スタバでAir
Posted at 16/02/05 PermaLink» Tweet
立春も過ぎて、外の光が明るくなって来た。あまり家の中に籠っているのもよくないと思い、MacBook Airを持って車でスターバックスに出掛けた。諏訪のスターバックスは市内にはなく、大型のディスカウント店やドラッグストア、スーパーなどが並ぶ通りの一角にあるので、ほとんどの来店者は車で来る。ドライブスルーもあって、私は普段はそちらの方をよく使っている。
今日は初めて「スタバでAir」という小生意気な若者みたいなことをやってみようと思い立ち、実際なぜかMacBook Airを買ってもう3年くらいになると思うのだが、いままでそれをやろうと思ったことがなかった。まああまりにベタな行動だ、と言う恥じらいのようなものがあったからなのだが、元々私はベタを避けて損をした、ということがわりと多いので、とりあえずトライしてみることにした。というわけで初めてスタバで物を書いている。
スタバの音楽は物を書くのに邪魔にならない感じの音楽であることが多いのだけど、このあたりは喫茶店やカフェと言えるものの絶対数が少ないので、わりとお年寄りとかも多く、ときどき周りが気になるときがある。この店はいわゆるスタバの客という感じの人は必ずしも多くないし、今日入って来たときはPCを使っている人は他に見当たらなかった。
でもしばらくすると、やはり仕事をしているらしき人が増えて来て、スタバっぽい感じになって来た。近くには一応コメダ珈琲もあるのだが、こちらは午前中は小さい子連れの若いお母さんのだべり場になっていて、なかなか仕事をするという気持ちにはならない。
なかなかスタバという場に順応するのが難しいときも多いのだけど、今日はわりと順応して来ている。
それにしても、こういうところで心を澄ませて書くべきことを書くというのは難しいことだなとは思う。多分、自分も若い時にはそんなに気にならずにそういうことが出来ただろうとは思うのだけど。
というよりも、昔に比べて外食も減ったし、外に出掛ける機会も減って来ているのは、ウチがいやすいと言う意味では悪いことではないのだが、自分が見えない「空気の凹み」みたいなものにはまって気がつかなまま身動きが取れなくなっている、みたいなときにはあまりよくない。
物を書くというのは、自分が面白いと思う、何かしら読む人に与えるものがある、と思うことを書かなければ意味がないわけだけど、物を書くものの本能というのは「空気の凹み」にはまって自分の好きな物、面白いものが分からなくなっているときでも、何かを書かずにはいられない。
私もここのところ、何度書いてもブログやnoteにアップしたいと思うものが書けなくて、そういう凹んだ文章をいくつも書いてはお蔵入りにしているのだけど、今日は「ジャンプ流vol3.尾田栄一郎」を読み、また付属のDVDを見て、気持ちが少し上向きになった。
作家は、今流行っているものに乗ろうとしても意味がなく、それよりもまだ流行っていないけど自分が面白いと思うものを流行らせるつもりでやらないと駄目だ、作家はそれが出来る立場なんだ、みたいなことを尾田さんは言っていて、これは本当にその通りだ。
本当に面白いと思っているものを見失うというのは本当に困ったことなのだけど、そしてその本当に面白いものが分からなくなってもとにかく書かずにはいられないというのは、作家、というのがおこがましければ「書く者」の業なのだ。
それは白洲正子が書いていた青山二郎の死の際の話に通じている。青山二郎は白洲や小林秀雄のグループの中心にいた人で、凄い目利きをする人だったが、没落してあまり大したものを買えなくなっていた。白洲正子はその彼の死の際、あんなに目利きだった人が死の間際に手に入れた骨董はガラクタだと分かるものばかりで痛ましかった、と書いている。
でもガラクタだと分かっていても買わずにはいられないのが業なのだ、みたいなことを書いていたが、結局それと同じことだと思った。
ものを書く人間に取っては、書くことは生きるために書くのではなく、書くことが生きることそのものになってしまう場合は少なくない。
書いていると何もかも忘れられる、書いていると元気が出て来る、そんなことも多い。
生きるために書く人は、また違うのだと思うのだが。
ああ、こんなことも家で一人で書いていたら書けなかったかもしれない。スタバの喧噪の中で書いているからこそ書く内容に集中出来るのかもしれないとも思う。
とにかく書いて行こう、と、通算何十回目かの確認をするのだった。
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