渡邉義浩「漢帝国」を読んでいる

Posted at 19/07/25

渡邉義浩「漢帝国」(中公新書、2019)読んでる。

漢帝国―400年の興亡 (中公新書)
渡邉 義浩
中央公論新社
2019-05-21



第1章は漢楚の攻防などほぼ知っていることしか書いてない印象だったのでどうかなと思って読み進めていたのだけど、第2章で文帝の時代に入り、というか第1章の第4項「呂氏の簒奪」で「漢帝国、天下は誰のものか」、というテーマが提示されてこれは面白いと思った。中国では国が乱れる原因として夏殷周の三代は妖婦に王が誑かされる、というのがあったが、それ以降は趙高のような宦官の専横、漢代に見られる皇后や外戚の専横、宋代に見られる官僚の党争といった原因が出てくるが、後漢になって儒教の教義により外戚の権威が定められた、というのは興味深いと思った。

呂氏の族滅の後、活躍した斉王ではなく外戚に力がない代王が群臣、特に陳平の推挙により建てられた、というのはあまりちゃんと認識していなかったので、これはなるほどと思った。

著者の渡邉氏は私と同年で、「中国古代史研究の最前線」のような斬新な研究状況の情報が提示されている感じではないが、漢の律(刑法)が秦の律を受け継いだ厳格なものだったとは知らなかったので(高祖劉邦の法三章の印象が強い)、それも勉強になった。

中国史研究も時々は読んでいかないとアップデートされていかないなあ、と改めて思った。

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