諏訪の史跡めぐり:大祝邸、金子城、茶臼山城など
Posted at 20/07/13 PermaLink» Tweet
昨日今日と、諏訪市内の遺跡をいくつも回ったのでそのことについて書いておこう。
昨日の朝なんとなくドライブしてそう言えば諏訪大社上社の大祝邸はどこにあるのだろうなと思い、見当をつけて走っていたのだけど、走っているうちにウォーキングコースの看板を見つけ、これなら諏訪市博物館から歩けるなと思い、一度帰宅した。
昼前に諏訪市博物館まで行き、特別展と常設展を見た。常設展の諏訪の歴史は前から思っていたけど唯物史観的で、天皇家や武士の収奪の酷さを強調する、みたいな感じになってて、ちょっと現代という時代にそぐわない感じがした。また、そういう雰囲気を盛り上げる感じのBGMもかかっていて、どうもそれもいただけない感じがした。その辺りはそろそろ展示コンセプトを変えた方が良いのではないかと思った。
徒歩で出て上社の山を仰ぎ、受付でもらった散策マップを手に歩いて、最初に千躰仏に出る。ここにはお地蔵さんが並んでいるが、屋内には仏像がいるのが外からは察せられた。そこからしばらく川沿いの遊歩道を歩き、春日神社のそばから大祝邸に出た。
諏訪の神社はどこもこんもりとした森を伴っているので大体の位置はわかるのだけど、大祝邸の森は春日神社の森と一体化していて、以前この近くを通った時に見た森がこの森なのだとわかった。
しかし来てみると「諏訪史蹟要項」に描かれた大祝邸に比べるとかなり小さく、ほとんど普通の家のようだった。大祝の諏方家は21世記はじめに最後の当主が亡くなられ、現在は無住だということで、生き神さま出会った大祝家の明治以降の苦労が偲ばれた。
うちに帰っていろいろやていると熊本の友人から宅急便が届き、何かと思って開けてみたらとうもろこしだった。ちょうど昼ご飯なのでネギを微塵切りにしてチャーハンを作り、とうもろこしを茹でてお昼ご飯にした。スマホでググってみるととうもろこしは皮がついたまま茹でた方が美味しいということを知り、また自ら茹でた方がジューシーになるということで、大鍋に少しだけ皮をむいたとうもろこしを二つ入れて茹でた。沸騰してから15分で火を切り、少し水につけて粗熱をとってから皮を剥いて食べると、びっくりするくらい美味しくてあっという間に2本食べてしまった。
夕方、いろいろ考えているうちに金子城のことが気になってきて、出かけることにした。諏訪氏の当主であった諏訪頼重が武田信玄に滅ぼされると、諏訪は高遠諏訪氏との戦いののち武田信玄の統治下に入り、諏訪地域は今の手長神社の上にあった茶臼山城(高嶋城・現在の高島城ではない)と、その政庁である岡村政庁によって収められることになる。武田・織田滅亡後、頼重の従兄弟にあたる諏訪頼忠は自立して茶臼山城に入ったが、のち金子城に移り、徳川家康に従った。
金子という土地は、江戸時代には下金子・中金子・上金子の三村に分かれるが、金子城は下金子にある。この集落は四賀赤沼の交差点から湖南大熊に至る道沿いにあるが、諏訪湖に注ぐ宮川が屈曲した箇所があり、その地形を濠として利用して作られた平城で、それなりの規模があったようだ。ここの石垣の石等は信濃を支配した徳川氏が関東に移封された後、豊臣政権下で諏訪を支配した日根野高吉によって現在の高島城が築かれた時に利用されたといい、はっきりとわかるものはあまりない。
「諏訪史蹟要項」によると金子八幡宮の隣に金子城と書いてあるので、近くに車を止めて八幡宮まで歩いたのだが、その近くには金子城という記述はない。ググっていろいろ調べたりしながら遺跡の説明板がある位置を見つけ出して行き着いたがかなり時間がかかった。
それから、ミシャグジを祀った御頭御社宮司社が福島(下金子の北隣の集落)の公民館の裏にあることがわかったのでそこまで歩いた。この神社は諏訪立川流立川和四郎の建築で、破風には彫刻が施されている。夕方かなり遅くまで歩いたが、かなり充実した。
今朝起きてから今度は茶臼山城が気になり、家から歩ける距離なので、歩いて行ってみた。手長神社の先を階段が通っていて、手長神社の神域の森の横を通るのだが、きれいに手入れをされた森で、うちの裏山もこのくらいきれいにしたいものだなと思った。
登り切るとそこは桜ヶ丘という地区なのだが、それはそこに水道局の配水池があって、そこに植えられたたくさんの桜の木から名付けられたので新しい地名だ。ここの建物も明治大正期の建築と思われ、近代化遺産としても興味深いのだが、ネットにはほとんど資料が出てこない。おそらく諏訪市史などを読むと出てくるのではないかと思う。
茶臼山城は先に書いた通りなのだが、下社の霞ヶ城(手塚城)跡や上原城跡等に行った時にも感じたが、諏訪の平を見下ろせる位置にあり、また諏訪の現在の市街だけでなく角間川の谷から岡村の方も見下ろせ、いつもこの地域の山城に行くたびに合理的な位置に作られているのだなと感心させられる。この場所は何度も来たことがあったのだけど、城跡だと思うと感想も変わってくる。
また、遺跡の看板を見ると高島小学校のあたりに手長丘古墳と書いてあり、あのあたりに古墳なんかあったかなと思ったが、よく考えてみると高島小学校や上諏訪中学校のある位置がおそらくは古墳だったのだろうという結論に達した。茶臼山城と重なる茶臼山遺跡という旧石器時代の遺跡があるのだが、この辺りは主に縄文時代の遺跡がたくさんあるのだけど、先史時代だけでなく古墳時代にもこの土地には人が住んでいたのだなと改めて感慨深かった。
家に帰ってジャンプとヤンマガとスピリッツを買いに行こうと考えたら今度は大熊城が気になってきたので出かけた。私はこの城も諏訪頼忠の居城であったと勘違いしていたのだがそうではなく、文明年間の下社大祝金刺氏との抗争の一つの中心となった城だった。天文年間の武田氏の侵攻により落城してのち破却されている。しかしこの城はかなり遺構が残っているようで、私にはあまりはっきりはわからないけど空堀の後や土塁の跡があるようだった。中央自動車道のすぐ横にあって、ここもとても見晴らしが良く諏訪一帯を見下ろせ、やはりそういうとちに諏訪の中世城郭は築かれたのだなと改めて確認した。
帰りはまた下金子から四賀赤沼に出、白狐橋を渡るときにいつも気になっていた白狐稲荷に寄ってみた。行ってみると、ここは中門川から階段があり、舟でお参りに来ることもできたのだなと思った。
一通り回って帰ってきたら7時前になっていた。今8時半なので、ここまで書くのに1時間半かかったことになる。
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