弐瓶勉さんの「人形の国」1巻を読みました。弐瓶作品初の少年誌ヒーロー。
Posted at 17/05/17 PermaLink» Tweet
「シドニアの騎士」の連載が終わり、しばらく飢餓状態が続いていたのですが、昨年のヤングマガジン23号で一度読切りの形で掲載された「人形の国」が面白く、連載になるのを待っていたのですが、結局月刊シリウスで今年の4月号から設定もやや変えられて改めて連載が始まりました。
舞台は直径12万キロの人工天体アポシムズ。地球の10倍くらいの大きさ(ということは体積は1000倍になりますが)です。実は「シドニアの騎士」にシドニアと同じような播種船としてアポシムズと言う宇宙船が出て来るのですが、大きさ的に考えると同じものとは考えにくいですね。まあどんな設定があるかわかりませんが、むしろ感じとしては「バイオメガ」に出て来た復物主に近い気がします。まあスケール的には復物主の方がメチャクチャ巨大ですが。
どこかのインタビューで答えていましたが、弐瓶さんは人工物の方が自然の惑星・衛星より安心出来る、なぜなら自然の星は数億年、せいぜい数十億年経ったら滅びてしまうから、と言っていて、その感覚が独特だなと思いました。私は人工物の方が壊れて使い物にならなくなるというイメージなのですが、弐瓶さんの描く世界は確かに人工物が設計者の思惑を超え、人類にコントロール出来なくなった世界が描かれていて、自己増殖する人工物の世界で生き残った人間たちがなんとか生き残ろうとあがいているという設定がBLAME!などにもあります。この人工物の侮れない耐久感と制御不能感が弐瓶的世界の根本にあるように思います。
読切りの時に出て来た自動人形のタイターニアが私は好きだったのですが、このキャラクターだけ(場の設定は割合近い感じですが)連載でも生き残っていて、やはりタイターニアを軸に話が進みます。
このタイターニアのキャラが何とも言えません。シドニアの女性キャラの何人かの要素が融合し、又その中から抽出した、という感じで、とてもいいなと思います。
主人公として活躍するエスローというキャラは、ちょっと新鮮です。弐瓶作品初の少年誌、ということもあるのでしょうか、努力して成長する少年誌の正統的ヒーローの要素が強いです。BLAME!の霧亥を始め、弐瓶作品では感情があるのかないのかわからないヒーローが多かったですし、シドニアの谷風みたいにラブコメ要素が強いわけでもない。タイターニアの体液?を摂取するところなどは「星白由来の水」を思い出さないこともないのですが、基本的に「等身大」と「成長」の要素が印象的です。
もう何回か読み返したのですが、まだ設定があんまりよく飲み込めてない部分が多いです。もう少し自分なりに理解出来てから、また感想を書ければと思います。今日はこの辺りまで。
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