国家はどのようにして成立したか

Posted at 20/08/26

「世界史の構造」。国家は農業の成立に先立って成立した、というのが柄谷さんの意見で、これはジェーン・ジェイコブス「都市の経済学」の見解によるそうな。それはあまり考えたことがなかったが、まああり得ないこともないなとは思う。余剰があるからそれを独占する権力が生まれたのではなく、権力が生まれたから余剰を生産し交易を行えるようになった、という順序。

これは、江戸時代の大開墾期にしても、江戸幕府の統治が安定したということが大きな理由になっているわけで、農業の発展に権力の存在が重要だということは確かだろう。人出を要する農業開発が一定の強力な権力・ないしは安定した統治の元でしか行えない、というのは事実だろう。

となると、今度は権力はどのように成立したかが問題になる。柄谷の論によれば、権力は征服によって生じる場合は、征服者が被征服者に庇護を、被征服者が征服者に貢納を行うという互酬が成立することによって成立するし、権力が内部から生じる場合は戦争のような非常時に一時的に首長に強大な権力が集まり、それが恒常化することによって、つまり「絶えざる戦争」が行われることによって成立するから、後者の場合も究極的に言えば「権力は外からやってくる」ことになると。

この辺の議論は夏殷周の時代の中国の権力の創出などにもかなりヒントがあたえられる気はする。どのようにして国家が形成されたかの理論を、おそらく中国考古学は必要としているのではないか。もちろん中国独自の理論もあるのかもしれないが。殷はおそらく神聖王権だったし、それと軍事権力がどのように結合したのかとか、どのように考察されているのかもちょっと知りたい感じはある。

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