には飢え死にする自由がある」というのはまあ実際その通りで、飢え死にさせられるのは嫌だけど自分でそれを選択するならそれはそれでありかとは思う。
ただまあ、今回のこのことに関連して加工と思ったのはそれではなく、雲水時代に仲間と語らって3週間無言の行をしたという話が出てきたことで思い出したことがあったのだ。
3週間の間無言を貫いて炊事はお寺の庵主さんに任せ、ただひたすら座禅をし続ける。実際にやってみて「言葉とはこんなに有り難いものであるかと悟った」という意見もあったが、自分は「無言でも十分会話が出来た」と感じたとあった。
ここを読んで思い出したのが「ずっとやりたかったことをやりなさい」の中に出て来るレッスン、これも考えてみたらある種の「修行」なのだが、1週間だったかな、「全く活字を読まない」ということを自分に課す(もちろんネットの文字も読まない)というのがあって、これがまためちゃくちゃ辛い期間だったのだ。確かに「活字の有り難さを知った」ということは確かにあったのだが、自分の中を空っぽにすることで自分の中を充実させるということだと思ったのだけど、そこまではいかなかったなあと思った。
現代において「言葉断ち」というのはかなり辛い修行だろう。ツイッター一つ、満足にやめられない。二日間くらいなら出来そうな気がするが、一週間となると自分がどうなってしまうのか、良くわからない。「活字を読まない」というレッスンを実行したときも、とにかく飢餓状態になったことだけは確かだった。
この本を読んでいて、最もレッスンが上手く行った場合はこんなふうになったのかな、ということを思ったのだけど、まあそんなことも含めていろいろ思い出していて、この本は読んでいて面白い。
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