中東・ハートランドと日本/貧困と少子化対策の貧困
Posted at 18/11/05 PermaLink» Tweet
4日は疲れていて午後は寝てしまったのでブログが書けなかったのだけど、その分を夜中のうちに書こうと思って書きはじめたらもう2時半になっていて、そんなにまとまったものは書けないが少し書こうと思う。
今の世界についてしばらく書いていて、やはりイスラーム世界のことがかなりのキーポイントになるということは確かだと思うが、日本は自分のことしか、あるいはせいぜいアメリカや中国だけしか見ていなくて、大きな目で見て世界で今一番動いている中東地域のことを見ていないと世界の流れを見失うなと思っている。
ハートランドという言葉が地政学にあるが、不思議なことだがやはりこのあたりの情勢をおさえておくのは重要なのだと思う。なぜなのかなと思うが、やはりヨーロッパ、アジア、アフリカ、ロシアのすべての方面から見てここが世界の結節点になっているからなのだろうな。地域的に関係ないアメリカさえ中央軍を送り込んでいるし、中国もまた一帯一路とか言ってこのあたりに手を出そうとしている。日本人は意識が薄いが、それでも化石燃料の輸入において日本はこの地域に致命的な依存をしていることは忘れてはならないわけで、イランもサウジアラビアもUAEもイスラエルも等距離的に付き合ってきた歴史は多分マイナスではないと思う。
中東諸国の対立に日本が調停に乗り出すというのは外交能力的には難しいだろうなとは思うが、日本にとって本当は重要な国々なので、これらの諸国のお得意さんとしてひとこと言わせてもらったり仲を取り持ったりするのは本当は筋から言っておかしいことではないわけで、そういう意味でわれわれ日本国民の立場から言っても政府の努力をそんなに否定的に見なくてもいいとは思う。
トルコは基本的に親日国だしイランも付き合いが長い。カタールにもいろいろ世話になっているようだ。アメリカが手を突っ込んでいる湾岸独裁諸国だけでないところに付き合いがあるのだから、これらの国々に対しても誠実な調停者としての役割を果たす素地はあると思う。それができる政治家や外交官がいるかどうかが問題なのだけど。
そうした世界のことを見る一方で、一方で今の日本において大事なのはいわゆるロスジェネ問題を中心とした貧困・格差の問題だと思うのだが、ちょっと勉強しようと思って阿部彩・鈴木大介『貧困を救えない国 日本』(PHP新書)を買った。今の日本では不思議なくらい貧困は見えないことになっているらしく、ツイッターなどを見ていると日本にかなりの割合で貧困層がいることは明らかなのに、それが見えない人が多いということ自体が日本の問題点の一つなんだという気はする。ツイッターは40代前後の男性・女性の書き込み者が多いからロスジェネが取り上げられやすいということも多分あるのだとは思うけれども。
阿部彩氏は『子供の貧困』などの著書がある社会学者、首都大教授。鈴木大介氏は『最貧困女子』の著書があり、私が読んでいた底辺男子を描いたマンガ『ギャングース』の原作者でもある。
ぱらぱらっと見ただけでも知らないことが多くて驚くのだが、25歳から44歳の女性で出産経験がある人は6割しかいないと言うのは驚いた。もちろん晩婚化が進んでいるとか産む意思がなくてそうなってる人も多いだろうが、産みたくても産めない、結婚も出産もできないという人も多いのだと思うし、その一番大きな原因は経済的なものなのだろう。女性の3割が子どもを一生産まないのだとすれば、合計特殊出生率が1.3人であっても不思議はない。7割の「産む」女性が二人ずつ産んだとしても、平均1.4人になるわけだから。
ということはつまり、少子化というのは産む数が減っているというよりは産まない人が増えてるということなのだ、ということで、つまり保育園の整備がどうの、ということは本当は根本的には関係がないということだ。もちろん整備した方がいいに決まってはいるのだけどそれはそれとして。
もちろん女性の選択として産まないのは自由なわけだけど、問題は産みたくても産めない事情のある人の中で、条件が整いさえすれば産むという人があるのであれば、それを援助しなければ少子化問題など解決しないということになる。少子高齢化対策はきっとそんなふうに、ずれた部分が本当に多いのだろうなといきなり思わされた。
何が起こっているのか、色々と勉強しないといけないことは多いなと思う。
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