書くという自分にとっての正常なルート
Posted at 20/05/18 PermaLink» Tweet
昨日は久しぶりに草刈りをして結構からだのあちこちにガタが来たので、今日は大人しく1日本を読んだ李物を書いたりして過ごしたいと思う。
ツイッターをやっていると自分の持っている意見に反対のツイートを見るとついそれに反論したくなるのだが、ツイッターだけでなく毎日のいろいろなできごとについ感情を持ってしまってそれに振り回されるということがよくあるのだが、それはどの辺から起こることなのかなと思ったりする。
私はもともとどちらかというと論理的に判断して行動することが多い子供だった(だけど何のあてもなくただフラフラするのも大好き)ので、自分の感情は二の次にしてそれで結果的にあまりよくない判断をすることが多かったという反省があり、どうしても自分の感情を重視して考えないとと思ってしまうところがあって、その辺りで感情に振り回されている部分はあるなあとよく感じる。
最近ではそれを反省して、むしろ合理的に論理的に考えて道を考え、それを感情のレベルに落としてGOがでてら行動する、みたいな方向で考えているのだけど、考えること自体を感情が拒否するということがかなり起こるようになっている。まあそれは昔はそういうことが起こっても自分でよくわからなかったということなのだと思うのだが。
論理的に、合理的に考えればこう行動するのが正しい、でもそういう風に動く気が全然しない、ということがとてもよくある。特に自分の全体的な行動指針のような物を考えているときにそれが起こるので、せっかく行動指針を作っても結局それは絵に描いた餅に終わり、結局直感や思いつきで、ないしは切羽詰まってとりあえず行動することになりがちだ。
今回もしばらくいろいろ考えていたが、「結局私は書くことがしたいんだ」ということに思い至ると今まで考えてきたこととは全く別に書くことに力を入れるようになっている。この自分の中の熱量とかマグマのようなものは名付けようも量りようもなくて、書きながらそういうものがどういう状態なのかを確かめる感じになる。
書くというのは単純な動作のように思えるが、いろいろなものが複合してできている行動であって、それを「表現」と名付けて安心していても、でも「表現」という言葉では表しきれない何かがある。アスリートもきっと同じで、「走る」ということが何か狙いとか目標とかがあって走っている人ももちろんいると思うけれども、「走る」ということ自体をやめられない、という人はいる。その人にとって走ることは競技でもあるだろうし健康維持の手段でもあるかもしれないが、それを超えて「走る」ということが自分の奥深くに突き刺さっているのだろうと思う。
小林秀雄や白洲正子のグループに青山二郎という人がいて、彼は骨董にとても目の利く人だったが、いつでも骨董を売ったり買ったり、どんな下らないものしかなくても買わずにはおられないところがあったのだという。本を読む人もそういうところはあるだろう。クズ本しか売ってないような貧相な書店やブックオフに出かけても「その中ではいい本」をつい買ってしまう。後で「何でこんな本を買ったのだろう?」と思うような本。私の父も晩年に買った本はそういう「なぜこの本を?」と思うような本がたくさんあって、父の蔵書を整理しようとするときにそういうものが結構障害になる。多分父はこの本にこういう物を見出そうとして買ったのだろうな、というところが見えてしまって、下らなくても捨てられない感じが起こってしまうところがある。
という風に書いてみると、つまりは書くということは自分にとってある種の「生の衝動に突き動かされる行動」なのだろう。しばらく書いてないと何か変な感じがしてくる。書いていると何かしら自分の中で整ってくる物を感じる。自分が自分の中で自分であることの「正常なルート」に戻るという感じだろうか。これはマンガ「ピアノの森」の中で主人公一ノ瀬海のライバルであり心の通じ合った友達でもある雨宮修平がピアノを弾いていて感じた言葉なのだけど、これはいい言葉だなと思う。人によってそれが何かは違っても、その人にとっての「正常なルート」は必ずあるのだろう。
この「正常なルート」を見失っていては、どんなにいろいろ考えて、どんなにいろいろ計画しても、結局はその計画は失敗する。その「正常なルート」は自分にとって豊かな物であるとは限らないが、そこしか通る道はない、ゴールに到達できる道はない、というルートなのだと思う。
ゴールというのが何かというと、結局は「稔りのある生」ということなのだろう。人とは違う山道かもしれないし、でもそこでその道でしか出会えない様々なものに出会い、その道でしかありえない生の充実を得る。そしてそのときに必要なのはその生を一緒に育める人であって、それを批判する人ではないのだろう。ましてそれを妨害する人ではない。その道は自分自身にとっては神聖なものであり、どんなに親しい人であっても立ち入りを許せない場合もある。そこを蔑ろにすると道を見失う。
そういう意味では楽しみも欲望も全てを書くことに捧げているようなものだとも言え、しかしそれが苦にはならないどころか喜びにさえ感じる。そしてその喜びを妨害する人は許せないということなのだろう。これはある意味宗教的なものでもあるからまあ、信仰の違う人は受け入れられない、ということになるのだなと思う。日常は山道を降りて人里で食糧を工面しなければならなくても、本当の道はそこにはない。
まあ、生の衝動が「あくなきまでに権力を求める」とか「徹底的に金を儲ける」という人の方が現代社会に適応したタイプなのだと思うが、そういうタイプ変換はなかなか難しいので、とりあえずは「書く」という自分にとっての「正常なルート」をいくしかないのだろうと思う。
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