和久井健「東京卍リベンジャーズ」を読んでいる。

Posted at 19/06/13

久しぶりに新しいマンガを最初から読んでいる、というか連載しているのを読んでいて面白いので最初から読んでみる気になる、というパターンをやっているのだが、やはり連載の途中からを読んでも面白い作品は全体から見ても面白いのがほとんどなのだけど、この作品は本当に最初からずっと面白い。少年マガジン連載の和久井健『東京卍リベンジャーズ』だ。
読み始めたのは柴八戒というキャラクターが兄の柴大寿を殺すのを止める、ということがミッションになっているあたりからで、今連載は113話まできているが、90話くらいからだろうか。

ストーリーは主人公・26歳のダメフリーター花垣武道(タケミっち)が中学生の時に付き合っていた彼女・橘日向(ヒナ)と弟の直人が不良集団「東京卍會」の抗争に巻き込まれて死ぬ、というニュースを見たところから始まる。駅のホームから転落して死ぬ、というところでタケミチは12年前にタイムリープし、直人に「2017年7月1日、この日を覚えとけ」と伝え、直人と握手すると現代に戻る。帰ってきた未来は直人が生きている未来で、過去を変えられることを知ったタケミチと直人はどうにかしてヒナが生きている未来にしたいと、何度も12年前にタイムリープを試みることになる。

タイムリープもの、というのはあまり読んだことがないし、また不良集団もの、というのもそう好きではなかったので、最初は連載もなんとなく読んでいたのだがだんだん面白くなってきて、設定が少しわかってくるとこれは面白いと思い始めて昨日Kindleで読み始め、6巻51話まで読んだ。

主人公のタケミチは自分の今までの生き方を後悔していて、12年前の14歳に戻った時に二度と後悔したくないという思いから自分の今の思いをストレートにぶつけて生きていくことで、周りにも一目置かれるようになっていく。14歳の肉体に26歳の後悔が後押しすることで、無理なことも乗り越えていく、という感じだろうか。まさに「人生をやり直す」ということなのだけど、今までのところ何度過去にリープしてもヒナが生きている未来がなかなか実現せず、それでもくじけずにトライを繰り返しているのだけど、あまりこういう展開のものは読んだことがないからとても面白く読んでいる。

また、普通の不良漫画というのは大体絵がきれいじゃないというか、画面が濃い、悪く言えば汚いものが以前は多かったし、最近は絵が上手くても基本重くて暗いものが多くて、そのあたりであまり入り込めないところが多かったのだけど、この作品はとにかく絵が上手い、というよりまず何より絵が「きれい」で、その辺りに抵抗がない。また展開も基本シンプル(構造は結構複雑だけど)で、頑張りどころがはっきりしているから読んでいて無意識に主人公を応援しやすい、というところもある。

あとは登場人物の魅力だろうか。「無敵のマイキー」「ドラケン」「千冬」といった不良たちも魅力的だし、またそれぞれ生い立ちに重いものを背負っているのは「ギャングース」を思い起こさせるが、それでも中学までは通っている。また「ヒナ」「エマ」といった女の子たちもそれぞれとても魅力的で、必ずしも今までの不良マンガに出てくるような(まああまり読んでないから知らないだけかもしれないが)タイプではないように思う。

あと、こういうマンガを読んでいていつも思うのだけど、「不良」とか「海賊」とかいわば世の中のアウトローを描いた作品ほど、「正しいとはどういうことか」「正義とは何か」ということがテーマになっていて、その答えを作中で示そうとしているということだ。もちろんそれは世界における正義とか国家における正義というような大きなものでは必ずしもないけれども、「こういう正しさ」が魅力的だ、ということは示される。政治ものにおける正義とかはなかなかストレートに描くのが難しいけれども、いわば負の集団だからこそ、正の方向性が輝くという面があるのだろうと思った。

ということでここまで読んだ感想でした。

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by Luke Peterson

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