「弁護士は無力感との戦い」と言う言葉と教師のいくつかのタイプ
Posted at 19/01/31 PermaLink» Tweet
モーニングで連載している「イチケイのカラス」という裁判官・裁判所の日常を扱った作品があるのだけど、この作品の中で弁護士出身の裁判官が「検察官は強すぎる正義感と、弁護士は無力感と戦わなければならない」ということを言っていて、いろいろと思うことがあった。
もちろん検察官は法的正義と被害者の側に立って被告人を有罪に持っていくように正義感を持って頑張り、弁護人は被告人の利益のために最善を尽くし、特に冤罪がなくなるように、不当な重刑を避けるように努力するわけだけど、弁護人の主張が通らず証拠が採用されなかったり、あるいは二審で勝利してもなぜ一審で勝てなかったのか、その間にどれだけの時間が失われたか、と無力感に苛まれるということはあるのだろうなと思った。
「無力感との戦い」、という言葉には自分の中に反応するものがあって、それは教師時代のいろいろな思い出、眠っていたものが揺り動かされるような感じがするからだろうなと思った。
教師にもいろいろなタイプがあるけれども、正義感の強い検察官タイプ、生徒のことを第一に考えている弁護士タイプ、客観的に状況を見ている裁判官タイプ、というわけ方もひとつできるかもしれないと思った。基本的に生徒のことを第一に考える弁護士タイプが多いと思うけれども、それは自分が付き合ってきた先生方がそういう人が多かったということで、実際にはあまり良くない意味で正義感が強い、つまり決まりを守らない生徒=悪と決めつけるタイプの検察官タイプの教員ももちろん多いなとは思う。
中にはひどい先生もいてこの三タイプに当てはまらない、どちらかというと被告人じゃないのかとか、「見てるだけ」の傍聴人タイプの教師もいないとは言えないが、教師というのは基本的に「指導」が仕事なので、多かれ少なかれ主張はしなければならないわけで、全く傍聴人で済むというわけにはいかない。ただ、本当に悪い意味で自分のやりたいようにやって周りからも困った人だと思われる被告人タイプの教員は残念ながら皆無ではない。最近のことはわからないけど。
教師の中でも特に頑張るタイプ、生徒の側に立って一生懸命真面目にやるタイプ、いわば弁護人タイプの先生は、なかなか大変で、そういうタイプの先生に必ずしも生徒がついてくるわけではないので、頑張っても生徒からも認められず、主張も通らなくて燃え尽きてしまう人は少なくない。もちろんその先生の指導についてこれるタイプの生徒を相手にしていると、気持ち的に報われることだって少なからずあるから、そういう先生が必ず病むわけではないけれども。
また、検察官タイプの先生も規則第一主義の官僚的な部分、生徒の非だけ鳴らしているタイプもいないわけではないけど、そういう人でもその人にとっての正義の基準がちゃんとあって、それが生徒にも通じて共感される場合もあるから、そういう先生も生徒に慕われる人は少なくはない。
また一見冷たく見える裁判官タイプの先生も、状況をきちんと見ていて他の人が困っている時に一気に問題を解決してくれる場合もあり、頼りになるということもよくある。
最近の裁判の傍聴記録とかを新聞などで読んでると、最後に裁判官が「教育的指導」みたいなことを言うことがよくあるなあと思って、そう言う意味である種社会教育機関的な役割もないわけではないんだなと思うこともある。
どう言う先生がいい先生か、と言うことはよく言われるけれども、多分それは百人百様であって、自分が好きなタイプの先生と同じタイプの先生ばかりで構成された学校とかは、実はよくないだろうと思う。当たり前なのだが、いろいろなタイプの先生がいるからこそ、いろいろなタイプの生徒が「この先生なら信頼できる」と思える先生がいるわけだし、逆に似たタイプの先生ばかりが配置されるようになるとあまりいいことはないように思う。
まあこの辺りは自分の学校教師としての経験は高校しかないので高校においてはと言う話なのだけど。
ちょっと読んで自分の中で考えたことなど書いてみた。
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