ベートーヴェンの『運命』が怖かった/富・名誉・快楽という苦手分野
Posted at 20/03/10 PermaLink» Tweet
とりあえず忙中閑ありというか、新型コロナの影響でばたばたと予定が後ろ倒しになり変に余裕が出てきたこともあって、自分を見直す作業も思いがけず入れられる感じになっている。
昨日は朝何か食べものを買おうとコンビニに行ったら雑誌棚のフライデーに目が行き、柳ゆり菜という人の肢体というかおそらくはその柔らかなカーブの構図に目が行って、立ち読みして買うことにした。写真週刊誌を買うというのは久しぶりなのだが、最近ヤンジャンやヤンマガ、少年マガジンなどで見ているグラビアとは視点が違うなというのも気になって、久しぶりに買ってみたのだった。この写真を元に絵を描いてみようかなとも思ったのだが、まだやっていない。
アナログレコードを何か聞こうとレコードラックから一枚とり出したらカール・ベーム指揮ベルリンフィルのベートーヴェン『交響曲5番』だった。これはおそらくは父が買ったもので、私はあまり聞いてなかったのだけど、自分の態勢が聞けるようになっているかもしれないと思ってかけてみたら、すごくよかった。
このいわゆる『ベートーヴェンの運命』は、子どもの頃に最初にそれとして聴いたクラシック音楽で、すごくこわかった印象があり、子ども心に「クラシック音楽とは怖いもの」という印象が刻みつけられていた。その後もクラシックを聴くようになってからもおそらくはそういう理由で無意識にベートーヴェンを避けていて、『月光』とかを聞いてこういう曲もあるんだなあとは思ったし、『交響曲9番』などを聞いてこういう人なんだなとは思ったりもしたが、特に5番に関しては敬遠する気持ちがずっと続いていた。
ここのところ自分を見直す作業をしている中で過去のいろいろなものを掘り起こしたりする機会があり、昔見えていた見え方とは全然違うように見えたり、実はとても自分にとって有益なんじゃないかと思うようなものも出てきたこともあって、昨日はふとこの『5番』を聞いてみる気になったのだった。
改めて聞いてみると、演奏がいいし録音がいいということもあるのだろうが、繊細で、最初のテーマやその展開も聴いているうちにその美しさが感じられてきて、あのテーマ以外にもとても美しい繊細なメロディがいくつも出てくることに気づき、こういう曲だったのかと初めて知ったような気持ちになった。
私は正直自分の感性とか感受性というものを信頼はしているのだけど、こういうことはよくあるなあと最近また思うようになっていて、生きているうちにそういうものを見直したり聴き直したりしてこの世界のゆたかさというものをもっと広い面から感じてみたいと改めて思ったのだった。
昼前に丸の内に行って丸善で本を見て昼食を摂り、そのまま夕食を買って帰るつもりだったが、一駅だし神保町に行こうと思い立って出かけた。発売日前のコミックスを2冊買い、三省堂で参考書を見たり東京堂をのぞいたりして、三茶書房の店頭で1冊300円のワゴンの本を見ていたら世阿弥の『申楽談義』(岩波文庫)があったので読みたいなと思い、(ちょっと演劇書?に目が行くのは先日の野田秀樹さんの声明をめぐる是々非々の議論があったからだろう)ついでに何か買おうと思ったらスピノザの『知性改善論』(岩波文庫)があったので立ち読みすると、「一般生活において通常みられるものすべてが空虚で無価値」とか「私にとって怖れの対象であったものがそれ自体は善でも悪でもなくそれによって心を動かされたときに善あるいは悪を含む」というような仏教的と感じられる表現を読んだり、「人々が最高の善と評価しているのは富・名誉・快楽」というような文章を読んでいるうちに読んでみたくなって買った。
そのあと文房堂でお茶をしてボヘミアンズギルドで『マルク・リブー展』の図録を買って帰った。
自分を見直すという点ではこの『知性改善論』を読みながらいろいろ考えていて、自分はしたいこと、なりたいものについて、いわば下から考えてきたけれども、生きるのに一定必要な「富・名誉・快楽」とかについて、つまりある程度上から考えてみると出口が見えるのではないかとも思い、また上からというと「学問的な知→真、芸術的な美、政治的な善」みたいな方向からしか考えられていなかったなと思って、おそらくは割合苦手分野である「富・名誉・快楽」みたいなことについても考えてみた方が先が見えやすいだろうなと思った。
ということで今朝はその辺を考えていたのだが、まあこのあたりで考えが進まなくなったので、とりあえずこの辺で今朝は筆を置くということにする。
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