2016年参院選の結果について。「狼が来るぞ!」で済む問題ではない。

Posted at 16/07/11

参議院選が終わった。結果は、自民・公明で過半数越えの125議席、これにおおさか維新の15議席ほかを足すと「改憲勢力」と言われる勢力が、憲法改正の発議に必要な3分の2を越えた、とされている。

しかしもともと私はこの設定じたいがあまり意味があるものだと思ってなかったので、あまり感想は出て来ないのだが、それにしても3分の2を取らせたら危ない危ないと騒いでいた左系のマスコミや民進党・共産党などが選挙が終わった途端何も言わなくなって、自分たちの善戦を評価している、みたいになっているのは一体どう言うことかと思う。「3分の2を越えたら狼が来るぞ!」と叫んでおいて、いざ越えてもしかとしてる。何を考えているのかわからない。せめて、「これで改憲勢力が3分の2を越えてしまったが、自分たちは全力で改憲を阻止する」くらいのことは言うべきではないか。

私は現行憲法はいろいろと不備が指摘されているし、細かいところはきちんと議論して修正して行った方がいいという意見なので、国会議員だけでなく憲法学者も交えてきちんと公で議論し、幅広く国民の声も聞いて修正すべきところは修正して行くと言うことをした方がいいと思うし、ようやくそのスタートラインには立てたかなと思っている。

これからが正念場だろう。

自民党の谷垣幹事長も「野党第一党との考えの擦り合わせが必要だ」と民進党に協議を呼びかけているし、民進党自体も改憲そのものは必要なところがあるという考えの人は多いわけだから、この結果を謙虚に受け止めてきちんと議論に参加して行った方がいいと思う。

しかし、彼らが改憲したくないところがあるのなら、まずは自分たちの勝敗よりも、「ここだけは絶対に守る」という場所をはっきり示すべきではないか。「改憲勢力が3分の2を越えた」という彼らの主張が正しいのなら、今こそそれをはっきりさせるべきだろう。

左翼の人たちの反応も妙な感じでぐずぐずと苛立ってるだけで、自分たちがどうするかみたいなことを言わず、「安倍が来るぞ!」「ぐんくつのおとが」「自民党は人権廃止を狙ってる」みたいな取ってつけたようなデマゴギーをわめきたてるような恐慌状態。安倍さんは元気だが自民党みんなが元気なわけじゃないし、その安倍さんだって一気に憲法改正まで持って行けるなどとは思ってないだろう。それなのにこのダメダメ状態を見ていると、「死せる孔明、生ける仲達を走らす」という感じさえする。「自民党安倍派」だけで3分の2を取ったならともかく、この不安定な「3分の2」で何が出来るかと言えば、はなはだ心もとないのに。

しかし、まがりなりにもこの3分の2という数字は、現憲法施行後一度もなかった数字だから、事態が一気に動く可能性だってないわけではない。だからこそ、今野党はしっかりしなければならないし、与党も野党も、また憲法学者や国民一般も、これからどのような国をつくって行くのか、そのためにはどう言う憲法が必要なのかをしっかり議論して行く必要があるのだと思う。

石破地方創生担当大臣がテレビ東京のインタビューで「これからの6年は日本にとってとてもキツい6年になる」と言っていたけれども、中国の様子を見ても、アメリカの様子を見ても、ヨーロッパの様子を見ても、ロシアやイスラム諸国の状況を見ても、油断できる要素は一つもない。この中で日本がどう生き残り、同産業を維持し、どう国民生活を向上させて行くのか、誰が政治を行ってもかなり難しい局面が続くだろう。

国民ひとりひとりにも難しい判断が求められる時期になりつつある。あまりぐずぐずと自虐や恐慌に陥ってる暇はないのではないかという気がする。

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