諡号と追号/「才能」とは/コンプレックス
Posted at 19/06/18 PermaLink» Tweet
野村朋弘『諡 天皇の呼び名』(中央公論新社)読了。これくらいの、自分がかなり関心があってある程度は知っているテーマの本だったら、わりと一気に読めるくらいには体調と読書力が回復してきた感じ。少しは実のあることができるようになるといいのだが。
天皇のおくり名には諡号と追号があり、追号には在所号、加「後」号、明治以降の元号によるもの、二人の天皇の諡号から合わせたもの、と何種類かあることは知っていたが、そのあたりをきちんと分析して整理されてあったので大変興味深かった。また、山陵名によるという例が醍醐・村上・東山の三例あるというのは初めて知った。どういうゆかりの名前なのだろうかと不思議に思っていた追号だった。
昨日も書いたが王統交代があった時に「光」の字のある諡号が使われるというのは(光仁、光孝)なるほどと思ったが、それなら光の字ばかりの北朝の追号はどうなのかと思っていたらやはりそのことについても書かれていて、光厳・光明・崇光それぞれに光が使われるとともに王統を失った崇光天皇に「崇」の字が使われている、崇徳天皇や崇道天皇(早良親王)に使われたこの字を使うことで、後光厳王統への無言の圧力をかけた、と分析している。
また、観応の擾乱で皇位を得たものの三種の神器も治天の君による践祚も行われず正当性に疑問がつけられた後光厳天皇が敢えて不仲の父の「光厳」に加後した追号をつけたのも正統性の主張である、と解釈していてこれもなるほどと思った。
いろいろ興味深い論点が多いのだけど、まだ研究は緒に就いたところという感もあり、今後史料的な裏付けがもっとなされていくと意外な展開もあるのではないかという気がした。
昨日は昼前にアリオ北砂に行ってマンガとかを買い(『東京卍リベンジャーズ』12巻、『さよなら私のクラマー』9巻、『EDENZ ZERO』5巻)、、午後にニトリに行って浄水器のカートリッジを買ってきたのだが、その両方で花ばさみを探したのだがおいてなくて、6時を過ぎてから日本橋に出かけて高島屋で探したら、あったことはあったのだが2万円前後する本格的なものしかなく、もう少し探して見ることにした。ついでに高島屋の中をいろいろウィンドーショッピングしつつ屋上に行ったり渡り廊下から新館に入ったりして、結局丸善で食事して帰ったのだが、よく考えたらコーヒーが切れていたので高島屋のデパ地下で買って帰ればよかったのだとさっき気づいた。
何となく本を買う気はなかったのだけど、とりあえずぱらぱら見て面白そうだなと思った楠木建『すべては「好き嫌い」から始まる』(文藝春秋、2019)を買ってみた。いわゆるビジネス書というのは割と読みやすいが読んでみても不運で終わることが多いのだけど、この本は読んでいていろいろ考えさせられるところがあり、興味深い。
面白いと思ったのは、「ゼロから他の人にはできないようなプラスを創る。そのことにおいて「余人をもって代えがたい」とか「この人にはちょっと敵わない・・・」と思わせる。これを「才能」という。その道のプロが仕事において唯一絶対の拠り所とするもの、それが才能である。」というところ。「」才能は一朝一夕には手に入らない。・・・あっさり言ってしまえば「普通の人」にとって、才能は努力の賜物である。」というところ。
才能は生まれつきか否か、みたいな話はよくあるが、「余人をもって代えがたい」ものを持っていればそれは才能であり、どうやって身につけたかは関係ない、というのはその通りだと思ったし、勇気が出る話だと思った。まだ読み始めたばかり。
このところ自分の本質というか意識されていない自分の中に切り込む試みを続けているのだけど、「ひきこもり」とか「絵を描く」というテーマを少し持って自分を深掘りしていたのだけど、今朝「コンプレックス」という言葉が浮かんで、自分が「焦り」がちであることの根本にそういうものがあるのではないかと思ったりした。最近、『東京卍リベンジャーズ』を読んでいて思うのだけど、子どもの頃はケンカしても強い子には敵わなかったし、やはりそのあたりに昔の男の子ならではのコンプレックスはあったなということに思い当たった。いや、今でも男の子なら大抵あるのかもしれないけど。
で、こういう不良マンガというのは正しさとか強さとか勇気とか信頼とか敬意とかそういうものがテーマとして立ち上がってくるわけだけど、その中には個々人が抱えているどうしようもない負い目みたいなものがあり、そういうものと自分の中を無意識に突き合わせていることによって、自分の中の奥底に沈んでいたけど無くなってはいなかったそういうものが浮かび上がってきた感じがして、ヤンキーマンガも大きな意味があるなと改めて思ったりした。まあ「東卍」は特にお洒落だから読む気になる、ということも大きいのだけどね。
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