現在は準戦時と割り切るべき/保守思想のバカっぽさの魅力/答辞と自然な自己肯定感
Posted at 20/03/26 PermaLink» Tweet
東京オリンピックも延期が決まり、半ば虚脱状態の中で、新型コロナウィルス肺炎の流行によってますます社会情勢は騒然としてきているけれども、これは本当にまさに国難というか、いや実際には世界の危機ではあるわけだけど、「燃えろ一億火の玉だ」の方向ではなく、人類が今まで積み重ねてきた叡智を結集し、この難局を打開していくべき時だと思う。
英米はかなり大規模な、というか空前の規模の財政出動でこの難局を乗り切ろうとしているが、言葉を変えて言えば今がある意味での「戦時」であるということなのだと思う。戦時には財政を振り絞って資源を投入し、一方では新しい技術開発に巨額の投資を行って問題解決と自体打開に当たるのが当然なので、これはイギリスやアメリカは流石に戦い慣れている国だということだろう。日本は東日本大震災などの大規模災害にぶつかって来ながらどうも下手くそな政局運営、戦力の逐次投入でみみっちくごくわずかな投資と民間の自助努力で乗り切ろうとしているけれども、その状態では例えこの事態が乗り切れても国民は疲弊しきってしまう。今は準戦時と割り切って大きな財政出動をすべき時期だと思う。
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私は成長する過程での周りの環境というのはどちらかというと左側の人が多かったし、自然に左派的なものの見方を身につけて成長して来たけれども、周りに渡部昇一や小室直樹の書籍がなかった訳ではないのでなんとなくはそういう本も高校時代の頃から読んではいた。自分の中では自然にそういうものが並存していたのだけど、行動としてはなんとなく社会党に投票する、みたいな感じではあった。
周りが左翼の中でなんとなく「皇室や天皇は大事だと思う」みたいな発言をして批判されたりすることはあったし、それなりに左派系の歴史観の中で勉強したりもしていた訳だけど、それが根本的に方向を変えたのは1995年の一連の事件、阪神大震災と地下鉄サリン事件をはじめとするオウム事件への対応に社会党政権があまりに無能だったということが大きなきっかけになっている。
ちなみに今では安倍首相がよく「悪夢のような民主党政権」という言い方をするが、当時の社会党政権も酷いものだった。連立を組んでいた自民党も動きが鈍く、たまたま国家公安委員長だった野中広務氏がオウム関係者を次々逮捕していく荒技でようやく乗り切った感があったが、阪神大震災も自衛隊等がもっと機動的に動けていれば被害を減らせた部分は大きかったと思う。
ただこういう発言は自らに返ってくる訳で、阪神大震災も東日本大震災もたまたま自民党首班の内閣ではなかったから責任を逃れているけれども、今回の新型コロナウィルス肺炎蔓延という疫病禍に関しては自民党長期政権の鼎の軽重が問われている訳で、こんなシブチンの対策しか打たない安倍政権には国民は失望していると思う。
それはともかく、1995年をきっかけに私は左翼の方向性に見切りをつけ、保守系の思想を勉強するようになったのだけど、左派思想よりも保守思想の方がいいなと思った一つの理由は、頭の良さそうな左派に比べて保守の方がバカっぽいなと思ったことがある。左派は散々保守派論客の揚げ足をとって馬鹿にしていたけれども、保守派の方は小さな村の中で独自の戦いを展開している感じで、彼らが書いているものを読んでも左派の書いているものに比べて理解しやすく、左派の難解な政治的主張に比べるとなんだか馬鹿っぽい感じがした。
ただ、左派の主張が難解だというのはただ難しいことが書いてあるというだけでなく受け入れ難いことが書いてあるということでもあり、特にいわゆる戦争犯罪に関するあたりとか極東軍事裁判に対するスタンスとかは最初から非常に受け入れにくく、本格的に左派に入るためにはこれは大きな壁だなともともと思っていた部分だった。
