御嶽海と雷電

Posted at 18/07/21

郷土ネタはあまり書かないが、今場所(平成30年名古屋場所)では関脇御嶽海の活躍が目覚ましい。

長野県出身力士では、明治の優勝制度確立以後、優勝した力士は誰もいないので、もし今場所御嶽海が優勝したら史上初ということになる。

長野県出身力士で強豪といえば江戸時代に雷電爲右エ門という力士がいた。現役期間は1789-1811年、寛政2年から文化8年まで、11代将軍徳川家斉の時代である。当時の強豪力士は4代横綱(実質初代とされる)谷風、5代横綱小野川らであったが、雷電は谷風の内弟子となり、谷風の代役で「大関」で巡業を務めた。またこの年、谷風・小野川が「横綱免許」をうけたが、当時はまだ「横綱」というのは制度的なものではなかったようだ。次に横綱になった阿武松が免許を受けたのは、雷電の死後である。

雷電の本場所での成績は、預かり、無勝負、休場を除けば254勝10敗。現役時代に10回しか負けておらず、Wikipediaを見ると雷電が負けた力士がリストアップされているくらいで、古今無双、破格の強さだったとされる。諏訪大社の上社本宮には雷電の像が立っている。

それにしても、御嶽海という力士も強さにおいては破格のものを感じる。学生相撲での実績からデビューは幕下十枚目付け出し、この位置でデビューすると返って苦労する例もあるが、御嶽海は2場所で十両に上がり、十両も2場所で通過してデビューした年(平成27年・2015年)の九州場所では新入幕。翌年の九州では早くも三役に上がり、2017年の春場所以降は現在まで三役の地位を守っている。

今年の春場所で7勝8敗と負け越したのは痛いが、今場所でもし14勝1敗で優勝すれば直前3場所で30勝となる。ただ現在の規定では33勝がほぼ規定になっているようなので、今場所での昇進は難しいだろうが、優勝を自信にして来場所以降に臨めば来場所での大関昇進もあり得るだろう。

さらに長野県出身初の横綱にまで、なってもらえるよう期待したいと思う。

ところで、雷電は巡業や本場所について、日記を書き残しているのだそうだ。これもまた興味深いものがあると思った。

雷電日記
ベースボールマガジン社
1999-02


 

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by Luke Peterson

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