ドーデ「最後の授業」を思い出して

Posted at 19/04/27

昨日は「平成最後の授業」があったということで、「フランス万歳!」と黒板に書けばよかった、という話がツイッターで流れてきて、なるほどと思ったが、ドーデの「最後の授業」は6年生の国語の最後の教材だったことはよく覚えている。

あの当時は特に何も考えず、小学校最後の教材だから最後の授業なんだろう、くらいにしか思っていなかったが、今考えると小学校卒業前の最後の教材に「愛国心」をテーマにしたものを取り上げるというのはなかなか興味深い選択だなと思う。

しかも、これは普仏戦争でフランスがプロイセンに負けた際、もともとドイツ語圏であったアルザス・ロレーヌがプロイセンに割譲されることになった、という状況であって、アルザス人はネイティブのドイツ語ではなくフランス語を一生懸命学んでいて、でも明日からはドイツ語の授業になる、というかなり複雑な、そして苦い状況をテーマにしているわけだ。

そして、その中でフランスの誇りはフランス語であることという「一にして不可分のフランス」という概念もまた盛り込まれている。これはもちろん、「我々日本人は日本語を大切にすべき」というメッセージが含まれているし、言外には「母語が日本語でなくても、日本人である以上、日本語を大切にすべき」というメッセージもある。

そういう教材を小学6年生のいわばはなむけとして取り上げる、というのは、おそらくは教科書編集者のある種の万感の思いがあったのだろうなと思う。私が6年生だったのは1974-5年、戦後30年になるところで、「大人の人」の大部分は戦前生まれだった。もちろんほとんどの先生もそうだった。考えてみると、平成が31年で終わる今、昭和生まれの人は私が6年生の時の戦前生まれに当たるのだが。

それにしても、平成が終わり、令和が始まる。令和という年号、なんとなくスピリチュアルな感じがするのだけど、竹下さんが選んだ(と思われる)平成と、安倍さんが選んだ(と思われる)令和という二つを比べるとそれぞれの個性が出ているなと思う。光明のある時代になってほしいなと思う。

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