神保町の空気は自由にする/アンリ・ミショーがよかった。
Posted at 19/07/16 PermaLink» Tweet
ここのところずっと雨が続いている。先日は土曜日に帰京するつもりだったのだが篠ノ井線の区間で列車事故があり、午後3時以降ほとんどストップしてしまったため、予定を変えて日曜一番の特急で帰った。この特急は新宿どまりでなく東京行なので、新宿での乗り換えがないので楽なのだが、事前に予約した電車ではないので正規料金になり、久しぶりに6000円以上の切符を買うことになった。やれやれだが、列車事故なら仕方ないと諦めるしかないのだろうな。
日曜日は東京駅で少し本を見た後時間が早かったが昼食を取って帰り、あまり調子が出ないまま一日が終わってしまった。月曜日も調子が出ないまま午前中が過ぎたのだが、夕方になって思い立って出かけて神保町へ行った。
ここのところでかけると言っても日本橋や大手町、東京駅周辺どまりだったので神保町は久しぶりだったのだけど、久しぶりにこの町に行くとなんだか自由な空気を感じた。私が電車でよく行くのは東京駅周辺と銀座、神保町というところなのだが、東京駅周辺は固い感じがあり、銀座は外国人客が多くて最近は少し落ち着かない感じがある。神保町も本ばかり並んでいる町という固定観念が最近なぜかあったのだけど、久しぶりに行ってみるとそんなマイナスな感じは全然なくて、やはり神保町は好きだなと思った。
新御茶ノ水(南側の出口)で降りて自然食の店や美術系の古書店の前を通り、駿河台下の交差点から東京堂へ行って電車の中でツイートした松本清張の『古代史疑 増補版』を買った。松本清張が歴史学者が応答してくれないという魂の叫びをあげた文章を読んでそういう印象があったのだが、ツイッターでの指摘によると歴史学者とシンポジウムも開かれているということで、この本の増補版ではそれが収録されているということで買ってざっと読んでみた。松本清張はかなりかしこまって厳しい指摘を覚悟、みたいな姿勢で、しかし自説はどんどん開陳している感じだったが、最後に狗奴国を取り上げた功績みたいな話になって、なんか褒め殺しっぽいなあと思ってしまった。このあたり、きちんと読まないと評価はできないが、どのような形で彼が遇されたのか、もう少し調べてみたいと思った。
三省堂で本を物色し、すずらん通りを歩いていたら虔十書林という入ったことのない古書店を見つけ、入ってみるとルイス・キャロルやアリス関係の本が並んでいてすごいなと思ったが、いま調べてみたら2001年オープンなのでなぜ知らなかったのかなという感じなのだけど、いろいろ物色して中身を読んでみて、アンリ・ミショーの詩集『閂に向き合って』(青土社)がとても面白かったので買った。
鰐が来たと知らせるのは鰐の仕事ではない
とか
もしも人間が誰ひとり形を持っていなかったら、嫌われることがどんなにか少ないだろう
というようなアフォリズム的な、少し硬質の表現が魅力的で、私はどちらかというと敢えて柔らかい表現をするスタイルが身についてしまっているので、こういう硬質な表現にもトライしてみたいと久しぶりに思った。
この本に興味を持って作者や訳者を調べてみたら、訳者の小海永二氏はすでに物故していたが、私の出身校に在籍していた先輩だということを知り、仏文学者が先輩にいると知ってなんだかちょっとうれしかった。
Facebookで小沢征爾のマーラーが聞いていて疲れない、という話を読んで、ディスクユニオンで探して見たら6番だけあったので買った。家に帰ってきて聞いてみると確かに聞きやすいと感じた。それにしても今家にまともなCDプレイヤーがないので、何とかしないといけないなと改めて思った。
多分書くことはいろいろあるのだけど、こうやって自分のやりたくてやったこと、好きなことを書いていくと先が見えやすくなる感じがするので、そんな感じで書いていこうかと思っている。
文房堂へ行ったらカフェが閉まる時間で入れず、カフェテラス古瀬戸でエビカレーを食べて帰った。
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