弐瓶勉「人形の国」フルカラー版/今学問に求められていること
Posted at 19/11/09 PermaLink» Tweet
目が覚めた時にはまだ暗くて、トイレに行ってから、5時前だったらもう一度布団に戻りすぎてたら起きようと思って時計を見たら4時50分だったので苦笑しながら起きることにした。寝たのは12時前だったから一応5時間は寝たことになる。最近寒いので暖かい布団の中は魅力的なのだが、入浴して温まることにした。
家でやることをある程度済ませ、まだ暗かったがファミリーマートまで車を走らせて別冊マガジン12月号を買った。カーブを曲がった時この寒いのに猫が歩いていて、ヘッドライトに照らされて慌てて逃げていった。寒いからと言って油断できんな。
昨日買ったマンガを整理していて、弐瓶勉「人形の国」のフルカラー版の収録話数を確認していたのだが、紙が厚いので3話までしか収録されてないことがわかった。(モノクロの単行本は6話収録)ラストにラフスケッチが数枚収録されているのだけどこれがカッコ良くて、弐瓶さんもどんどん新境地を開いているのだなと改めて思った。
ここのところツイッターで色々議論したりしていて、そうやって話をしているのも楽しいのだが、ある意味著書がないといじってももらえないというところがあるなあと最近思い出していて、やはり何か書かないといけないなあと思う。だいぶ長い間まとまったものを書いてない。しかしそれはまとまったものを読めてないということでもある。まずは読むことが書くためのウォーミングアップになると思うのだけど、そこはちょっと頑張る必要はあるなと思う。
自分の書いてきたものとか今いろいろ考えてみると、やはり70年代に10代として革命と幻滅の時代を、80年代に20代として相対化とポストモダンの時代を過ごしたことの影響を強く受けているなと思う。89年に始まる共産主義の崩壊は割と必然と受け取っていたが、90年代の日本の転落と00年代の世界の非安全化は自分の未来予想図とは違っていたわけで、その辺りの「なぜだろう?」みたいなものとまだ正面から向き合ってない部分があるなという気はした。
80年代のポストモダンに影響を受けて歴史、特に中世史に興味を持ち、しかし共産主義の崩壊を受けて民主主義自体を問い直したいと思ってフランス革命の勉強をしてみたが中途半端に終わってしまった。民主主義という命題はとても大きくてまだよくわからないところが多い。フェミニズムみたいな民主主義の鬼子の現れた現代では尚更なことなのだが。
アメリカの思想が暴走し、それが世界に影響を与えている一つの原因は、社会主義・共産主義という英米中心世界に対する巨大なカウンターカルチャーが消滅したことは大きいのだろうなと思う。日本のアカデミズムは潜在的な反米基調から元々左寄りであったので、英米スタンダードになかなか馴染めないところがあり、それが官僚や財界主導で大学改造を始められてしまった大きな原因なんだろう。
ただ人文系にしても、まずは巨大な実証の体系があってこその学問という面はあるので、イデオロギー支配が薄れた冷戦崩壊後こそが学問のよって立つべき根拠を築き上げる時期であるはずなのだが、時代遅れのイデオロギー支配がなかなかなくならないことは、大学世界にとって良いことではないだろうなと思う。
1950年代、石炭産業が盛んだった時代に大卒のエリートは皆そういう方向に就職して、80年代の我々はその先見の明のなさを嘲笑っていたわけだけど、80年代にポストモダンにかぶれていまだに調子の良いことを言いながら若者に馬鹿にされている我々の世代の人文出版関係者のことを考えると、人間というものは変わらないのだなあと思う。
流行にアップデートしていくことと不易の学問の基盤を鍛えることの両方がアカデミズムには求められているはずなのだが、その動きの担い手は確実にいるのだけど今のところ冷遇されていて、日本が日本として存続するために必要な底力の蓄積を今は大事にしていくべきだと改めて思う。
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