「アルスラーン戦記」1〜8巻、「阿・吽」7巻、アニメ「恋は雨上がりのように」などなど。
Posted at 18/01/14 PermaLink» Tweet
「アルスラーン戦記」1〜8巻。この作品は別冊少年マガジンで連載されているので「進撃の巨人」を読むついでにそれなりに読んではいたのだが、最近連載を読んでいて面白いと思うことがよくあったので単行本を一気買いして続けて読んでみた。あまり興味を持たずに読んでいた連載時とは違いちゃんと話の流れがわかったのでとても面白かった。
これは原作があり、田中芳樹さんのファンタジー小説が元なのだが、古代ペルシャ帝国のような場所を舞台にしたオリジナルノベルという感じで、ヨーロッパ勢力やインド勢力などもそれなりの形で出てきて面白いなと思う。
そういう設定だからか、絵の雰囲気からか、時々手塚治虫の「ブッダ」を彷彿とさせるところがあり、また時々横山光輝「三国志」を思い出すところもあったりして、古代王朝ロマンみたいなものはある種の共通性が出てくるのだなと思う。(ブッダは王朝ロマンとは言えないが元々が王子だし信者に王侯がいることもあって相違いう関連の話は出てくる)
現代物と王朝物の大きな違いは、主人公の周りに「忠実な家来」が出てくることで、この家来たちの忠実さはをつなぎとめるための度量、器量のようなものが主人公には求められる、というところがあると思う。その出自を疑われる漂泊の王子・アルスラーンの最も信頼の置ける家来・勇猛無双のダリューンは「王子個人に」忠誠を誓っているし、知恵袋のナルサスも血筋に関係なくアルスラーンの器量を評価している。なんでもできる才能無双のナルサスがただ一つ下手くそなのが絵で、しかしナルサスは絵を愛していて、アルスラーンは自分が王位についたらナルサスを宮廷絵師にする、と約束して、そこでナルサスの心を掴む。この辺りのところが面白い。
ファランギースやギーヴなど、出てくるキャラクター一人一人が面白く、とてもよくできていると思う。これからアルスラーンと先王の子・銀仮面卿ヒメネスとの対立、またヒメネスと結託してパルス王国に侵略してきたルシタニア(フランスっぽい)との戦いなど、まだまだこれからどうなるのかわからないところが多くて、楽しみだ。
「阿・吽」7巻。恵果阿闍梨と対決する空海だが、結局空海が恵果を「飲み込ん」でしまい、空海は真言密教を継承することになる。この辺の描写は相変わらずすごいが、その場面その場面の中に橘逸勢や霊仙、白楽天などのきらびやかな登場人物が出てくるのが読んでいて楽しい。一方日本では死の病の床にいる桓武天皇を霊的に救い出そうとする最澄だが、皇太子・安殿親王の無意識の妨害にあってなかなかうまくいかない。安殿・神野・伊予の三兄弟が父・桓武帝の病平癒について話し合う場面で、才気煥発な伊予親王と美的なことにしか関心のない神野親王、伊予親王に嫉妬する安殿皇太子という設定が面白い。
読んでいて気がついたのだが、桓武天皇の息子世代の名は上記のように「日本風」なのだが、その次の世代の王子たちは仁明天皇が正良親王、淳和天皇の皇子たちが恒世・恒貞というように漢字1文字ずつが意味を持つ二字名になっていて、我々の考える「日本人の名前」になっているわけだけど、これは実は嵯峨天皇の時代に宮廷を席巻した漢風化の影響の一つなのではないか。それまでの日本人は藤原内麻呂とか藤原永手とかだったのがこの時代の後には藤原基経とかの漢字の意味を意識した二字名になる。中国人の名前は姓一字プラス名前が二字(または一字)が基本だから、それを真似たのではないかと。源とか平とかの姓が出てくるのも同じだろう。嵯峨源氏が源融とか一字名なのも同じことだろう。
そういう研究を読んだことがないので思いつきだけだけど、そんなことを考えた。
アニメ「恋は雨上がりのように」第1回。オープニングを見て、自分の思っていたのと雰囲気がかなり違うなと思った。色がもう少し上品な使い方のほうが私の趣味だなと思うが、見ているうちに慣れるだろうか。OPの作りはメアリーポピンズとかマイフェアレディの線を狙っているような気がした。確かに、美人の足の速い高校生女子が冴えない中年のファミレス店長(実は文学青年だった)に惚れるという設定で、一番近いのはその辺かもしれない。店長がヒギンズ教授かあ、とは思うが。曲はCHIHO。絵は昔のアニメみたいだ。
Aパートは基本的にギャグテイスト。ファミレスならではの毒々しい色使いというか、そういうのはこういう配色のほうがいいのかな、と思った。あきらの目に見える店長やその息子の表情とか、店長を見る眼差しの描写とか、可笑しい。原作の間合いのテイストがいまいち生かされてない気はしないではないが、その辺は取捨選択なんだろうな。この作品のアニメは作る人によって多分全然違う作品になるだろうなと思った。
Bパート。はるかちゃん、原作よりかわいい感じ。しかしあきらの瞳の描写がこの作品の肝だなと改めて思った。店長のシャツの匂いを嗅ぐ場面、大きな瞳で店長に近づいて行く場面、それぞれ面白い。エンディングはAimer。次回予告は録画で見た限り、なかった。監督は渡辺歩、制作は「進撃の巨人」のWIT STUDIO。
アニメ「ブラッククローバー」第2クールに入ってOP・EDが変わった。全体にテコ入れ感はあるんだが、何を目指しているのか余計わかりにくくなった感があるなあ。アニメではアスタとユノのライバル関係をメインにしていて、そこを事あるごとに強調しているのだけど、どうもあまりうまくいっている感じがしない。原作通りにしてなるべくアニオリを入れないようにしてくれるといいんだけどな。
秋アニメは何本も思い入れのある作品があってある意味大変だったが、今期はとりあえずこの2本をゆっくりみようと思う。
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