おがきちかさんの「Landreaall」(ランドリオール)30巻特装版を読みました。

Posted at 17/09/27

「ランドリオール」30巻特装版を読みました。
クレッサール編が終わり、DXとディアの関係がどう進展するのか、しないのか、が29巻から続いていたわけだけど、その一応の結末がこの30巻でついた。話はどこまで収録されるのかと思っていたが、結果的に今まで雑誌に掲載されていた全ての分(10月号まで)が収録されているので、明日28日発売の11月号では「続きが読める」ことになる。

連載時にはどうも何をどう書けばいいのかわからず、あまり感想もかけなかったのだが、単行本になって読み直してみると意外なくらいスラスラ読め、かなり書き直したのかとさえ思ったが、絵の描写に若干いじられたところはあったものの、ほとんどそのままで、なぜこんなにイメージが違うのかと思った。この辺りは29巻でも感じたのだけど。

つまりは連載時は物語の中に入っていけず、違和感を感じていたのが、単行本になって読んでみると中に入っていけてスラスラ読める、という現象が起こっているという感じだ。同じ印象を受けるならわざわざ単行本を買う必要もないかもしれないが普通はそうなので、なぜそういうことが起こっているのかちょっと不思議な感じ。

ディアはファラオン卿と結婚し、王に即位するファラオン卿とともに王妃になることになっている、というのが明らかにされたのが20巻のこと。1年に2巻刊行されるので、もう5年前なんだな。それからクレッサールでの冒険をDXとともにしたのが22巻の終わりから29巻のはじめ。クレッサール編は「アブセントプリンセス」、すなわち「革命」の後始末の話でこれは物語が始まった当初からの長い伏線の解決になっていて、この先ランドリはどこへ向かうのだろうと思っていたら、30巻でファラオン王の即位とともに「ランドリオール元年」が宣言され、ここから新たな冒険が始まる、という感じになった。

まあいつもドキドキするのは、こういうのがあると「俺たちの戦いはこれからだ!」になってしまうのではないかということを恐れるわけだけど、さすがに30巻の終わりで終わったら中途半端すぎるというか、ラストで竜葵によって示された竜創と短刀・華霜の使い方でDXは新たにパワーアップしたわけで、これからさらに新しい冒険に向かって進んでいってほしいとは思う。

「ディアとの恋」はいつ始まったのか、DXがそれを意識したのは馬上槍試合の前あたりだったけど、お互いに意識はしていた。それがクレッサールの試練でより深まり、DXは「ディアの騎士」になったわけだけど、神出鬼没(?)のレイ・サークの存在に幻惑されてDXもイオンたちもディアの本当の思いを見定められずにいて、DXはディアに「俺のことが好きなのか?」と聞いてしまうという暴挙に出る。読者の側にはそんなことはわかりきったことなわけで暴挙に見えるのだけど、そういう二人の行き違いを解決するためにイオンと「アカデミーの仲間たち」が一肌脱ぐ、という展開。

ここ、考えてみると、シスコンのDXの半ば天敵?のようなカイルとか常に慎重なティティ、いつもは見返りがなかったら動かないライナスとかが積極的に関与しているわけで、そういう斜に構えた連中がDXを応援する、というところが見所なんだなあと改めて思った。

そして、周りから焚き付けられるDXが思わずビビってる、ディアを傷つけたらどうしよう、という思いをマリオンのことや「王妃になるディアとの身分違い」にまで言及して言っているのは、普段自分の心の中を明かさないDXがついに「仲間たち」の前で本音を漏らすという貴重なシーンで、そしてそれを最終的に背中を押したのがフィルの「俺が一緒に怒ってやる!」という言葉だったのは、この物語をずっと読んできた人にとっては、やや強引な感じはしないでもなかったが、感慨深いものであっただろうと思う。

でまあ、思いを告げようとしたディアにその言葉を止められて、「私はあなたと対等でいたい。あなたとだけは」というディアの言葉は、考えて見たらそれ以上ない愛の言葉なんだよな。王妃と対等な騎士って、それは誰なんですかという。

そして長い長いランドリのストーリーの中で、初めての「DXが恋人と抱き合う」シーン。まあこれはガラス越しのキスみたいなものだけど、やはり一つのクライマックスだったなと。

そして即位式が行われている中、傷心のDXは風花山脈(今まで名前は出てないと思うがレーカーベアのいるエカリープ西方の山地のようだ)でレーカーベアの群れにクレッサールで救い出したリトルを預け、さらにウルファネアに足を踏み入れる。ここでなぜ竜葵なのか、といえば、馬上槍試合の際にDXの背中を押したのが結果的に竜葵からの「それはお前の運命の女だ」という手紙だったからな訳ですね。

でまあ、今回のウルファネアでの旅で、竜葵は竜葵なりの落とし前をつけるわけなのだけど、今20巻読み直していきなり急に盛り上がってしまった。いや傑作でした、あの辺。

さてさて、明日28日発売のゼロサム最新号でこれから話がどちらに進むのか、ますます楽しみになってきました。

ちなみに普通版の方の表紙も素敵なのでこちらもどうぞ。



 

特装版の特典小冊子は、リゲインの即位を画策する貴族たちの話。メインストーリーとは別にこういう描写があると宮廷の雰囲気もまた少しわかりやすくなるという感じでした。

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by Luke Peterson

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