「令和」は「美しい国、日本」だろうか
Posted at 19/04/02 PermaLink» Tweet
新元号、ツイッターで見ているといろいろと深いところまで知っている人の発言が多く、日本の人文学の裾野は広いなあと改めて思う。こういうところで知ったかぶりをすると恥をかくなあと思う。
政府発表によると、出典は国書(この場合は日本の書という意味だな)である「万葉集」から初めて選ばれたとのこと。巻五、太宰府の大伴旅人の屋敷で行われた梅花の縁での歌会についての序からだとのこと。「令月」と「風和」の二語から一字ずつ取ったと。令はこの場合は「良い」こと、「姿形が良い」つまり美しいということだろうか。「和」は和らぐ、という意味だが色々な意味が込められていると思われる。
この言葉の出典はさらに古くを遡れば六朝時代に行くらしく、「文選」その他の出典がツイッター上でも取りざたされているが、同じような表現は四六駢儷文の発達したこの時代にはたくさんあるらしく、契沖の「万葉代匠記」でも確定しかねているらしい。確かに平安時代に唐の時代の詩の影響を受けたことは白楽天をはじめいろいろ読んでいるが、奈良時代には直接唐からもあるがその前の時代の六朝時代の文章の影響の方も大きかっただろうと言われてみたら思い当たるがそれまであまり考えていなかったこともあり、改めて勉強になるなあと思った。
この決定を主導したのははっきりとは言わなくても安倍首相だろうし、「令」が美しいという意味なら「和」には「日本」という意味もあるわけで、ということは「令和」というのは「美しい国、日本」という意味も込められているのではないかという気がする。
皇太子殿下は浩宮時代から帝王の器であると期待されてきた部分があり、令和の年号や初めての国書からの選定ということもあってより「日本らしい」ことを期待されているような感じがますます強まっている。殿下ご自身は元外務官僚の雅子妃と結婚され、自身もオックスフォードに留学されているように、志向としては欧米的な部分があるようにも思うのだが、より日本的なものを期待されるというのは、特殊日本的ではなく大帝国の皇帝として期待された明治天皇が最後まで生活の場所である御所の明かりに電灯を使わせなかった(と何処かで読んだ)というのとは逆で、自分の好みとは異なるものを体現しなければならないこともあるのが帝王というものの辛いところだなと思ったりもした。
とはいえ、平成も後4週間と少し。古い時代は平穏のうちに終わり、新しい時代が明るく始まってくれることを祈りたい。
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