4月11日:小さな旅 「狭い世界だなと思い始めたら、広いと思える所まで歩いて行って、またそこで店を広げる。」
Posted at 16/04/12 PermaLink» Tweet
「狭い世界だなと思い始めたら、広いと思える所まで歩いて行って、またそこで店を広げる。」というツイートを読んで、本当にそうだなと思った。何日も色々なことを考えていて、動かないうちに世界が狭くなって来ているのを感じて、風の強い中、午後出掛けた。
広いところに出て行こう、と意識しながら歩いていると、新しいことにいろいろ出会う。駅への途中、いつも通り抜ける団地の広場に、気が植えられ、ベンチが設置されてるのに気がつく。いつもの風景が少し変わっている。
地下鉄に乗って、日本橋へ。乗り換えて、銀座線へ。銀座でおりて、交差点を後ろに、教文館書店に歩く。
本をざっと見る。スタイリストの人が書いた毎日の着回しの本、毎日の着るものを並べて写真を撮ってあってこれは面白いなと思う。私はろくな服着てないけど、毎日写真撮っておけばどういうものが自分に必要か、考えやすくなると思った。
ゆっくり、いそげ ~カフェからはじめる人を手段化しない経済~ | |
影山知明 | |
大和書房 |
「エインカレム」に上ってざっと見ていたら、影山知明「ゆっくり、いそげ」(大和書房、2015)という本がおいてあった。この本は今買わないと買い逃すかもしれない、と思って買った。それからエンジの無地のノート。万年筆の走りが気持ち良さそうな紙。こういうノート、なかなか使いこなせないのだけど、少し広い世界に行ける感じがして、ちょっと買ってみることにした。
カフェでコットンケーキとダージリン。いつもなら窓際の、外が見えるカウンターに座るのだけど、今日は満員だったので一つ奥のテーブルに。「ゆっくり、いそげ」を少し読む。「世界が狭くなって来たら、広いところまで歩いて行って、またそこで店を広げる」ということと、「ゆっくり、いそげ」という言葉が、今の自分には大事な気がした。
自分にとってのキーワードは多分「成長」で、いろいろな意味での「成長」というものに、自分は興味がある。今、少年マンガが特に面白く感じているのは、少年マンガが「成長」を正面から取り上げているからだろう。逆に現代の小説にそれほど興味が持てなくなっているのは、小説の主題が「成長」だけじゃないからだ。
でも、何が大事だからって、世界を狭くしそうになったら、この言葉を思い出さないと行けない。無意識に追い立てられるものを感じたら、ゆっくり急ぐようにしないといけない。どんな仕事でも、命がけでやることで反って見えなくなることもある。囚われの無い心にいつでも戻れる、そんな姿勢も大切にしたい。
教文館を出て、Apple Storeへ。iPhone SEを買いたいなと思って行ったのだが、今日はとりあえずやめにした。店内の大部分は中国人。スタッフも言葉のわからない客の相手をするのがだいぶ慣れて来た感じ。あれだけ外国人たちがいると入りにくくなるかと思ったが、逆に敷居が低くなった感じがした。
フレンチ・ヴァイオリン・コンチェルト(ラロ:スペイン交響曲 サン=サーンス:ヴァイオリン協奏曲第3番) | |
マキシム・ヴェンゲーロフ | |
ユニバーサルミュージック |
アップルストアを出て山野楽器に行く。日曜日、「題名のない音楽会」で初めて聴いて感動したヴァイオリニスト、ヴェンゲーロフのCDを、昨日お茶の水のディスクユニオンで1枚買ったのだけど、ラヴェルの「ツィガーヌ」は収録されてなかった。山野楽器の二階でもう一度探してみると、今回見つけたものには収録されていた。録音時期はいずれも2003-4年頃で、聴いているとヴァイオリンがはっきりと自己主張し、くっきりと浮かび上がるのを感じる。すごいヴァイオリニストだと思う。
久しぶりに松屋銀座に入り、5階の紳士服を巡回した後、地下に降りて和菓子を見繕う。叶匠壽庵の和菓子を3種類買ってみる。今調べたら大津の菓子匠なのだな。「粘り」の演出が独特だと思った。
中央通りを散歩することにし、京橋の方へ歩く。再開発で新しく出来たビル。ここに従姉妹の息子が勤める会社が入っていると言っていた。再開発とともに周辺にも食事のできる店が増えている感じもあり、京橋の雰囲気もだいぶ変わって来た。明治屋をのぞき、さらに北に歩く。
夕食をどうしようか迷っているうちにすき家にえび塩キャベツ牛丼と言うメニューがあるのを見つけ、多分生まれて初めてすき家に入ってみた。あまり込んではいなかったが、店員が一人しかいなくて、びゅんびゅん飛び回っていた。これが噂のワンオペか、と結構衝撃を受けた。カウンターはほぼサラリーマン的な男性だったが椅子席の方に20代とおぼしき女性が一人でスマホを見ながら食べているのもまた、衝撃だった。食事を終える頃にはもう一人店員が来たが、二人とも外国人だったのもまた衝撃。カウンターには茶髪のおばさんもすわっていて、結構満員に近くなっていて、まあそれはおかしくはないんだけど、いろいろカルチャーショックだった。いろいろな意味で今の日本というものの縮図なのだと思った。
日本橋まで歩いて丸善に入る。結局本は買わなかったのだが、店内で革職人展が開かれていて、地下に行くと私が持っている鞄があって、それを見ていたらそれを作った職人さんが出て来て少し話が出来た。自分が使っているものを、実際に作った職人さんを目の前にして話が出来るというのはとてもいいものだ。物との出会いから始まる人との交流。
地下鉄に乗って東陽町に戻る。ホームに降りると目の前に「中央改札」というのが出来てて驚いてそこで降りてみたら、新しい、深川郵便局の入り口の隣に出る出口に続いていた。この改札は、下りホームからしか出られないので、朝都心へ向かう人には役に立たないが、帰りに下車するときは人が分散して出やすくなるかもしれない。工事をしているのは知っていたが、もう出来たとは知らなかった。
いろいろな出会いのあった、4月11日、小さな旅。
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