保守のための自由/『雪女と蟹を食う』など
Posted at 19/06/24 PermaLink» Tweet
今日は一日ああでもないこうでもないとものを考えていたのだが、結論らしきものは出ずに疲れてしまって午後は出かけたり。ちょうど雨が上がった感じになったこともあり。
丸善で迷ったけれども『ダンス・ダンス・ダンスール』を1巻と2巻、買った。どうせ面白いに決まってるマンガを買うのはちょっとくそっと思うところがあるのだが、でもつまらないものを買ってがっかりするのもアレなのでまあ面白い方がいいんだろうなと思う。つまらないか面白いかわからないギリギリの線を試してみたくなるのはある種の物好きではあるのだが、屍々累々のマンガがあまり溜まってもアレなのでやはり自分が読んでおもしろいと思うものをちゃんと買った方がいいなと思う。
人が面白いと言っててもなかなか自分にはそうは思えない作品があるのだけど、そういうのを名前を挙げて書くのもまあいまいちなので、何か取り上げなければならない理由ができるまでは特に触れないことにしておこうと思う。
私は占いとかが結構好きで、自分でよく易とかを立ててみたりするのだが、こういう伝統的な占いのちょっと物足りないところは、現代的な価値が反映されてないところで、こういう方がより自由になるとか、こういう方がより進歩するみたいな答をなかなか導き出せない。
こういうの(易経とか)を読んでいると、つまり昔の思想というものは基本的に保守的なものなのだと思う。考えてみたら昔の社会における価値というのはつまりは平和なことであり、それは対外的に戦争がないということもあるが対内的に治安が良いということでもあり、ということは秩序が整っているということで、それは下剋上とかが起こらないことでもあるわけだ。
自らの文明を中華と呼び至高のものと考えていた人たちが、他の国がより高度な文明を持って自分の国に迫ってくるという発想そのものが易経の時代にあったはずはないのだが、そうなると当然ながら近代以降の東洋の苦しみというものが占いになかなか反映されにくいことになる。
近代以降の大きな価値は「自由」ということがあるわけだが、自由であればこそ世の中は変化するし、また新しい技術も開発され、また世の中の根本を追求し組み立て直していく科学も発達しうる。伝統社会において科学は必ずしも良いばかりのものではなかったし、現代においても遺伝子組み換え的な問題などに観られるようにやはり伝統的価値観との相克というものは存在する。
私は基本的に保守主義ではあるのだが、それでも自由というものの価値は大事だと思うし、また進歩主義がややもすると社会主義的全体主義を志向しがちな傾向はあるので、むしろ保守のためにも自由の価値は大事にしなければならないと思う。
そういう意味での自由の価値というものを、保守主義の文脈、ないし漸進主義の文脈ではっきりととらえなおせるとよいと思う。保守のための自由、というか。
あと『雪女と蟹を食う』『新信長公記』のヤンマガの二作品がかなり面白く感じてきた。まだバックナンバーで読めるだけしか連載は続いてないが、『雪女』の痴漢冤罪で周りが離れて行き自暴自棄になった男が死や他人の痛みについて改めて気づくくだりがとても面白く、もう一度じっくり読みたい感じになってきた。
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