「進撃の巨人」第97話「手から手へ」。今月はすごかった。
Posted at 17/09/08 PermaLink» Tweet
別冊少年マガジン。「進撃の巨人」第97話「手から手へ」。
久々に「進撃の巨人」のすごさを実感した回。これは凄い。回想場面の連続から、一気に現在につなげる。というか、最初の場面の5ページは今はどうしているかわからないアニともう死んでしまったケニーの話なので、厳密にいうと「回想」ではなく後からの「話の補足」、種明かしみたいなもの、構造的に言えばライナーの回想場面の中に出てくるアニが回想している場面、なんだが。
6ページ目のベルトルトの寝相、寝相が悪いというネタはライナーとベルトルトが正体を現した際、ライナーの肩に乗って逃げるベルトルトにコニーたちが話しかける時に初めて出て来たネタなのだが、回想場面で回収している。これはネットを見ていてなるほどと思ったが、タロットカードの「吊るされた男」のポーズなのだ。これで天気を占うというのがまた気が利いてるが、こういうネタの仕込み方はさすがだと思った。
落ち込むエレンとゲスいジャンを止めるライナー、疲れた顔をするアニという場面はまさに訓練兵団時代の彼らを現しているわけだけど、ライナーの現在の苦悩の理由を説明して余りある。そしてここでウォールローゼを彼らが破壊した理由が明らかにされる。回想の中のアニとベルトルト、そして落ち込むエレンを励ます自分自身、そして立ち上がるエレン、それに被さる銃に弾を装填する場面。爽やかに明るい、そしてどこか少し狂ったようなライナーの顔のページをめくると破滅の一歩手前。そしてその行為をやめさせる無意識のファルコの行動。
この場面はまず第一の衝撃だったが、それが何かは本誌を読んでいただければと思う。
ライナーが追い詰められていく過程と、そして気を取り直す場面、その過程すべてに「戦友」「友」「後輩」がいる、というのはライナーという人間の真実がよく表れているような気がする。
そして第二の衝撃。病院を訪ねたファルコに話しかける片脚の男。そして男が話しかける、「進撃の巨人」のテーマといってもいい内容。
皆、何かに押されて、あるいは何かに酔って生きている。しかし、「自分で自分の背中を押した奴の見る地獄は別だ。」と。
これはケニーの独白で語った内容でもあり、クルーガーがグリシャに語ったことでもある。そしてキース・シャーディスが語った「特別な人間」の定義でもあるだろう。
「彼らは地獄の先にある何かを見ている。それは希望かもしれないし、さらなる地獄かもしれない。」
このあたりの所、つまりこの話のテーマも小出しにされていて、それが少しずつ繋がって来ている。
ライナーもまた、自分で自分の背中を押した奴、特別な奴ではない、ということなのだよな。しかし、この片脚の男はそうではないようだ。そしてその第二の衝撃は、この片脚の男の正体ということになる。
これも誰なのかは伏せておくが、(というかそうだとしか思えないのだが絶対そうだとも言い切れないところが微妙)これもネットではすでにこの男が初登場の時からいろいろ囁かれてはいた。
そして急に元気になったファルコは、なぜか手紙を持っている。
そして場面は変わる。「ゴリアテを倒したダビデ」みたいな像の前でたたずむ男。そして、先月いきなりできた「タイバー家」の当主・ヴィリーが初登場。相手をするのは戦士隊の隊長・マガドだ。
そして語られる内容は、まさに第三の衝撃、サードインパクト。しかしまだ先が見えないし、物語の展開に深く関わるだろうことなので、ここでは触れない。
思わせぶりに挟まれたジークの絵、そして手紙を投函するファルコ。その手紙は、片脚の男から託されたもの。サブタイトルの「手から手へ」とはこの手紙のことなのか。「オレがここに無事でいるって家族に伝えたいだけなんだ」という片脚の男。そしてその家族とは、誰のことなのか。
これもネットでの考察を読んでなるほどと思ったのだが、まずは本誌を読んでいただきたい。
今月は本当に面白かった。物語の展開上だけでなく、テーマの深まりについても、重要な回だったと思う。
***
そのほかの感想を手短かに。「アルスラーン戦記」こちらも面白い。託されたもの。
週刊漫画Times。「肉極道」焼肉。「信長のシェフ」歴史は変わるか変わらないか。「まどろみバーメイド」春の思い出。「社畜と少女の1800日」三者面談。際どい。「マエストロの暇つぶし」うーん。まあなんというかなあ。「なみだ坂診療所」ふふふ。今週は何だろう、信長のシェフかな。
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