いろいろと保守派の本を読んでいて感じたのは、彼らの主張には感情が背景にあるということだった。日本が好きだ、日本を守りたい、日本の歴史を攻撃するものたちから日本の歴史を守りたい、という感情はプリミティブではあるが理解できるし共感できる。左派の主張にも「人権を守らなければいけない」という感情があるというかもしれないがこれは感情というよりは「べき論」であって、人間的な深みがないように思った。
「難解な方がより真実に近く、馬鹿っぽい方は浅薄である」と人間は、特に思考力が武器のインテリは思いこみやすいけれども、難解だからといって真実に近い訳ではないことは、90年代のソーカル事件で明らかにされている。結局自分の感覚や直観のようなもので採否を判断するしかないところは大きく、その直感というのはつまり「教養とそこから出てくる常識」から出てくる部分が大きい訳だから、やはり教養を養うことは生き残るための重要な手段であって、決して金持ちの道楽ではないのだ。
ところで東日本大震災以降、「保守は感情的、左派は理性的」という構図は逆転し、左派の側が「放射脳」と言われるような「お気持ち全開」の取り乱し方を見せて保守の側から批判されることになる訳だけど、科学と進歩に基づいて未来を構想するはずの左派がむしろ自然回帰的な思想に取り込まれていって存立が危うくなっているのは残念な自体だと思う。
そうした惨状はともかく、私にとっては現在の主敵は右でも左でもなくいわゆるネオリベラリズム=リストラ至上主義であって、左派でも財政拡大派であれば連帯は可能だと思っているのだが、維新の会だけでなく立憲民主党主流もまたいまだに財政健全化至上主義が絶対的に強いようで、「より少なく悪い」のは国民民主党しかないのかなと思っている。国民民主党は立ち上げが希望の党の流れなのでなかなか信用するのが難しいのだが、最近の玉木党首の発言にはうなずけるものが多いので、とりあえずは期待している。
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学習院大学国際社会科学部の卒業生代表の答辞が話題になっていて、「自分は実績をあげたのだから変なことを言う権利がある」と言う主張を批判したり擁護したり喧しい訳だけど、要は「自分が頑張ったから自分が今ある訳で周囲や社会に感謝する気はないし、自分に感謝したい」と言う主張の幼稚さをどう評価するかが問題になっているのだと思う。
ただこれに関しては一晩寝て起きたら違う感想が出て来た。我々大人の世代は自分を大切にするのは当然の前提で、それだけを主張するのは子供っぽいと思ってしまうけれども、この答辞を書いた人や多くの若い人はなかなか自分自身に対する自尊感情や一定の自己評価を持てなくて苦しんでいる人が多い、と言うことなのではないかと思ったのだ。
氷河期世代の人たちがうまくいかない人たちが社会に憤激の感情を持ち、またその中で成功した人たちは強烈なネオリベ=自己責任論者になっている人が多いのと同じで、健全で自然な自尊感情が持てないでいる優秀な人たちは自分の能力や実績にすがり、ネオリベの人材として取り込まれて行きつつあるのではないかと思ったのだ。
だから彼女に対する批判はもちろん出てくる訳だけど、それ以上に、と言うかそれ以前に彼らがなぜそうした自然な自尊感情を持てないでいるのか、自己評価を低くさせられて来たのかと言うことを問題にすべきなのだと思う。子供たちの成長を意識的無意識的に支えている、そんな社会や教育であるべきだと思うし、親や教師もまたこの社会の中で生き残っていく術のみを教えるのではなく、お互いを尊重しあっていかなければ人間社会そのものが危機に晒されると言うことを戒めていかないといけないと思う。
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どうもMacの調子が悪く、変換が妙に遅いので文章のリズムが作りにくく、読みにくいところもあると思うのだけど、乱文乱筆はご寛恕願いたい。
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