移民に対する悪感情の問題とか

Posted at 18/06/30

ブログを書こうと思ったテーマがあったのだが、忘れてしまった。こういうのはTwitterなどを見ていて思いつくことが多いのだが、その時ちょうど池の鯉に餌をやろうとしていて覚えているつもりになっていたのだけど、ポイントをツイートしたつもりでし忘れていた。しかも餌もやり忘れていることに今気がついた。土曜日だから余裕があるなあと思いながら過ごしていたが、やはりまだだいぶ疲れているようだ。

思い出した。移民を望まない心理について考えていたのだった。

日本は欧米諸国に比べるとまだ移民がそう多いとは言えない国ではあるし、基本的には合法的な移民はかなりハードルが高いけれども、伝統的に朝鮮系・中国系の定住者は多いため、外国人に対する悪感情というと基本的には朝鮮・中国系が対象になることが多かった。

この辺りは戦前から長く続く様々な感情のもつれのようなものがあり、なかなか一筋縄ではいかないのだけど、いまのいわゆるネトウヨ的感情を持っている人の中の、特に若い層ないし所得の低い層においては、「日本人としての自分の存在と生活が脅かされる」という漠然とした恐怖心が背景にあることはなくはないと思う。

左派が問題にしてきたのは元々は経済的平等を求めていくことだったが、日本が豊かになった時期に左派の求めるものが経済的平等から文化的側面にシフトして行って、マルチカルチャリズムやマイノリティの平等の問題に移行した。経済的平等の主張は権利の取り合いなので使用者側との駆け引きによって解決していける部分があるが、文化的な、あるいは人権的な側面での平等については倫理的、精神的な問題になるので糾弾などの人格攻撃が主にならざるを得ない。このような攻撃が日常化してきたことによって一般の人たちの左派に対する拒絶感のようなものも醸成されてきている部分はあった。

しかし豊かなうちは差別の問題はこころの問題で済むので、反省したり自分の中で譲歩したりすることによってそれを受け入れ、乗り越えていくこともある程度は可能だった。しかし経済的に困窮する層が多くなってくると、差別の問題はこころの問題で済まず、自分の存在や生活を脅かす存在としての外国人、あるいは自分たちの困窮にもかかわらず不当な援助や支援を受けて「良い生活をしている」マイノリティという概念が立ち上がってきてしまった。

この辺りは日本だけにかかわらない問題で、アメリカのトランプ政権やヨーロッパで右派勢力が伸びているのも同じようなことだろう。社会に余裕がないのが大きな問題で、この余裕の無さというのは要するに経済的な余裕の無さであるから、とにかく経済を向上させ、お金が広汎に行き渡らないと差別の問題もまた先鋭化が避けられないというのが現実なのだと思う。

その中でドイツはメルケル首相を筆頭に移民の受け入れに熱心な姿勢をとってきたが、それはドイツが例外的に経済的繁栄を享受してきたことと無縁ではないだろう。移民労働力の必要性とか細かい指摘は本当は必要なのだが今回はざっくりした書き方をしておくけれども、ドイツの寛容が経済的余裕に支えられてきていることは間違い無いと思う。

ヨーロッパにおける移民・難民は伝統的にイスラム社会からの流入が多かったわけだけど、それは第二次大戦後に起こった新しい潮流であり、それまでのヨーロッパ社会におけるマイノリティといえばロマ(ジプシーと呼ばれていた)や少数民族を除けばユダヤ人だった。ユダヤ人はナチスにより大量に虐殺されたという歴史があるため、ヨーロッパにおいてユダヤ人差別は厳しく排撃される。しかし、ユダヤ人国家イスラエルがパレスチナに対して虐殺に近いことをやっているということもあり、イスラム教徒の対ユダヤ人感情は最近特に悪化している。

ドイツにおいて、イスラム教徒によるユダヤ人攻撃が生じているというのは、ドイツの寛容にとって極めて深刻な事態だと思う。絶対悪であるユダヤ人迫害が受け入れるべき少数派であるイスラム教徒によって行われるというのは、もちろんテロ自体が否定されるべきことであるから当然なのだが、犯人は罰せられるにしてもイスラム教徒の対ユダヤ人悪感情はどうにもできない部分がある。

これは経済的に余裕があるドイツですら解決できない問題であるわけで、経済が悪化した時にどのような状況になるか、かなり厳しい問題があるのではないかと思った。

グローバル化というのは隣に言葉の通じない人間が普通にいるという状況であるから、それが進展するということはこれからこういう状況はもっと深刻になっていくということだろう。倫理も経済もそれだけで解決できることではないし、日本は強い規制によってまだ臨界点を超えてないようにも思うけれども、このような状況をどう動かしていくかは今後さらに問題になっていくことだろうと思う。

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